国際鉛亜鉛研究会(ILZSG)2022年10月プレスリリース

2022-11-01

国際鉛亜鉛研究会(ILZSG)2022年10月プレスリリース

2022年10月31日
日本鉱業協会企画調査部

 

2022年の秋季国際鉛亜鉛研究会(ILZSG)第67回総会は10月20日及び21日にポルトガル リスボンにて開催された。

このセッションは、ILZSGの統計委員会は現在の需給状況と2023年の見通しを含む。

常任委員会、鉱山製錬プロジェクト、経済・環境委員会、産業関係者討議(IAP)も併せて行われた。亜鉛と鉛の現在の世界需給と2023年の概況の見通しについて発表がなされた。同様に、経済・環境委員会も行われた。それぞれの委員会において、世界の亜鉛、鉛のトレンドや問題点についての有益な情報を伝えるプレゼンテーションが行われた。

需給予測

1.2022年及び2023年鉛概況

1)鉛消費

  • 世界の鉛地金消費量は2021年に4.6%増加した。2022年には0.8%増加し1,242万トン、2023年に1.4%増加し1,260万トンになる見込み。
  • 2022年の中国での鉛地金消費量は0.3%増加見込み。COVID-19への対応を含む中国政府の施策が、鉛地金需要のうちの自動車分野の需要減に繋がったためである。しかしながら、この需要減の一部は鉛バッテリーの輸出によって相殺された。2023年には、中国での鉛地金消費量は1.1%増加の見込み。
  • 2022年の欧州の鉛地金消費は、ポーランド、ロシア、ウクライナでの減少の結果0.5%減少見込み。2023年はイタリアでの大幅減少が主な原因となり、2022年の減少から更に1.0%の減少予測。
  • 米国での鉛地金消費は2022年の4.0%増加、2023年では増減なしの見込み。その他の地域については、インド、日本、メキシコでの消費増加を見込んでいる。

2)鉛生産

  • 2022年の世界の鉛精鉱生産は、前年とほぼ変動なしの456万トン、2023年には2.7%増加し468万トンとなる見込み。中国では2022年に0.4%、2023年に1.5%増加する見込み。
  • 2022年の鉛精鉱生産では、ブラジル、インド、メキシコ、パキスタン、スウェーデンで増加するが、オーストラリアでの減産が相殺する見込み。減産は、ギリシャ、カザフスタン、ペルーでも見込まれる。
  • 2023年の世界の鉛精鉱生産は主にブラジル、インド、カザフスタンと、年産9万5千tの生産能力のあるガレナ社アブラ鉱山の第一四半期に操業開始を予定するオーストラリアの増産によってプラスになる。
  • 鉛地金生産は2022年0.3%減少し1,234万トン、2023年には1.8%増加し1,256万トンになる見込み。
  • 2022年の鉛地金生産量はロシア、ウクライナ、ドイツで減産になる。ドイツでは、ストルベルグ製錬所の再開が遅れている。合計年産8万トン地金生産能力を持つ2つの二次製錬所が停止しているイタリアでも減産見込み。同様に、韓国、トルコ、米国、オーストラリアでも減産見込み。オーストラリアでは、ニルスター社ポートピリー製錬所が第四四半期に2か月の定修を予定している。
  • 2023年には鉛地金生産はオーストラリア、ドイツ、インドと新製錬所が稼働開始予定のUAEの増産がある見込み。しかし、イタリアでは相当量の減産が見込まれている。

3)鉛地金需給バランス

 各国から得た直近の情報を考慮し、世界の鉛消費は2022年で8万3千トン消費が生産を上回る見込み。2023年には4万2千トン消費が生産を上回る見込み。

2.2022年及び2023年の亜鉛概況

1)亜鉛消費

  • 世界の亜鉛地金の消費量は、2022年は1.9%減少し1,379万トン、2023年には1.5%増加し1,399万トンになる見込み。
  • 2022年の中国の消費は3.3%減少する見込み。これは主に、COVID-19の感染再拡大を防止する政策を行った結果、亜鉛の最大の消費部門が影響を受けたためである。2023年には2022年1.2%増加見込み。
  • 2022年のヨーロッパの消費は3.1%減少する見込み。主にイタリア、フランス、ロシア、ウクライナの需要減少が要因。その他地域では日本、韓国、トルコで減少する一方、インド、メキシコ、サウジアラビア、南アフリカ、台湾(中国)、米国での増加が見込まれている。
  • 2023年の消費は、インド、日本、韓国、メキシコで増加見込み。欧州と米国では増減なしの見込み。

