国際ニッケル研究会(INSG)2024年9月総会報告(プレスリリース) New

2024-09-26

国際ニッケル研究会(INSG)2024年9月総会報告

2024年9月25日
日本鉱業協会企画調査部

2024年の秋季国際ニッケル研究会(INSG)総会は、9月23日及び24日にポルトガルのリスボンで開催され、加盟国の政府や業界、国際機関などの関係者が参加した。9月24日付けで発表されたプレスリリースは次のとおりである。

1 2024年及び2025年の世界のニッケル市場

ニッケル地金生産については、インドネシアでは2024年及び2025年においてもNPI(ニッケル・ピッグ・アイアン)やHPALプロジェクト(高圧酸化浸出プロセス)のMHP(ニッケル・コバルト混合水酸化物)、NPIの純度を上げて精製したニッケルマット、ニッケル地金、硫酸ニッケルなど、様々な種類のニッケル製品が引き続き増産されると予想される。中国では、NPIの生産量は減少するものの、ニッケル地金と硫酸ニッケルの生産量は増加するため、中国全体としては増加することが見込まれる。

その他の地域では、採算性の問題から多くの鉱山・製錬所が休止や減産しているか、または将来的に休止・減産を検討する事態に追い込まれている。

世界ステンレス協会(旧ISSF、国際ステンレス鋼協会)の発表によると、2024年1~3月のステンレス鋼の生産量は、2023年1~3月比5.5%増の1,460万トンであった。

2024年及び2025年のニッケル需要については、中国やインドネシアにおいてステンレス鋼向けの需要のさらなる増加が予測される。一方、電気自動車(EV)バッテリー向け需要については、ニッケルを使用しないリン酸鉄リチウムとの競合やPHEV(プラグインハイブリッド車)の販売拡大などにより、予想を下回る伸びとなっている。しかしながら、世界各地の新たな三元系正極材前駆体(pCAM)プロジェクトが早期に生産を開始する可能性が高く、ニッケル需要の増加要因となることが見込まれる。

世界の新産ニッケル生産量は、2023年は336.0万トンで、2024年は351.6万トン、2025年は364.9万トンに増加すると予測した。ただし、生産中止等の事態は含まれていない。

世界の新産ニッケル消費量は、2023 年は319.3 万トンで、2024 年は334.6 万トン、2025 年は351.4 万トンに増加すると予測した。

したがって、2023 年は16.7 万トン生産が消費を上回り、2024 年も17.0 万トン、2025 年も13.5 万トン生産が消費を上回る見込みである。

2 統計委員会

統計委員会では、一連の発表と議論を通じて、統計に関する建設的な意見を収集した。

インドネシアニッケル鉱業協会(APNI)の事務局長であるメイディ・カトリン・レンキー氏は、「インドネシアのニッケル市場に関する見通し」を発表した。

CRU(英)のステンレス鋼原料部長のパノス・コツェラス氏は、「従来型のビジネスではないステンレス鋼のバリューチェーン」について説明を行った。

3 産業関係者討議(IAP)

世界のニッケル生産、消費、リサイクル業界の代表者で構成される産業関係者討議(IAP)においても、貴重な情報が提供された。

テラフェーム(フィンランド)のCCO(最高商務責任者)であるヤンネ・パロサーリ氏は、「テラフェーム社の最新動向」について概要を説明した。

FPX ニッケル(カナダ)の社長兼CEO(最高経営責任者)兼であるマーティン・テュレンヌ氏は、カナダ産の低炭素ニッケルとなる「バプティスト・ニッケルプロジェクト」についてプレゼンテーションを行った。

鉄鋼・金属市場調査会社SMR(オーストリア/ドイツ)の原料担当チーフアナリストのロバート・メスマー氏は、「ニッケル関連の特殊鋼及び超合金」について説明を行った。

4 環境経済委員会

環境経済委員会では、ニッケルの持続可能な生産をテーマとして議論が行われた。

ニッケル・インスティテュートの市場調査担当部長であるパルル・チャブラ氏は、「クリーンエネルギー移行におけるニッケルの役割」について説明を行った。

5 合同セミナー

国際ニッケル研究会、国際鉛亜鉛研究会、国際銅研究会の合同セミナー「重要鉱物に関する取組みと戦略」を2024 年9 月25 日に開催する。

6 INSGの次回総会日程

2025 年4 月に開催予定。

講演者のプレゼンテーションは、INSG のウェブサイトに掲載する。詳細については、事務局まで問い合わせいただくか、ウェブサイトwww.insg.org にアクセスしてください。

 

以上

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