10月, 2025年
国際ニッケル研究会(INSG)2025年10月プレスリリース
国際ニッケル研究会(INSG)2025年10月プレスリリース
2025年10月9日
日本鉱業協会 企画調査部
2025年の秋季国際ニッケル研究会(INSG)総会は、10月6日にポルトガル共和国のリスボンで開催され、加盟国の政府や業界、国際機関などの関係者が参加した。10月7日付けで発表されたプレスリリースは次のとおりである。
1 2025年及び2026年の世界のニッケル市場
2025年初頭の世界の経済成長は、米国のAI関連投資、中国の財政刺激策、関税引き上げ前の貿易前倒しにより予想を上回る強さを見せたが、2026年には減速が見込まれる。今後、関税は貿易、投資、労働市場、物価に影響を与える可能性がある。一方で、金融政策は緩和傾向にあり、多くのG20諸国でインフレ率は低下する見込みである。
世界最大のニッケル生産国であるインドネシアでは、採掘許可証(RKAB)の発行延期や林業開発許可の未取得による土地差し押さえ、採掘後の原状復帰義務や保証の欠如を理由とした企業制裁など、鉱業セクターへの規制を強化している。しかしながら、ニッケル鉱石の供給に対する影響は一時的または限定的であり、2025年及び2026年も各種ニッケル製品の生産量は増加することが見込まれる。
ステンレス鋼産業については2025年及び2026年も引き続き成長すると見込んでいる。一方、電気自動車(EV)バッテリー向け需要については、ニッケルを使用しないリン酸鉄リチウムのシェア拡大やPHEV(プラグインハイブリッド車)の需要増加などにより、消費量は予想を下回る伸びとなっている。
中国では、NPIの生産量は減少するものの、ニッケル地金の生産量は増加することが見込まれる。硫酸ニッケルの生産量は、2025年はバッテリー需要の落ち込みにより減少するが、2026年には回復する見込みである。
その他の地域では、採算割れにより多くの鉱山・製錬所が休止や減産しているか、または将来的に休止・減産を検討する事態に追い込まれている。
世界の新産ニッケル生産量は、2023年は336.5万トン、2024年は353.1万トンで、2025年は381.0万トン、2026年は408.5万トンに増加すると予測した。ただし、予定外の操業中止等の事態は含まれていない。
世界の新産ニッケル消費量は、2023年は319.0万トン、2024年は341.9万トンで、2025年は360.1万トン、2026年は382.4万トンに増加すると予測した。
したがって、2023年は17.6万トン、2024年は11.2万トン生産が消費を上回り、2025年も20.9万トン、2026年も26.1万トン生産が消費を上回る見込みである。
2 統計委員会
統計委員会では、一連の発表と議論を通じて様々な知見を得た。
インドネシア国家経済評議会の事務局長であるセプティアン・ハリオ・セト氏は、「インドネシアのニッケル市場の概況」についてプレゼンテーションを行った。
3 産業関係者討議(IAP)
世界のニッケル生産、消費、リサイクル業界の代表者で構成される産業関係者討議(IAP)においても、貴重な情報が提供された。
ロンドン金属取引所(LME、英)の営業担当部長であるアルベルト・ゾド氏は、「LMEのニッケル取引に関する最新動向」について講演を行った。
スチール&メタルズ・マーケット・リサーチ(SMR、オーストリア/ドイツ)の取締役であるマルクス・モール氏は、「世界のステンレス鋼市場の最新動向-地政学リスクの高まり-」について講演を行った。
上海メタルズ・マーケット(SMM、中国)の産業市場調査担当部長であるシャーリー・ワン氏は、「進化するニッケルの世界-最新動向、リスク、今後の道筋-」と題して、中国及びインドネシアのニッケル需給動向についてプレゼンテーションを行った。
4 環境経済委員会
環境経済委員会では、ニッケルの持続可能な生産をテーマとして議論が行われた。
ブラジル鉱業監督庁の鉱物資源専門官兼経済研究調整官であるアントニオ・アモリム氏は、「ブラジルのニッケル資源の可能性」について説明を行った。
ウィズダムツリーの欧州コモディティ・マクロ経済研究部長ニテッシュ・シャー氏は、「コモディティに連動するETF及び欧州経済」について説明を行った。
5 合同セミナー
国際ニッケル研究会、国際鉛亜鉛研究会、国際銅研究会の合同セミナー「鉱業と金属における新たな革新的技術」を2025年10月8日に開催した
6 INSGの次回総会日程
2026年4月20日に開催予定。
講演者のプレゼンテーション内容は、INSGのウェブサイトに掲載する。詳細については、事務局まで問い合わせいただくか、ウェブサイトwww.insg.orgにアクセスしてください。
以上
>> 印刷はこちら(PDF)
会員専用ページ「統計」資料を最新のものに更新しました。
会員専用ページ「統計」資料を最新のものに更新しました。
「令和7年度 研究助成による成果報告会」開催について
一般財団法人 日本鉱業振興会
一般財団法人日本鉱業振興会は、標記の成果報告会を11月7日(金)に開催を予定しております。
本年度は対面とWeb会議システム「Zoomウェビナー」を併用したハイブリッド開催といたします。講演会場での聴講は申し込みの必要がありませんので直接会場へお越しください。
なお、「Zoom ウェビナー」での参加をご希望の方は、下記URLへ10月31日(金)までにご登録下さるようお願い申し上げます。
<日 時> 2025年11月7日(金)9:30~17:05
<参加申込先>
URL:https://us06web.zoom.us/webinar/register/WN_rxgC4FP6TBK1EfAA5frQuA
◎登録事項 氏名・所属(会社名・部署・役職)・E-mailアドレス
<問合せ先>
一般財団法人 日本鉱業振興会 事務局
〒101-0054 東京都千代田区神田錦町3-17-11榮葉ビル8階
Tel:03-5280-2341 E-mail:office-shinkokai@kogyo-kyokai.gr.jp
<講演会場>
TKPガーデンシティPREMIUM神保町
〒101-0054東京都 千代田区神田錦町3-22 テラススクエア 3階
TEL:03-3518-88
【交 通】
東京メトロ半蔵門線 神保町駅 A9 出口 徒歩2 分
都営地下鉄 神保町駅 A9 出口 徒歩2 分
東京メトロ東西線 竹橋駅 3b 出口 徒歩5 分
東京メトロ丸ノ内線 淡路町駅 B7 出口 徒歩7 分
東京メトロ千代田線 新御茶ノ水駅 B7 出口 徒歩7 分
JR 線 御茶ノ水駅 御茶ノ水橋口 徒歩10 分
↓詳しくはHPでご確認ください
https://www.kashikaigishitsu.net/facilitys/gcp-jimbocho/access/
- 令和7年度研究成果報告会プログラム(PDF)
>> 印刷はこちら(PDF)
最近のコメント