国際銅研究会(ICSG)2024年4月総会報告(プレスリリース)

2024-05-09

国際銅研究会(ICSG)2024年4月総会報告

2024年5月7日
日本鉱業協会 企画調査部

 

2024年の春季国際銅研究会(ICSG)総会は、4月25日現地時間)にポルトガルのリスボンにて行われ、加盟国政府代表及び業界の代表者が会議に参加した。日本からは政府代表に加えて数名の業界関係者が参加した。4月29日付けでプレス発表された世界の銅需給見通しは次の通りである。

 

1.2024年と2025年の世界の銅需給予測(添付 世界の銅需給総括表参照)

1)銅鉱石生産

 世界の銅鉱石生産量は、2024年は 2023年比で0.5%、2025年は 2024年比で 3.9%、それぞれ増産と予測。
 今回の予測では、2024年の増加率が2023年10月の3.7%から0.5%へ下方修正された。多くの新規プロジェクトの立ち上げが遅れ、各社の生産計画の修正、ファースト・クアンタム社の年産38万トンのコブレ・パナマ鉱山の閉鎖によるものである。
 2025年には新規操業開始・拡張する主要プロジェクトは、DRコンゴのカモア・カクラ、ロシアのマルミシュコエ。また、いくつかの中小銅鉱山も新規操業開始や拡張によって増産の見込みである。

 


 

 

2)銅地金生産

 世界全体の銅地金生産量は、前年比で 2024年に2.8%、2025年に2.2%増産と予測。
 2024年の銅地金生産量は、チリ、日本、インド、インドネシア、米国を含む主要生産国で、2023年に発生した一連の操業停止、事故、操業上の問題が解消されての増産になる見込み。
 世界全体としては、2024年は鉱石由来の製錬生産量は2.9%、SX-EW由来の生産量は0.5%の増産と予想。2025年には、中国の電解処理能力の更なる増強と、インドネシアとインドにおける新規の製錬所の立ち上げが増産に寄与するものの、鉱石由来の生産量の増加は銅精鉱の供給制約があり0.7%の小幅な増加にとどまると予想される。しかし、SX-EW由来の生産量は4.0%増産し、二次原料由来の生産量は、処理能力の増強により6.5%増産すると予想される。

 

3)銅地金消費

 世界の銅地金見掛消費量は、前年比で 2024年に約 2.0%、2025年に約 2.5%増加と予測。
 今回の予測では、2024年の増加率が2023年10月の2.7%から2.0%へ下方修正された。
 中国の消費量は2024年に約2.0%、2025年には1.6%増加すると予想される。
 中国を除く世界の消費量は、2023年の3%の減少の後、2024年に2.4%、2025年に3.8%の増加と予想される。これは主にインドとその他多くの国々における新しい半導体製造設備の増強によるものである。

 世界の経済指標は厳しいものの、製造業での生産改善、新エネルギーへの転換、世界各国における半導体生産能力の強化で、消費量は持続的に増加していく見込み。
 銅は経済活動、特に現代の技術社会において不可欠である。加えて、主要国におけるインフラの拡充と、クリーンエネルギーと電気自動車の普及という世界的トレンドが、長期にわたる銅需要増加要因となるだろう。

 

4)銅地金需給バランス

 世界の銅地金需給予測は、2024年には約 16万2千トン生産が消費を上回り、2025年には約9万4千トン生産が消費を上回る見込み。
 ICSG は、グローバル市場のバランスは様々な需給要因により変化するものであると認識している。そのため、予見できない要因により、実際の需給が ICSG の予測から逸脱することは起こりうる。
 ICSG は、グローバルな市場需給予測の際に、未報告である種々の中国の在庫(国家備蓄、生産者、消費者、貿易業者、保税区域)の増減は考慮に入れていない。これらの在庫は、在庫積み増しや、放出によっては世界の需給を大きく変える要因である。なお、中国の見掛け消費量は(生産+輸入−輸出+/+SHFE 在庫増減)によって算出している。
 ICSGは、2024年の需給バランス予測について、2023年10月(前回予測)の46万7千トンの生産過剰から、今回予測の16万2千トンの生産過剰へ修正しました。この差は、主に銅地金生産量の予想が下方修正されたことによるものである。2025年の需給については約9万4千トン生産が消費を上回る見込み。

 

2. ICSGの次回総会日程

2024年9月にポルトガル リスボンにて開催予定。

 

 

以上

 

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