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国際鉛亜鉛研究会(ILZSG)2024年9月総会報告(プレスリリース)
国際鉛亜鉛研究会(ILZSG)2024年9月プレスリリース
2024年9月30日
日本鉱業協会 企画調査部
2024年の秋季国際鉛亜鉛研究会(ILZSG)総会は9月26日から27日にかけてポルトガルリスボンにて開催された。
需給予測
1. 2024年鉛概況
1)鉛消費
- 世界の鉛地金の消費量は、2024年に対前年比0.2%増の1,313万トンに、2025年には1.9%増の1,339万トンになると予測されている。
- 2023年、ヨーロッパでの鉛地金の消費量は対前年比で4.1%増加した。2024年には1.8%の減少になると予想されている。これは主に、オーストリア、チェコ、フランス、イタリア、ポーランドにおける消費量の減少が、フィンランド、ギリシャ、ロシアにおける消費量の増加より上回ると予測されているため。また、日本、メキシコ、トルコ、米国では2024年の消費量が減少するものの、ブラジル、インド、韓国、アラブ首長国連邦、ベトナムでは増加すると予測される。
- 中国では、2024年の鉛地金消費が対前年比0.9%増加し、2025年にはさらに0.5%増加すると予想されている。中国での蓄電池生産量は、2023年に対前年比で10.5%増産した後で、2024年は0.5%の緩やかな増産に留まる見込み。
- 2025年の鉛地金消費は、ヨーロッパとメキシコで回復、ベトナムとインドでは引き続きの増加が予測される。
2)鉛生産
- 2024年世界の鉛精鉱生産量は、対前年比で1.7%増の454万トン、2025年には2.1%増の464万トンになると予想される。中国の生産量は、2024年の0.5%、2025年は1.5%の増産になると予想される。
- メキシコの鉛精鉱生産量は、2023年にニューモント社のペニャスキート鉱山で発生したストライキの影響での減産からの反動で、2024年は大幅な増産になる予測。オーストラリア、ブルガリア、カザフスタン、スウェーデンでも増産が予想される。一方、アイルランド、ポルトガル、南アフリカでは減産の予想。
- 2025年の鉛精鉱の増産は、主に中国、アイルランド、ロシアのオゼルノエ新鉱山の操業開始による増産が主因となる。ボスニア・ヘルツェゴビナでは、ヴァレス鉱山の増産も予想される。しかし、これらの増産はオーストラリアの減産によって部分的に相殺される見込み。
- 世界の鉛地金生産量は、対前年比で2024年に0.2%増の1,320万トン、2025年2.4%増の1,351万トンになると予想される。
- 2024年の鉛地金生産量は、中国、ポーランド、スウェーデン、カナダで減産になると予想される。カナダでは、テックリソーシズ社のトレイル製錬所の定修が第2四半期の生産量にマイナスの影響を与えた。しかし、これらの減産よりも、オーストラリア、ブルガリア、インド、イタリア、日本、カザフスタン、韓国での増産が上回る。
- 2025年の鉛地金生産量は、カナダ、中国、インドでは増加するが、英国では減少すると予測される。
- 各国から得た直近の情報を考慮し、世界の鉛消費は2024年で6万3千トン、2025年には12万1千トン生産が需要を上回る予想。
2.2024年の亜鉛概況
1)亜鉛消費
- 世界の亜鉛地金の消費量は、対前年比で2024年に1.8%増加し1,383万トン、2025年には、1.6%増加し1,404万トンになる見込み。
- 中国での亜鉛地金の消費量は、2024年、2025年共に対前年比で0.7%増加する見込み。中国の亜鉛メッキ鋼板、乗用車、家電製品の生産は2024年上半期に増加したが、不動産セクターへの投資は低迷を続けている。
- 欧州の亜鉛地金消費は2023年に8.6%減少し、2024年はさらに1.0%の減少が見込まれる。これは主にブルガリア、ドイツ、イタリア、ポーランドでの減少によるもので、フィンランドとフランスの増加でも相殺しきれない。
- 2024年、インドと韓国で亜鉛地金消費が大幅に増加すると予想される。ブラジル、メキシコ、台湾(中国)、トルコ、ベトナムでも増加が見込まれる。しかし、米国では減少すると予測されている。
- 2025年、亜鉛消費量はヨーロッパ、インド、ベトナムで増加するが、韓国では減少すると予測される。
2)亜鉛生産