2)亜鉛生産

  • 2022年の世界の亜鉛精鉱生産は0.9%減少し1,268万トン、2023年は2.7%増加し1,303万トンになると見込まれる。
  • 2022年の亜鉛精鉱生産はオーストラリア、ペルー及び洪水被害により4月に操業を停止したペルコア鉱山を有するブルキナファソでの大幅な減産となった。カナダでの減産も相当量で、主にトレヴァリマイニングのカリボー鉱山の操業停止、マタガミ、777鉱山の鉱石枯渇による閉山が主因である。
  • 2022年の亜鉛精鉱生産は中国、アイルランド、ギリシャ、ナミビアで減産となる。インド、パキスタン、南アフリカ、米国と、ルンディン・マイニング社のネベス・コルボ鉱山の年産8万トンの拡張が最近完了したポルトガルで増産が見込まれている。
  • 2023年の亜鉛精鉱生産は、ブラジルで最近操業を開始したネクサリソーシスのアリプアナ鉱山における増産の主な要因となると見込まれている。増産は、オーストラリア、アイルランド、メキシコ、ペルー、ポルトガルと、ヒンドゥスタンジンクの鉱山の更なる拡張が予定されているインドでも見込まれている。しかしながら、カナダ、米国では減産が見込まれている。
  • 2022年の世界の亜鉛地金生産は、2.7%減少の1,349万トンになると見込まれている。減産理由はヨーロッパでの生産の大幅な減少が主因である。2023年には、世界の亜鉛地金生産は2.6%増加の1,384万トンになると見込まれている。
  • 2022年のヨーロッパでの亜鉛地金生産は、12%の減少となる見込み。これはエネルギー価格の急上昇により一部製錬所がかなりの減産を行ったことが主な原因。ニルスター社は年産30万トンのオランダのブーデル製錬所を9月に停止し、グレンコア社は最近ドイツ ノルデンハム製錬所の一時閉鎖を発表した。イタリアでは、グレンコア社のポルトベスメ製錬所の生産が2022年1月から停止している。フランスではニルスター社のオービー製錬所の操業が年初で二か月停止した。加えて、ベルギーのバレン製錬所、スペインのアストゥリアナ製錬所、スペインの局所において日中の電力価格ピーク時に生産を縮小する。
  • 2022年の亜鉛地金生産の減産はブラジル、中国、カザフスタン、メキシコと、9月にハドベイ社フリンフロン製錬所の閉鎖があったカナダにおいても見込まれている。一方、インド、韓国においては増産が見込まれている。
  • 2023年の世界の亜鉛地金生産は、3.8%の大幅な増産を見込む中国の影響を受ける見込み。増産は、オーストラリア、インド、カザフスタン、メキシコと、最近新しい製錬所が操業を開始したトルコでも見込まれている。

3)世界の亜鉛地金需給

  • 各国からの情報を考慮し、世界の亜鉛需要は2022年に29万7千トン需要が生産を上回る。2023年に15万トン需要が生産を上回ると予測する。

 

 プレスリリースの詳細については、ウェブサイトwww.ilzsg.orgにアクセスするか事務局宛てにお問い合わせください。

 

以上

>> 印刷はこちら(PDF)

一般財団法人 日本鉱業振興会
〒100-0054 東京都千代田区神田錦町3-17-11
TEL 03-5280-2341 FAX 03-5280-7128

サイト利用規約 | プライバシーポリシー

Copyright © The Japan Mining Promotive Foundation. All Rights Reserved.