10月, 2023年

国際鉛亜鉛研究会(ILZSG)2023年10月(プレスリリース)

2023-10-13

国際鉛亜鉛研究会(ILZSG)2023年10月プレスリリース

2023年10月10日
日本鉱業協会 企画調査部

 2023年の秋季国際鉛亜鉛研究会(ILZSG)総会は10月5日、6日にポルトガルリスボンにて開催された。

 

需給予測

1. 2023、2024年鉛概況

1)鉛消費

  • 世界の鉛地金消費量は、2023年に2022年比1.1%増の1,280万トン、2024年には、2023年比2.2%増の1,308万トンになる予想。

  • 2022年のヨーロッパでの消費量は3.0%減少した。2023年には3.7%増加すると予想されており、オーストリア、ドイツ、ギリシャ、イタリア、ポーランドの増加分が、チェコでの減少分を超える見込み。その他の地域では、インド、メキシコ、台湾、ベトナムで消費量が増加するが、韓国では減少すると予想される。

  • 中国では、2023年の需要が2022年比1.9%増加し、2024年には2023年比2.4%増加すると予想されている。中国の需要を支えているのは、2023年の年初7ヵ月間に13.4%増加した鉛蓄電池の増産である。米国での消費量は2023年に6.4%の大幅な減少が見込まれるが、2024年には3.1%の回復が見込まれる。

  • 2024年では、インド、日本、韓国、メキシコ、米国でも消費増が見込まれる。

 

2)鉛生産

  • 世界の鉛鉱石供給量は、2023年に3.3%増の458万トン、2024年に2.9%増の471万トンと予想される。中国の生産量は2023年に1.2%、2024年に1.5%増加すると予想される。

  • 2023年の世界の鉛鉱石生産量は、オーストラリアでガレナマイニング社が年産9万5千トンのアブラ鉱山の試験操業を1月に開始したため、大幅な増産見込み。また、ボリビア、ブラジル、インド、カザフスタン、米国では増加の見込み。しかし、アイルランドとポルトガルでは減産が予想される。

  • 2024年の鉛鉱石の増産は、主にオーストラリアでの更なる増産と、ブルガリア、インド、ロシア、アドリアティック・メタルズが今年11月にヴァレス新鉱山の操業を開始する予定のボスニア・ヘルツェゴビナでの増産によるもの。

  • 世界の鉛地金生産量は、2022年に2021年比1.7%減少した。2023年には2022年比2.7%増の1,284万トンになる見込み。2024年には、2023年比2.3%増の1,314万トンとなる予測。

  • 2023年の世界の鉛地金生産では、オーストラリア、中国、インド、ドイツで増産が見込まれる。ドイツでは、2021年に洪水で閉鎖を余儀なくされたトラフィグラ社のストルベルグ製錬所が最近再開された。

  • 最近設備の増強を行った台湾とアラブ首長国連邦でも増産が予想される。しかし、これらの増産分は、ブルガリア、イタリア、大韓民国、そしてグレンコア社のノースフリート製錬所での上半期の大幅減産があった英国での減少分に一部相殺される。

  • 2024年の世界の鉛地金生産量は、オーストラリア、ブルガリア、中国、インド、イタリア、日本、韓国、アラブ首長国連邦で増加するが、カナダと英国では減少すると予測される。

各国から得た直近の情報を考慮し、世界の鉛消費は2023年で3万5千トン生産が需要を上回り、2024年では、5万2千トン生産が需要を上回る予想。

 

2.2023、2024年の亜鉛概況

1)亜鉛消費

  • 世界の亜鉛地金の消費量は、2022年に4.3%減少の後、2023年には2022年比1.1%増加
    し、1,359万トン、2024年には2023年比で2.5%増加し、1,393万トンになる見込み。

  • 中国での亜鉛地金消費は、2022年に大幅な減少があったが、2023年には3.0%の増加が予測されている。2022年に12.0%減少した中国の亜鉛メッキ鋼板生産量は、2023年1~7月で対前同期比で12.1%増加した。乗用車と家電製品の生産も同期間に増加したが、不動産セクターへの投資は低迷したままである。2024年の中国の亜鉛需要は、対前年比1.2%の増加が予想される。

  • 欧州での亜鉛地金消費は2023年に1.8%減少すると予想されている。主にドイツ、ポーランド、スロバキア、英国では減少、イタリアとノルウェーでは増加が予想される。その他の地域では、インド、サウジアラビア、米国では増加するが、ブラジル、日本、台湾、タイ、トルコでは減少する見込み。