- 世界の亜鉛精鉱生産量は、2022年に2.4%減、2023年には2.1%減産した。2024年には、1.4%減産して1,206万トンになると予想される。しかし、2025年には中国を除く世界全体の生産量が、8.9%増と堅調に増加する見込みで、世界全体で6.6%増の1,286万トンに回復すると予測されている。
- 欧州の亜鉛精鉱生産量は、2024年11.4%減産すると予想されるが、これは主にアイルランドとポルトガルでの減産によるもので、アイルランドではタラ鉱山が、ポルトガルではアルジャストレル鉱山が、それぞれ2023年後半から操業を中断しているためである。また、中国、カナダ、南アフリカ、米国、ペルーでも減産が予想されており、ペルーではアンタミナ鉱山が大幅に減産すると予測されている。しかし、これらの減産は、オーストラリア、メキシコ、コンゴ民主共和国で、アイバンホー社が操業する年産28万トンのキプシ鉱山の増産によって部分的に相殺される。
- 2025年には、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ポルトガル、アイルランドでの増産、ボリデンのタラ鉱山の再開が間近なことから、欧州の生産量が大幅に増加すると予想される。ロシアの生産量も、年産32万トンのオゼルノエ鉱山が9月に操業開始したことで増加予測。
- オーストラリア、ブラジル、中国、コンゴ民主共和国、ペルー、南アフリカ、サウジアラビアでは、さらなる増産が見込まれている。サウジアラビアではアル・マサネ鉱山の増産工事が年内に完了する予定。一方、米国では、主にレッド・ドッグ鉱山の減産により、さらなる減産が予想される。
- 世界の亜鉛地金の生産量は、2024年には精鉱不足のため1.8%減の1,367万トンとなり、2025年の世界生産量は3.9%増の1,419万トンに回復すると予測される。
- 中国の亜鉛地金生産は、2023年に7.7%と大幅な増産をしたが、2024年は3.9%減産する予測。ペルーとカナダでは減産が予想される。カナダでは、ケベック州にあるグレンコアのCE亜鉛製錬所の改修が理由。
- ヨーロッパの亜鉛地金生産量は、2023年に3.9%減産し、2024年はほぼ横ばいになると予測される。これは主にオランダとロシアでの減産分がフランス、ドイツ、イタリアの増産分と均衡する予測。
- 2025年の世界の亜鉛地金生産量は、亜鉛精鉱の増産を受け、オーストラリア、カナダ、中国、日本、オランダ、ロシア連邦、ノルウェーで増加が予想される。ノルウェーでは、第1四半期にオッダ製錬所の増産工事が完了する予定。しかしイタリアでは、サルデーニャ島にあるグレンコアの亜鉛二次製錬所が2025年に閉鎖されることが最近報道されたため、減少が予想される。
3)世界の亜鉛地金需給
2024年の世界の亜鉛地金需給バランスについては、消費が生産を16万4千トン上回ると予測している。2025年には生産が消費を14万8,000トンの上回ると予想される。
プレスリリースの詳細については、ウェブサイトwww.ilzsg.org にアクセスするか事務局宛てにお問い合わせください。
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国際銅研究会(ICSG)2024年9月総会報告(プレスリリース)
国際銅研究会(ICSG)2024年9月総会報告
2024年9月27日
日本鉱業協会 企画調査部
2024年の秋季国際銅研究会(ICSG)総会は、9月24日、25日(現地時間)にポルトガルのリスボンにて行われ、加盟国政府代表及び業界の代表者が会議に参加した。日本からは政府代表が参加した。9月26日付けでプレス発表された世界の銅需給見通しは次の通りである。
1.2024年と2025年の世界の銅需給予測(添付 世界の銅需給総括表参照)
1)銅鉱石生産
世界の銅鉱石生産量は、対前年比で、2024年は1.7%、2025年は3.5%、それぞれ増産と予測される。
今回の予測では、2024年の増加率は2023年の2.0%から下回る。新規プロジェクトの立ち上げ・既存鉱山の拡張はあったものの、ファースト・クアンタム社の年産33万トンのコブレ・パナマ鉱山閉鎖による減産分を相殺できなかったことが要因。
2024年暦年上半期での銅鉱石生産量は、グラスベルグ鉱山、エスコンディーダ鉱山の減産からの回復、テンケ・フングルメ鉱山、ケブラダブランカ2鉱山の拡張により4.5%増加した。
2025年には、コンゴ民主共和国のカモア・カクラ鉱山と、モンゴルで坑内掘りに移行したオユ・トルゴイ鉱山の増産、ロシアのマルミシュコエ鉱山の操業開始を主な要因として、3.5%の増産が予想される。また、中小鉱山の操業開始と拡張も鉱石増にわずかながら寄与する。
