国際銅研究会(ICSG)2025年10月プレスリリース New

2025-10-15

国際銅研究会(ICSG)202510月プレスリリース

2025年10月14日
日本鉱業協会 企画調査部

 

2025年の秋季国際銅研究会(ICSG)総会は、10月7日(現地時間)にポルトガルのリスボンにて行われ、加盟国政府代表及び業界の代表者が会議に参加した。日本からは政府代表が参加した。10月8日付けでプレス発表された世界の銅需給見通しは次の通りである。

 

1.2025年と2026年の世界の銅需給予測(世界の銅需給総括表参照)

1)銅鉱石生産

世界の銅鉱石生産量は、対前年比で、2025年は1.4%、2026年は2.3%、それぞれ増加と予測される。

今回の予測では、インドネシア・グラスベルグ鉱山とコンゴ民主共和国カモア鉱山における大事故による生産減少が大きく影響し、2025年4月に予想された2.3%から1.4%に下方修正された。増加は主にモンゴルのオユトルゴイ鉱山の拡張とロシアの新規マルムイズ鉱山の生産増強によるもの。

2026年には、多くの国で新規鉱山開発や継続的な生産能力の増強が見込まれ、特にチリ、ペルー、ザンビアでの生産増、インドネシアでの稼働率の回復などにより2.3%の高い成長が見込まれる。

両年とも、一連の小規模な拡張といくつかの中小規模の鉱山の稼働開始が世界生産増加への寄与が見込まれ、特にコンゴ民主共和国、ブラジル、イラン、エクアドル、エリトリア、ギリシャ、アンゴラ、モロッコで増産が見込まれている。

 

2)銅地金生産

世界全体の銅地金生産量は、対前年比で 2025年に約3.4%、2026年に0.9%それぞれ増加すると予測される。

2025年は主に中国での継続的な生産能力の拡大、コンゴ民主共和国、インド、インドネシアなどほかの多くの国での新たな生産能力の立ち上げ、およびザンビアでの稼働率向上により、全体として約3.4%の増加が予想されている。一次製錬生産量(精鉱およびSX-EW由来)は3%の増加、二次製錬生産量(スクラップ由来)は4.5%の増加が見込まれる。

2026年は0.9%の緩やかな増加が見込まれている。引き続き新規生産能力および既存能力の増強が見込まれるものの、一次製錬生産量の伸びは銅精鉱の供給不足により制限され、SX-EWおよび二次製錬の生産量(スクラップ由来)の増加を部分的に相殺するものと予想される。

SX-EWは2.2%の生産増、二次製錬生産は6%の増加が見込まれ、多くの国での生産能力の新設および増強の結果である。

 

3)銅地金消費

世界の銅地金見掛消費量は、対前年比で2025年に約 3%、2026年に約 2.1%の増加と予測される。

2025年の中国の消費量は約3.3%増加し、その他の地域では約2.5%の増加が予測されている。

2026年の増加率は約2.1%に低下するが、中国の増加率が約1%に低下することが主な要因で、近年では中国の消費量は世界全体の約58%を占める。

アジアは世界の成長の主要な牽引役であり続ける一方、EUや日本をはじめとする一部地域での銅消費量は低迷することが予想されている。

ただし、全体として、主要な銅消費分野での生産活動の改善、エネルギー転換、都市化、デジタル化(データセンター)などによる継続的な需要およびインドや他の多くの国における半導体生産能力の拡大などにより、世界の銅消費は引き続き下支えられるものと予想される。

 

4)銅地金需給バランス

世界の銅地金需給予測では、2025年には約17万8000トンの余剰、2026年には約15万トンの不足が予想されている。

ICSGは、グローバル市場のバランスは様々な需給要因により変化するものであると認識しており、予見できない要因により、実際の需給が ICSG の予測から逸脱することは起こりうる。この点において、近年、予期せぬ事態の発生により、実際の需給バランスがICSG予測から乖離した事例があることに留意頂きたい。

ICSGは、世界需給バランスの算出にあたり、中国の見かけ需要計算を用いており、この計算では、未報告在庫(国家備蓄局(SRB)、生産者、消費者、商人∕トレーダー、保税在庫)の変動は考慮されていない。これらの在庫は、在庫増減期に大きな影響を及ぼし、世界の需給バランスを大きく変動させる可能性がある。中国の見かけ銅需要量は、報告データ(生産量+純取引量 +/‑ SHFE在庫変動)のみに基づいている。

ICSGは2025年の供給過剰を約17万8,000トンと予測しており、これは今年4月にグループが予測した量をわずかに下回る。2026年については、約15万トンの供給不足を見込んでおり、これは4月時点の供給過剰予測である20万9,000トンから減少している。この供給不足への転化は、銅精鉱の供給不足により、銅地金生産量が当初の予想を下回ることによるもの。

銅地金需給予測

 

2. ICSGの次回総会日程

2026年4月にポルトガル リスボンにて開催予定。

以上

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