  • 2024年では、ヨーロッパ、インド、日本、韓国、米国、ベトナムでの消費量が増加すると予想されている。

 

2)亜鉛生産

  • 世界の亜鉛鉱石生産は2023年に0.1%増の1,243万トンとなり、2024年には3.9%増の1,291万トンになると見込まれる。

  • 2023年の亜鉛鉱石生産は、中国、インド、モンゴル、ペルー、そして年産35万トンのオゼルネオエ鉱山が年内に操業を開始する予定のロシアでの増産が予測されている。

  • しかし、こうした増産分は、オーストラリア、ボリビア、ブルキナファソ、カナダ、スウェーデン、6月にボリデン社のタラ鉱山が補修工事に入ったアイルランドでの減少によってほぼ相殺される。

  • 2024年には、オーストラリアとロシアでの大幅な増産が鉱石生産量増加の主な要因となる。ボスニア・ヘルツェゴビナ、ブラジル、中国、メキシコの生産量も増加するが、アイルランド、米国と、年産11万トンのアルフステル鉱山の操業停止によりポルトガルの生産量は減少すると予想される。

  • 世界の亜鉛地金生産量は、2023年に3.7%の増の1,384万トン、2024年には3.3%増の1,430万トンになると予測している。これは主に中国の大規模な増産によるもので、2023年には6.7%、2024年には4.1%の増産が見込まれる。

  • 欧州の亜鉛地金生産量は2022年に、2021年比で11.6%減少し、2023年では2021年比で2.6%減少すると予想される。これは主にドイツでの減産によるもので、フランス、イタリア、オランダ、ロシア、スペインでの増産分を上回る見込み。

  • 2024年の中国以外の地域では、オーストラリアと、2024年下期に設備増強予定のオッダ製錬所のあるノルウェーでの増産が見込まれる。

 

3)世界の亜鉛地金需給

世界の亜鉛地金需給バランスについては、2023年では生産が供給を24万8千トン上回ると予測している。2024年では、生産が供給を36万7千トン上回ると予測している。
プレスリリースの詳細については、ウェブサイトwww.ilzsg.org にアクセスするか事務局宛てにお問い合わせください。

 

以上

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国際銅研究会(ICSG)2023年10月総会報告 (プレスリリース)

2023-10-10

国際銅研究会(ICSG)2023年10月総会報告

2023年10月5日
日本鉱業協会 企画調査部

 

2023年の秋季国際銅研究会(ICSG)総会は、10月3日及び4日(現地時間)にポルトガルのリスボンにて行われ、加盟国政府代表及び業界の代表者が会議に参加した。日本からは政府代表に加えて数名の業界関係者が参加した。10月4日付けでプレス発表された世界の銅需給見通しは次の通りである。

 

1.2023年と2024年の世界の銅需給予測(添付 世界の銅需給総括表参照)

1)銅鉱石生産

世界の銅鉱石生産量は、2023 年は 2022 年比で 1.9%、2024 年は 2023 年比で 3.7%それぞれ増加と予測。

  • 今回の予測では、増加率が2023年4月の3.0%から1.9%へ下方修正された。地域紛争による減産に加えて、鉱山の操業低下、悪天候や地滑り、数か国での鉱山会社の生産計画変更、地域住民の反対運動による減が原因である。
  • しかしながら、2023年の世界の銅鉱石生産そのものはコンゴ民主共和国、ペルー、チリをはじめとする国々での新規鉱山操業開始と既存鉱山の拡張の追い風を受け、増産が見込まれる。また、2022年初頭には依然としてCOVID-19に関する諸制限があったため、比較して多くの国々での操業回復が見込まれる。
  • 2024年の世界の鉱山生産量は2023年比で3.7%増加すると予想されている。新規鉱山操業開始、既存鉱山の拡張、2023年に減産となったチリ、中国、インドネシア、パナマ、インドでの増産が見込まれる。
  • 2022年から2024年に新規操業開始・拡張する主要プロジェクトは、DRコンゴのカモア・カクラとテンケ・フングルメ、ペルーのケジャベコ、トロモーチョ、チリのケブラダ・ブランカ2、ロシアのマルミシュコエ、ウドカン等の鉱山である。また、いくつかの中小銅鉱山も新規操業開始や拡張起業によって増産の見込みである。この3年間に操業を開始するプロジェクトのほとんどは、銅精鉱を産出する鉱山(SX-EWではない)である。

 


 

 

