国際ニッケル研究会(INSG)2021年10月総会報告 New

2021-10-08

国際ニッケル研究会(INSG)2021年10月総会報告

2021年10月7日
日本鉱業協会企画調査部

2021年の秋季国際ニッケル研究会(INSG)総会は、10月1日及び4日にポルトガルのリスボンを基点としてWeb会議にて開催され、加盟国、国際機関などから官民合わせて60人を超える関係者が参加した。10月6日付けで発表されたプレスリリースは次のとおりである。

1 2021年及び2022年の世界のニッケル市場

2021年はCOVID-19ワクチンの接種が広がり、地域によって差はあるものの世界的に経済指標の回復が進んだ年となった。2022年も引き続きプラス成長が見込まれている。政府と業界の参加者は、会議においてニッケル市場の動向について広範囲に議論を行った。

国際ステンレス鋼フォーラム(ISSF)の発表によると、2021年1~3月のステンレス鋼の生産量は、2020年1~3月比24.7%増の1,450万トンであった。2021年通年では、中国での減産の可能性が報じられているものの、大きく増加する見込みである。2022年についてもさらなる増加が見込まれている。電気自動車生産量の増加は、バッテリーに硫酸ニッケルを使用していることから、引き続きニッケル需要にプラスの影響を与える。

インドネシア政府は、2020年1月より未加工のニッケル鉱石輸出を禁止した。その結果、中国はNPI(ニッケル・ピッグ・アイアン)用の鉱石原料不足になったため、中国のNPI生産量は減少した。その反面、インドネシアにおける新規NPIプロジェクトは2020年に大幅に増加し、2021年及び2022年もこの傾向は続いていくとみられる。

世界のニッケル鉱石の生産量は、主にインドネシアの鉱石輸出禁止により2020年に減少したが、2021年は回復し、2022年は増加傾向が続くと予想される。インドネシアは国内のニッケル産業が拡大していることから、世界最大のニッケル生産国となっている。インドネシア及び他の地域で事業計画中のHPALプロジェクト(高圧酸化浸出プロセス)は、従来の硫化鉱ではなく酸化鉱を原料とするため、鉱石生産量はさらに増加することになる。

世界の新産ニッケル生産量は、2020年は249.1万トンであったが、2021年は263.9万トン、2022年は312.0万トンに達すると予測した。ただし、中国とインドネシアの生産量に関しては変動幅が大きく不確実である。また、生産中止等の要因を見据えた調整係数は含まれていない。

世界の新産ニッケル消費量は、2020年は238.4万トンであったが、2021年は277.3万トン、2022年は304.4万トンに増加すると予測した。したがって、2020年は10.7万トンの供給過多であったが、2021年は13.4万トンの供給不足、2022年は7.6万トンの供給過多になる。

2 統計委員会および産業関係者討議(IAP)

統計委員会、産業関係者討議(IAP)は合同会議となった。主な講演や関連した議論は以下のとおりであった。

オーストラリア及びベトナムで事業展開中のブラックストーン・ミネラルズのマネージング・ディレクターであるスコット・ウィリアムソン氏は、同社がベトナム北部で開発中の「ター・コア・ニッケルプロジェクト」についてプレゼンテーションを行った。

ベルギーに本部を置く国際ステンレス鋼フォーラム(ISSF)の経済・統計・製品担当ディレクターのカイ・ハーセンクレバー氏は、「世界のステンレス鋼市場の現状」についてプレゼンテーションを行った。

マイスチール(中国)のシニア・ニッケル担当アナリストであるベティー・サン氏は、「中国のニッケル需給の見通し」についてプレゼンテーションを行った。

3 環境経済委員会

環境経済委員会では、ニッケルに関する経済的な問題や動向、環境、健康、安全に関する規制の変更など、幅広いテーマの議論が行われた。

ニッケル・インスティテュートの政策分析担当シニア・マネージャーであるマーク・ミストリー博士及び市場開発担当アナリストのパルル・チャブラ氏は、「クリーンエネルギー技術におけるニッケルの役割」についてプレゼンテーションを行った。

ロー・モーション(英国)のマネージング・ディレクターであるアダム・パナイ氏は、「電池製造におけるニッケルの使用状況、電池・電気自動車分野でのニッケル需要の将来性に関するロー・モーション社の展望」についてプレゼンテーションを行った。

4 INSGの次回総会日程その他

2022年4月4日の週に開催予定。

講演者が発表したプレゼンテーションは、INSGのウェブサイトに掲載する。詳細については、事務局まで問い合わせいただくか、ウェブサイトwww.insg.orgにアクセスしてください。

以上

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