2)銅地金生産
世界全体の銅地金生産量は、対前年比で 2024年に4.2%、2025年に1.6%それぞれ増加と予測される。
2024年の銅地金生産量は、チリ、日本、インド、インドネシア、米国を含む主要生産国で、2023年中の定修や、操業不調が解消されて増産になる見込み。
同時に、コンゴ民主共和国(SX-EW)と中国(電解)における製錬所の新設・増設による増産と、スクラップ由来の銅の更なる増産も見込まれる。
2025年の増加率は、2024年より低くなると予測される。中国での電解処理能力の更なる増強とインドネシアとインドにおける新規の製錬所の立ち上げが増産に寄与するものの、鉱石由来の生産量の増加は銅精鉱の供給制約があり、小幅な増加にとどまると予想される。しかし、SX-EW由来の生産量は2.5%増産、二次原料由来の生産量は、処理能力の増強により6.0%増産すると予想される。
3)銅地金消費
世界の銅地金見掛消費量は、対前年比で、2024年に約 2.2%、2025年に約 2.7%の増加と予測される。
今回の予測での世界全体の増加率は、前回の2024年4月の予測とほぼ同じであり、EUを中心とする多くの国で下方修正されたが、その他の国々の上方修正により相殺された。
中国の消費量は2024年に約2.0%、2025年には1.8%増加すると予想される。
中国を除く世界の消費量は、2023年に3.0%減少した後、2024年に2.4%、2025年に3.7%の増加と予想される。これは主にインドとその他多くの国々における銅加工設備の増強によるものである。
銅は経済活動、特に現代の技術社会において不可欠である。加えて、主要国におけるインフラの拡充と、クリーンエネルギーと電気自動車の普及という世界的トレンドが、長期にわたる銅需要増加要因となるだろう。
4)銅地金需給バランス
世界の銅地金需給予測は、2024年には約46万9千トン、2025年には約19万4千トン生産が消費を上回る見込み。
ICSG は、グローバル市場のバランスは様々な需給要因により変化するものであると認識している。そのため、予見できない要因により、実際の需給が ICSG の予測から逸脱することは起こりうる。
ICSG は、グローバルな市場需給予測の際に、中国の在庫(国家備蓄、生産者、消費者、貿易業者、保税区域)の増減は考慮に入れていない。これらの在庫は、在庫積み増しや、放出によっては世界の需給を大きく変える要因である。なお、中国の見掛け消費量は(生産+輸入−輸出+/+SHFE 在庫増減)によって算出している。
ICSGは、2024年の需給バランス予測について、2024年4月(前回予測)の16万2千トンの生産過剰から、今回予測の46万9千トンの生産過剰へ修正しました。2025年の需給については約19万4千トン生産が消費を上回る見込み。
2. ICSGの次回総会日程
2025年4月にポルトガル リスボンにて開催予定。
地金需給予測
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国際ニッケル研究会(INSG)2024年9月総会報告(プレスリリース)
国際ニッケル研究会(INSG)2024年9月総会報告
2024年9月25日
日本鉱業協会企画調査部
2024年の秋季国際ニッケル研究会(INSG)総会は、9月23日及び24日にポルトガルのリスボンで開催され、加盟国の政府や業界、国際機関などの関係者が参加した。9月24日付けで発表されたプレスリリースは次のとおりである。
1 2024年及び2025年の世界のニッケル市場
ニッケル地金生産については、インドネシアでは2024年及び2025年においてもNPI(ニッケル・ピッグ・アイアン)やHPALプロジェクト(高圧酸化浸出プロセス)のMHP(ニッケル・コバルト混合水酸化物)、NPIの純度を上げて精製したニッケルマット、ニッケル地金、硫酸ニッケルなど、様々な種類のニッケル製品が引き続き増産されると予想される。中国では、NPIの生産量は減少するものの、ニッケル地金と硫酸ニッケルの生産量は増加するため、中国全体としては増加することが見込まれる。
その他の地域では、採算性の問題から多くの鉱山・製錬所が休止や減産しているか、または将来的に休止・減産を検討する事態に追い込まれている。
世界ステンレス協会(旧ISSF、国際ステンレス鋼協会)の発表によると、2024年1~3月のステンレス鋼の生産量は、2023年1~3月比5.5%増の1,460万トンであった。