2)銅地金生産

世界全体の銅地金生産量は、前年比で 2023年に3.8%、2024年に4.6%増加と予測。

  • 2023年の銅地金生産量は、チリ、インドネシア、スウェーデン、米国での製錬所の生産障害、定修による減産となる見込み。

  • 2023年及び 2024年の世界の銅地金生産量の増加は、主に中国の製錬所の電解工程設備増強による増産によるもの。また、2024年には、インドネシア、インド、米国でも、産、新設・増強が開始される予定であり、これらも生産量増加に寄与する見込み。

  • 銅精鉱由来の銅地金生産増は、新規操業開始・拡張する鉱山の操業開始に因る。

  • SX-EW 由来の銅地金増産は横這いの予想。コンゴ民主共和国の SX-EW 設備の新設・増強が、チリの SX-EW 減を相殺するためである。

  • スクラップ原料由来の銅地金生産量は、二次原料処理を行う製錬所の設備増強により2023年、2024年ともに増産となる見込み。

 

 

3)銅地金消費

世界の銅地金見掛消費量は、前年比で 2023年に約 2.0%、2024年に約 2.7%増加と予測。

  • 2023年の世界全体の消費量が 2.0%増加するのは、主に中国の消費量が約 4.3%と大幅に増加するためである。

  • 2023年の中国を除く世界の消費量は約 1.0%減少すると予想されるが、これは主に欧州と北米における消費量の減少によるものである。

  • 世界の経済指標は厳しいものの、製造業での生産改善、新エネルギーへの転換、世界各国における半導体生産能力の強化で、消費量は持続的に増加していく見込み。

  • 銅は経済活動、特に現代の技術社会において不可欠である。加えて、主要国におけるインフラの拡充と、クリーンエネルギーと電気自動車の普及という世界的トレンドが、長期にわたる銅需要増加要因となるだろう。

 

4)銅地金需給バランス

世界の銅地金需給予測は、2023年には約 2万7千トン消費が生産を上回り、2023年には約46万7千トン生産が消費を上回る見込み。

  • ICSG は、グローバル市場のバランスは様々な需給要因により変化するものであると認識している。そのため、予見できない要因により、実際の需給が ICSG の予測から逸脱することは起こりうる。

  • ICSG は、グローバルな市場需給予測の際に、未報告である種々の中国の在庫(国家備蓄、生産者、消費者、貿易業者、保税区域)の増減は考慮に入れていない。これらの在庫は、在庫積み増しや、放出によっては世界の需給を大きく変える要因である。なお、中国の見掛け消費量は(生産+輸入−輸出+/+SHFE 在庫増減)によって算出している。

  • ICSG は 2023年の予測について、2023年4月の前回予測の11万4千トンの需要超過から、今回予測の2万7千トンの需要超過へ下方修正しました。2024年については、銅地金増産の影響を受け、前回予測の29万8千トンの供給余剰から、46万7千トンの供給余剰へと余剰幅が大きくなった。

 

2. ICSGの次回総会日程

2024年4月にポルトガル リスボンにて開催予定。

 

 

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国際ニッケル研究会(INSG)2023年10月総会報告(プレスリリース)

2023-10-05

国際ニッケル研究会(INSG)2023 年10月総会報告

2023 年10 月5 日
日本鉱業協会企画調査部

2023年の秋季国際ニッケル研究会(INSG)総会は、10月2日及び3日にポルトガルのリスボンで開催され、加盟国の政府や業界、国際機関などの関係者が参加した。10月3日付けで発表されたプレスリリースは次のとおりである。

 

12023年及び2024年の世界のニッケル市場

2023年初頭の世界経済は中国のゼロコロナ政策終了やエネルギー価格の低下によりは好調な兆しを見せたものの、その後はインフレ対策のためのアメリカ合衆国他による金融引締めと金利上昇が悪影響を及ぼした。

国際ステンレス鋼協会(旧ISSF)の発表によると、2023年1~6月のステンレス鋼の生産量は、2022年1~6月比0.9%減の2,670万トンであった。

2023年後半はステンレス鋼向けの需要が回復し、2024年においても電気自動車(EV)バッテリー向け需要が引き続き増加することが見込まれる。

インドネシアでは、NPI(ニッケル・ピッグ・アイアン)の生産が引き続き増加すると予想される。また、MHP(ニッケル・コバルト混合水酸化物)を生産する目的でHPALプロジェクト(高圧酸化浸出プロセス)の新設やプロセス変更が進められており、NPIの生産の一部はニッケルマットに切り替わることが見込まれる。中国のNPI生産量は2024年に減少すると思われるが、ニッケル地金と硫酸ニッケルの生産量は増加することが予想される。
世界の新産ニッケル生産量は、2022年は306.0万トンで、2023年は341.7万トン、2024年は371.3万トンに増加すると予測した。ただし、生産中止等の事態は含まれていない。

