国際銅研究会(ICSG)2023年10月総会報告 (プレスリリース)

2023-10-10

国際銅研究会(ICSG)2023年10月総会報告

2023年10月5日
日本鉱業協会 企画調査部

 

2023年の秋季国際銅研究会(ICSG)総会は、10月3日及び4日(現地時間)にポルトガルのリスボンにて行われ、加盟国政府代表及び業界の代表者が会議に参加した。日本からは政府代表に加えて数名の業界関係者が参加した。10月4日付けでプレス発表された世界の銅需給見通しは次の通りである。

 

1.2023年と2024年の世界の銅需給予測(添付 世界の銅需給総括表参照)

1)銅鉱石生産

世界の銅鉱石生産量は、2023 年は 2022 年比で 1.9%、2024 年は 2023 年比で 3.7%それぞれ増加と予測。

  • 今回の予測では、増加率が2023年4月の3.0%から1.9%へ下方修正された。地域紛争による減産に加えて、鉱山の操業低下、悪天候や地滑り、数か国での鉱山会社の生産計画変更、地域住民の反対運動による減が原因である。
  • しかしながら、2023年の世界の銅鉱石生産そのものはコンゴ民主共和国、ペルー、チリをはじめとする国々での新規鉱山操業開始と既存鉱山の拡張の追い風を受け、増産が見込まれる。また、2022年初頭には依然としてCOVID-19に関する諸制限があったため、比較して多くの国々での操業回復が見込まれる。
  • 2024年の世界の鉱山生産量は2023年比で3.7%増加すると予想されている。新規鉱山操業開始、既存鉱山の拡張、2023年に減産となったチリ、中国、インドネシア、パナマ、インドでの増産が見込まれる。
  • 2022年から2024年に新規操業開始・拡張する主要プロジェクトは、DRコンゴのカモア・カクラとテンケ・フングルメ、ペルーのケジャベコ、トロモーチョ、チリのケブラダ・ブランカ2、ロシアのマルミシュコエ、ウドカン等の鉱山である。また、いくつかの中小銅鉱山も新規操業開始や拡張起業によって増産の見込みである。この3年間に操業を開始するプロジェクトのほとんどは、銅精鉱を産出する鉱山(SX-EWではない)である。

 


 

 

2)銅地金生産

世界全体の銅地金生産量は、前年比で 2023年に3.8%、2024年に4.6%増加と予測。

  • 2023年の銅地金生産量は、チリ、インドネシア、スウェーデン、米国での製錬所の生産障害、定修による減産となる見込み。

  • 2023年及び 2024年の世界の銅地金生産量の増加は、主に中国の製錬所の電解工程設備増強による増産によるもの。また、2024年には、インドネシア、インド、米国でも、産、新設・増強が開始される予定であり、これらも生産量増加に寄与する見込み。

  • 銅精鉱由来の銅地金生産増は、新規操業開始・拡張する鉱山の操業開始に因る。

  • SX-EW 由来の銅地金増産は横這いの予想。コンゴ民主共和国の SX-EW 設備の新設・増強が、チリの SX-EW 減を相殺するためである。

  • スクラップ原料由来の銅地金生産量は、二次原料処理を行う製錬所の設備増強により2023年、2024年ともに増産となる見込み。

 

 

3)銅地金消費

世界の銅地金見掛消費量は、前年比で 2023年に約 2.0%、2024年に約 2.7%増加と予測。

  • 2023年の世界全体の消費量が 2.0%増加するのは、主に中国の消費量が約 4.3%と大幅に増加するためである。

  • 2023年の中国を除く世界の消費量は約 1.0%減少すると予想されるが、これは主に欧州と北米における消費量の減少によるものである。

  • 世界の経済指標は厳しいものの、製造業での生産改善、新エネルギーへの転換、世界各国における半導体生産能力の強化で、消費量は持続的に増加していく見込み。

  • 銅は経済活動、特に現代の技術社会において不可欠である。加えて、主要国におけるインフラの拡充と、クリーンエネルギーと電気自動車の普及という世界的トレンドが、長期にわたる銅需要増加要因となるだろう。

 

4)銅地金需給バランス

世界の銅地金需給予測は、2023年には約 2万7千トン消費が生産を上回り、2023年には約46万7千トン生産が消費を上回る見込み。

  • ICSG は、グローバル市場のバランスは様々な需給要因により変化するものであると認識している。そのため、予見できない要因により、実際の需給が ICSG の予測から逸脱することは起こりうる。

  • ICSG は、グローバルな市場需給予測の際に、未報告である種々の中国の在庫(国家備蓄、生産者、消費者、貿易業者、保税区域)の増減は考慮に入れていない。これらの在庫は、在庫積み増しや、放出によっては世界の需給を大きく変える要因である。なお、中国の見掛け消費量は(生産+輸入−輸出+/+SHFE 在庫増減)によって算出している。

  • ICSG は 2023年の予測について、2023年4月の前回予測の11万4千トンの需要超過から、今回予測の2万7千トンの需要超過へ下方修正しました。2024年については、銅地金増産の影響を受け、前回予測の29万8千トンの供給余剰から、46万7千トンの供給余剰へと余剰幅が大きくなった。

 

2. ICSGの次回総会日程

2024年4月にポルトガル リスボンにて開催予定。

 

 

以上

 

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