2024年及び2025年のニッケル需要については、中国やインドネシアにおいてステンレス鋼向けの需要のさらなる増加が予測される。一方、電気自動車(EV)バッテリー向け需要については、ニッケルを使用しないリン酸鉄リチウムとの競合やPHEV(プラグインハイブリッド車)の販売拡大などにより、予想を下回る伸びとなっている。しかしながら、世界各地の新たな三元系正極材前駆体(pCAM)プロジェクトが早期に生産を開始する可能性が高く、ニッケル需要の増加要因となることが見込まれる。
世界の新産ニッケル生産量は、2023年は336.0万トンで、2024年は351.6万トン、2025年は364.9万トンに増加すると予測した。ただし、生産中止等の事態は含まれていない。
世界の新産ニッケル消費量は、2023 年は319.3 万トンで、2024 年は334.6 万トン、2025 年は351.4 万トンに増加すると予測した。
したがって、2023 年は16.7 万トン生産が消費を上回り、2024 年も17.0 万トン、2025 年も13.5 万トン生産が消費を上回る見込みである。
2 統計委員会
統計委員会では、一連の発表と議論を通じて、統計に関する建設的な意見を収集した。
インドネシアニッケル鉱業協会(APNI)の事務局長であるメイディ・カトリン・レンキー氏は、「インドネシアのニッケル市場に関する見通し」を発表した。
CRU(英)のステンレス鋼原料部長のパノス・コツェラス氏は、「従来型のビジネスではないステンレス鋼のバリューチェーン」について説明を行った。
3 産業関係者討議(IAP)
世界のニッケル生産、消費、リサイクル業界の代表者で構成される産業関係者討議(IAP)においても、貴重な情報が提供された。
テラフェーム(フィンランド)のCCO(最高商務責任者)であるヤンネ・パロサーリ氏は、「テラフェーム社の最新動向」について概要を説明した。
FPX ニッケル(カナダ)の社長兼CEO(最高経営責任者)兼であるマーティン・テュレンヌ氏は、カナダ産の低炭素ニッケルとなる「バプティスト・ニッケルプロジェクト」についてプレゼンテーションを行った。
鉄鋼・金属市場調査会社SMR(オーストリア/ドイツ)の原料担当チーフアナリストのロバート・メスマー氏は、「ニッケル関連の特殊鋼及び超合金」について説明を行った。
4 環境経済委員会
環境経済委員会では、ニッケルの持続可能な生産をテーマとして議論が行われた。
ニッケル・インスティテュートの市場調査担当部長であるパルル・チャブラ氏は、「クリーンエネルギー移行におけるニッケルの役割」について説明を行った。
5 合同セミナー
国際ニッケル研究会、国際鉛亜鉛研究会、国際銅研究会の合同セミナー「重要鉱物に関する取組みと戦略」を2024 年9 月25 日に開催する。
6 INSGの次回総会日程
2025 年4 月に開催予定。
講演者のプレゼンテーションは、INSG のウェブサイトに掲載する。詳細については、事務局まで問い合わせいただくか、ウェブサイトwww.insg.org にアクセスしてください。
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国際鉛亜鉛研究会(ILZSG)2022年10月プレスリリース
国際鉛亜鉛研究会(ILZSG)2022年10月プレスリリース
2022年10月31日
日本鉱業協会企画調査部
2022年の秋季国際鉛亜鉛研究会(ILZSG)第67回総会は10月20日及び21日にポルトガル リスボンにて開催された。
このセッションは、ILZSGの統計委員会は現在の需給状況と2023年の見通しを含む。
常任委員会、鉱山製錬プロジェクト、経済・環境委員会、産業関係者討議(IAP)も併せて行われた。亜鉛と鉛の現在の世界需給と2023年の概況の見通しについて発表がなされた。同様に、経済・環境委員会も行われた。それぞれの委員会において、世界の亜鉛、鉛のトレンドや問題点についての有益な情報を伝えるプレゼンテーションが行われた。
需給予測
1.2022年及び2023年鉛概況
1)鉛消費
- 世界の鉛地金消費量は2021年に4.6%増加した。2022年には0.8%増加し1,242万トン、2023年に1.4%増加し1,260万トンになる見込み。
- 2022年の中国での鉛地金消費量は0.3%増加見込み。COVID-19への対応を含む中国政府の施策が、鉛地金需要のうちの自動車分野の需要減に繋がったためである。しかしながら、この需要減の一部は鉛バッテリーの輸出によって相殺された。2023年には、中国での鉛地金消費量は1.1%増加の見込み。