世界の新産ニッケル消費量は、2022年は295.7万トンで、2023年は319.5万トン、2024年は347.4万トンに増加すると予測した。

したがって、2022年は10.4万トン生産が消費を上回り、2023年も22.3万トン、2024年も23.9万トン生産が消費を上回る見込みである。歴史的に見ると、ニッケルの需給はLMEで取引されるクラスIニッケル(いわゆる地金類)の生産量に由来していたが、2023年及び2024年はクラスⅡニッケル(フェロニッケルその他の化合物)や硫酸ニッケルを主としたニッケル化合物の生産量に起因した需給バランスとなる。

2 統計委員会

統計委員会では、一連の発表と議論を通じて、統計に関するさまざまな意見を収集した。

インドネシアニッケル鉱業協会(APNI)の事務局長であるメイディ・カトリン・レンキー氏は、「インドネシアのニッケル市場」に関する現状を発表した。

ベルギーに本部を置く国際ステンレス鋼協会の経済・統計・製品担当ディレクターのカイ・ハーセンクレバー氏は、「ステンレス鋼市場の見通し」についてプレゼンテーションを行った。

3 産業関係者討議(IAP)

世界のニッケル生産、消費、リサイクル業界の代表者で構成される産業関係者討議(IAP)においても、貴重な情報が提供された。

カナダ・ニッケル社(加)のCEO兼取締役であるマーク・セルビー氏は、「ティミンズ~新しいニッケル産地~有望な次世代のニッケル大規模鉱床」についてプレゼンテーションを行った。

ウッド・マッケンジー社(英)のニッケル市場担当部長のショーン・マルショー氏は、「最近の国際ニッケル市場概要」についてプレゼンテーションを行った。

ロー・モーション社(英)の調査担当部長であるイオラ・ヒューズ氏は、「世界のEV市場の最新動向と展望」について説明を行った。

4 環境経済委員会

環境経済委員会では、ニッケルに関する経済的な問題や動向、環境、健康、安全に関する規制の変更など、幅広いテーマの議論が行われた。

ニッケル・インスティテュートの市場調査担当部長であるパルル・チャブラ氏は、「クリーンエネルギー開発におけるニッケル利用」について説明を行った。

経済協力開発機構(OECD)の金融企業局責任ある企業行動センターの鉱物・抽出物担当政策アナリストであるツェツィーリエ・ル・ガリッチ氏は、「責任ある鉱物サプライチェーンのためのOECDデュー・デリジェンス・ガイダンス」について説明を行った。

5 合同研究会セミナー

国際ニッケル研究会、国際鉛亜鉛研究会、国際銅研究会の合同セミナー「将来の金属需要に対するリサイクルの役割」を2023年10月4日午後に開催する。

6 INSGの次回総会日程

2024年4月に開催予定。

講演者が発表したプレゼンテーションは、INSGのウェブサイトに掲載する。詳細については、事務局まで問い合わせいただくか、ウェブサイトwww.insg.orgにアクセスしてください。

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「令和5年度 研究助成による成果報告会」開催について

2023-10-02

一般財団法人 日本鉱業振興会

 一般財団法人日本鉱業振興会は、標記の成果報告会を11月10日(金)に開催を予定しております。
 本年度は対面とWeb会議システム「Zoomウェビナー」を併用したハイブリッド開催といたします。講演会場での聴講は申し込みの必要がありませんので直接会場へお越しください。
 なお、「Zoom ウェビナー」での参加をご希望の方は、下記URLへ10月31日(火)までにご登録下さるようお願い申し上げます。

 <日 時> 2023年11月10日(金)9:30~17:00

 <参加申込先>
  URL:https://us06web.zoom.us/webinar/register/WN_ufsdfQPzTVC–Gj_vspdNA
  ◎登録事項 氏名・所属(会社名・部署・役職)・E-mailアドレス

 <問合せ先>
  一般財団法人 日本鉱業振興会 担当:五十嵐
  〒101-0054 東京都千代田区神田錦町3-17-11 榮葉ビル8階
  ℡:03-5280-2341   E-mail:sigarashi@kogyo-kyokai.gr.jp

 <講演会場>
  御茶ノ水ソラシティーカンファレンスセンター 2階 Sola city Hall【WEST】
  東京都千代田区神田駿河台4-6  TEL:03-6206-4855

 

 

 

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一般財団法人 日本鉱業振興会
〒100-0054 東京都千代田区神田錦町3-17-11
TEL 03-5280-2341 FAX 03-5280-7128

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