- 2022年の欧州の鉛地金消費は、ポーランド、ロシア、ウクライナでの減少の結果0.5%減少見込み。2023年はイタリアでの大幅減少が主な原因となり、2022年の減少から更に1.0%の減少予測。
- 米国での鉛地金消費は2022年の4.0%増加、2023年では増減なしの見込み。その他の地域については、インド、日本、メキシコでの消費増加を見込んでいる。
2)鉛生産
- 2022年の世界の鉛精鉱生産は、前年とほぼ変動なしの456万トン、2023年には2.7%増加し468万トンとなる見込み。中国では2022年に0.4%、2023年に1.5%増加する見込み。
- 2022年の鉛精鉱生産では、ブラジル、インド、メキシコ、パキスタン、スウェーデンで増加するが、オーストラリアでの減産が相殺する見込み。減産は、ギリシャ、カザフスタン、ペルーでも見込まれる。
- 2023年の世界の鉛精鉱生産は主にブラジル、インド、カザフスタンと、年産9万5千tの生産能力のあるガレナ社アブラ鉱山の第一四半期に操業開始を予定するオーストラリアの増産によってプラスになる。
- 鉛地金生産は2022年0.3%減少し1,234万トン、2023年には1.8%増加し1,256万トンになる見込み。
- 2022年の鉛地金生産量はロシア、ウクライナ、ドイツで減産になる。ドイツでは、ストルベルグ製錬所の再開が遅れている。合計年産8万トン地金生産能力を持つ2つの二次製錬所が停止しているイタリアでも減産見込み。同様に、韓国、トルコ、米国、オーストラリアでも減産見込み。オーストラリアでは、ニルスター社ポートピリー製錬所が第四四半期に2か月の定修を予定している。
- 2023年には鉛地金生産はオーストラリア、ドイツ、インドと新製錬所が稼働開始予定のUAEの増産がある見込み。しかし、イタリアでは相当量の減産が見込まれている。
3)鉛地金需給バランス
各国から得た直近の情報を考慮し、世界の鉛消費は2022年で8万3千トン消費が生産を上回る見込み。2023年には4万2千トン消費が生産を上回る見込み。
2.2022年及び2023年の亜鉛概況
1)亜鉛消費
- 世界の亜鉛地金の消費量は、2022年は1.9%減少し1,379万トン、2023年には1.5%増加し1,399万トンになる見込み。
- 2022年の中国の消費は3.3%減少する見込み。これは主に、COVID-19の感染再拡大を防止する政策を行った結果、亜鉛の最大の消費部門が影響を受けたためである。2023年には2022年1.2%増加見込み。
- 2022年のヨーロッパの消費は3.1%減少する見込み。主にイタリア、フランス、ロシア、ウクライナの需要減少が要因。その他地域では日本、韓国、トルコで減少する一方、インド、メキシコ、サウジアラビア、南アフリカ、台湾(中国)、米国での増加が見込まれている。
- 2023年の消費は、インド、日本、韓国、メキシコで増加見込み。欧州と米国では増減なしの見込み。
2)亜鉛生産
- 2022年の世界の亜鉛精鉱生産は0.9%減少し1,268万トン、2023年は2.7%増加し1,303万トンになると見込まれる。
- 2022年の亜鉛精鉱生産はオーストラリア、ペルー及び洪水被害により4月に操業を停止したペルコア鉱山を有するブルキナファソでの大幅な減産となった。カナダでの減産も相当量で、主にトレヴァリマイニングのカリボー鉱山の操業停止、マタガミ、777鉱山の鉱石枯渇による閉山が主因である。
- 2022年の亜鉛精鉱生産は中国、アイルランド、ギリシャ、ナミビアで減産となる。インド、パキスタン、南アフリカ、米国と、ルンディン・マイニング社のネベス・コルボ鉱山の年産8万トンの拡張が最近完了したポルトガルで増産が見込まれている。
- 2023年の亜鉛精鉱生産は、ブラジルで最近操業を開始したネクサリソーシスのアリプアナ鉱山における増産の主な要因となると見込まれている。増産は、オーストラリア、アイルランド、メキシコ、ペルー、ポルトガルと、ヒンドゥスタンジンクの鉱山の更なる拡張が予定されているインドでも見込まれている。しかしながら、カナダ、米国では減産が見込まれている。
- 2022年の世界の亜鉛地金生産は、2.7%減少の1,349万トンになると見込まれている。減産理由はヨーロッパでの生産の大幅な減少が主因である。2023年には、世界の亜鉛地金生産は2.6%増加の1,384万トンになると見込まれている。
- 2022年のヨーロッパでの亜鉛地金生産は、12%の減少となる見込み。これはエネルギー価格の急上昇により一部製錬所がかなりの減産を行ったことが主な原因。ニルスター社は年産30万トンのオランダのブーデル製錬所を9月に停止し、グレンコア社は最近ドイツ ノルデンハム製錬所の一時閉鎖を発表した。イタリアでは、グレンコア社のポルトベスメ製錬所の生産が2022年1月から停止している。フランスではニルスター社のオービー製錬所の操業が年初で二か月停止した。加えて、ベルギーのバレン製錬所、スペインのアストゥリアナ製錬所、スペインの局所において日中の電力価格ピーク時に生産を縮小する。
- 2022年の亜鉛地金生産の減産はブラジル、中国、カザフスタン、メキシコと、9月にハドベイ社フリンフロン製錬所の閉鎖があったカナダにおいても見込まれている。一方、インド、韓国においては増産が見込まれている。
- 2023年の世界の亜鉛地金生産は、3.8%の大幅な増産を見込む中国の影響を受ける見込み。増産は、オーストラリア、インド、カザフスタン、メキシコと、最近新しい製錬所が操業を開始したトルコでも見込まれている。
3)世界の亜鉛地金需給
- 各国からの情報を考慮し、世界の亜鉛需要は2022年に29万7千トン需要が生産を上回る。2023年に15万トン需要が生産を上回ると予測する。
プレスリリースの詳細については、ウェブサイトwww.ilzsg.orgにアクセスするか事務局宛てにお問い合わせください。
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国際ニッケル研究会(INSG)2021年10月総会報告
国際ニッケル研究会(INSG)2021年10月総会報告
2021年10月7日
日本鉱業協会企画調査部
2021年の秋季国際ニッケル研究会(INSG)総会は、10月1日及び4日にポルトガルのリスボンを基点としてWeb会議にて開催され、加盟国、国際機関などから官民合わせて60人を超える関係者が参加した。10月6日付けで発表されたプレスリリースは次のとおりである。
1 2021年及び2022年の世界のニッケル市場
2021年はCOVID-19ワクチンの接種が広がり、地域によって差はあるものの世界的に経済指標の回復が進んだ年となった。2022年も引き続きプラス成長が見込まれている。政府と業界の参加者は、会議においてニッケル市場の動向について広範囲に議論を行った。
国際ステンレス鋼フォーラム(ISSF)の発表によると、2021年1~3月のステンレス鋼の生産量は、2020年1~3月比24.7%増の1,450万トンであった。2021年通年では、中国での減産の可能性が報じられているものの、大きく増加する見込みである。2022年についてもさらなる増加が見込まれている。電気自動車生産量の増加は、バッテリーに硫酸ニッケルを使用していることから、引き続きニッケル需要にプラスの影響を与える。
インドネシア政府は、2020年1月より未加工のニッケル鉱石輸出を禁止した。その結果、中国はNPI(ニッケル・ピッグ・アイアン)用の鉱石原料不足になったため、中国のNPI生産量は減少した。その反面、インドネシアにおける新規NPIプロジェクトは2020年に大幅に増加し、2021年及び2022年もこの傾向は続いていくとみられる。
世界のニッケル鉱石の生産量は、主にインドネシアの鉱石輸出禁止により2020年に減少したが、2021年は回復し、2022年は増加傾向が続くと予想される。インドネシアは国内のニッケル産業が拡大していることから、世界最大のニッケル生産国となっている。インドネシア及び他の地域で事業計画中のHPALプロジェクト(高圧酸化浸出プロセス)は、従来の硫化鉱ではなく酸化鉱を原料とするため、鉱石生産量はさらに増加することになる。
世界の新産ニッケル生産量は、2020年は249.1万トンであったが、2021年は263.9万トン、2022年は312.0万トンに達すると予測した。ただし、中国とインドネシアの生産量に関しては変動幅が大きく不確実である。また、生産中止等の要因を見据えた調整係数は含まれていない。
世界の新産ニッケル消費量は、2020年は238.4万トンであったが、2021年は277.3万トン、2022年は304.4万トンに増加すると予測した。したがって、2020年は10.7万トンの供給過多であったが、2021年は13.4万トンの供給不足、2022年は7.6万トンの供給過多になる。
2 統計委員会および産業関係者討議(IAP)
統計委員会、産業関係者討議(IAP)は合同会議となった。主な講演や関連した議論は以下のとおりであった。
オーストラリア及びベトナムで事業展開中のブラックストーン・ミネラルズのマネージング・ディレクターであるスコット・ウィリアムソン氏は、同社がベトナム北部で開発中の「ター・コア・ニッケルプロジェクト」についてプレゼンテーションを行った。
ベルギーに本部を置く国際ステンレス鋼フォーラム(ISSF)の経済・統計・製品担当ディレクターのカイ・ハーセンクレバー氏は、「世界のステンレス鋼市場の現状」についてプレゼンテーションを行った。
マイスチール(中国)のシニア・ニッケル担当アナリストであるベティー・サン氏は、「中国のニッケル需給の見通し」についてプレゼンテーションを行った。
3 環境経済委員会
環境経済委員会では、ニッケルに関する経済的な問題や動向、環境、健康、安全に関する規制の変更など、幅広いテーマの議論が行われた。
ニッケル・インスティテュートの政策分析担当シニア・マネージャーであるマーク・ミストリー博士及び市場開発担当アナリストのパルル・チャブラ氏は、「クリーンエネルギー技術におけるニッケルの役割」についてプレゼンテーションを行った。
ロー・モーション(英国)のマネージング・ディレクターであるアダム・パナイ氏は、「電池製造におけるニッケルの使用状況、電池・電気自動車分野でのニッケル需要の将来性に関するロー・モーション社の展望」についてプレゼンテーションを行った。
4 INSGの次回総会日程その他
2022年4月4日の週に開催予定。
講演者が発表したプレゼンテーションは、INSGのウェブサイトに掲載する。詳細については、事務局まで問い合わせいただくか、ウェブサイトwww.insg.orgにアクセスしてください。
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本誌公表統計の一部改廃について(お知らせ)2
本誌公表統計の一部改廃について(お知らせ)
2021年3月11日
日本鉱業協会
平素より本誌の公表統計をご利用いただき、まことにありがとうございます。
当協会では、経済産業省の需給動態統計、貴金属流通統計が2020(令和2)年12月分をもち廃止になったことを受け、関連公表統計の見直し作業を行って参りました。その結果、以下のように現行の公表統計を追加して改廃することと致しましたので、お知らせいたします。
- 主要非鉄金属貿易統計 (統合新設)
これまでの「我が国の主要非鉄金属の国別・形態別輸入状況」の内容を見直し、精鉱輸入、地金輸出入に関する主要国別貿易状況をまとめた貿易統計表を公表します。英文併記として、和文、英文別の表掲載も統合します。 - 主要非鉄相場推移表 (統合新設)
これまでの、「地金価格推移表」、「主要非鉄金属価格推移表(最高・最低)」、「銅・鉛・亜鉛価格表及び生産・内需推移」の3表を統合のうえ、直近の日次相場と、月次平均価格、国内建値を主要メタル別に表形式に編集した統計を公表します。 - 世界の需給関連統計の廃止
「地域別鉱石、粗銅、銅地金生産及び銅地金消費」、「世界の亜鉛生産・消費・在庫統計」、「世界の鉛生産・消費・在庫統計」は、コンプライアンス上の懸念が発生したため公表を中止します。
これらの改廃は、2021(令和3)年1月分の統計分から適用します。
以上
JMIA STATISTICS MODIFICATION NOTICE
March 10th, 2021
Dear readers
We thank you so much for your approach on our statistics.
We are pleased to notice our statistic policy additionally applicable on the report of January 2021 as described below. This is based on fundamentally METI’s abolishment of 2 governmental statistics of the Current metal supply demand report, and the precious metals flow report by December 2020. Our additional statistic tables are described as below.
- NON-FERROUS METALS TRADE STATISTICS ( Renewal )
This table covers principal metals official trade statistics summary including concentrates import, primary metals import and export, instead of the former table of the import tables for non-ferrous metals in Japan by country etc. - NON-FERROUS METALS PRICE TABLE ( Consolidated of former related tables)
This table covers principal metals prices by daily and by monthly average through collecting and editing originally disclosed figures by JMIA, including Japan’s smelters producer price. This table replaces variety of former pricing related tables and charts by JMIA. - Abolishment of global supply and demand summary
We stop this disclosing service due to our revised compliance policy.
This notice is applicable on January 2021 statistics and thereafter.
Yours respectably
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本誌公表統計の一部改廃について(お知らせ)
本誌公表統計の一部改廃について(お知らせ)
2021年1月25日
平素より本誌の公表統計をご利用いただき、まことにありがとうございます。
このたび、経済産業省の需給動態統計、貴金属流通統計が2020(令和2年)12月分を持ちまして中止になりました。当協会におきましても、これら2種類の統計利用を含めた現行の統計業務を見直しました。その結果、下記のように現行の公表統計を改廃することと致しましたので、お知らせいたします。
1. 改廃する統計と変更点
1) 生産・出荷・在庫統計は廃止いたします。
2) 需給実績表は、対象鉱種と公表項目を以下のとおり変更します。
① 銅、亜鉛、鉛、銀、スズについては、在庫、生産、出荷、輸出入につき月報ベースで統計を公表します。
② ニッケルについては、生産および輸出入の統計を公表します。
③ 金は、年報ベースで生産、在庫、出荷統計を公表します。
④ その他の鉱種についての統計公表を中止します。
⑤ ①から③の鉱種についても公表内容を変更し、原則として生産者側の統計公表となります。
⑥ 統計様式を一部改善します。また、英語版の統計表を和文版に合体し、和文英文併記の表とします。
3) 2021(令和3)年1月分の統計公表から適用します。
2. その他の統計
上記以外の価格、貿易関連統計は現行どおり公表予定ですが、変更する場合には都度、お知らせいたします。
JMIA STATISTICS MODIFICATION NOTICE
January 25th, 2021
Dear readers
We thank you so much for your approach on our statistics.
We are pleased to notice our new statistic announcement policy applicable on the report ofJanuary 2021 as described below. This is based on fundamentally METI’s abolishment of 2 governmental statistics of the Current metal supply demand report, and the precious metals flow report by December 2020. We reviewed our currently statistic policy as appropriate, and decided to modify our statistics announcement.
1. Statistics tables in modifying
1) Full cancellation of the JMIA statistic on production, shipment and inventory.
2) Partial modification on the Supply and Demand report as described below.
① Monthly report available for copper, zinc, lead, silver and tin with items on stocks, production, shipment and trade in similar contents.
② Only production and trade monthly report is available for primary nickel.
③ Annual report is only available for gold on production, stock and shipment.
④ Full abolishment for any other metals.
⑤ Statistics content are based on producers’ figures due to the government statistic announcement change, including the above
①②③ contents.
⑥ Report formula is partially modified. One table is only announced by consolidating both Japanese and English items description.
3) This notice is applicable January 2021 statistics and thereafter.
2. Other
Other statistics are available as they are, and we will notice additional statistic policy modification appropriately.
Yours respectably
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訂正とお詫び
機関誌「鉱山」2020年10月号において、下記のように誤りがありました。
ここに深くお詫びし、訂正させていただきます。
P.13 タイトル行
誤) 2021(令和3)年度鉱山・火薬類保安関連予算
正) 2020(令和2)年度鉱山・火薬類保安関連予算
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国際研究会報告記事の変更
国際研究会報告記事の変更
国際銅研究会(ICSG)、国際鉛亜鉛研究会(ILZSG)、国際ニッケル研究会(INSG)の総会報告につき、2020年10月開催分より記事の掲載タイミングと内容を以下のように変更します。
- プレス発表後1週間以内を目途に、鉱山誌の新着情報欄に、各研究会より発表される世界の需給予測を中心としたプレス発表ベースの総会報告や参加報告を掲載します。
- 総会開催月の翌月の機関誌「鉱山」誌上に、これまでと同様に、詳細データや統計以外の委員会報告などを含む包括的な報告を掲載します。
以上
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