国際鉛亜鉛研究会(ILZSG)2025年4月総会報告(プレスリリース) 
2025-05-08
国際鉛亜鉛研究会(ILZSG)2025年4月プレスリリース
2025年5月7日
日本鉱業協会 企画調査部
2025年の春季国際鉛亜鉛研究会(ILZSG)総会は、4月24日にポルトガル共和国のリスボンで開催された。
1 2025年の世界の鉛需給予測
1)鉛消費
- 2025年の世界の鉛地金の消費量は、前年比1.5%増の1,319万トンになる見通しである。
- アメリカ合衆国の鉛地金消費量は、2024年には前年比8.3%減となったが、2025年は2024年比で4.3%増となる予想である。ヨーロッパでの鉛地金の消費量は、前年比で4.4%減少したが、主因は自動車生産減であった。しかしながら、2025年には1.8%増となる見込みである。
- 中国の地金消費量は、2024年に前年比1.3%減となったものの、2025年は0.9%増になる見通しである。
- 上記以外の国や地域における鉛地金消費量は、ブラジル、インド、日本において2024年比で増加するものの、韓国では減少する見込みである。
2)鉛生産
- 2025年の世界の鉛精鉱生産量は、前年比で2.3%増の462万トンになる見通しである。これは、中国、メキシコでの鉱山生産量の増加に加えて、ヨーロッパにおいて新たにボスニア・ヘルツェゴビナ、アイルランドおよびロシアの新規鉱山が試験操業を開始していることから通年での増産が見込まれるためである。
- 2025年の世界の鉛地金生産量は、前年比1.9%増の1,327万トンになる見通しである。主因は、中国、インド、メキシコおよびアメリカ合衆国における地金増産である。その一方、ヨーロッパと韓国の鉛地金生産は減少見込みである。
3)鉛需給バランス
- 各国から得た直近の情報から推計すると、2025年の世界の鉛地金需給バランスは、8.2万トン地金生産が地金消費を上回る見通しである。
2 2025年の世界の亜鉛需給予測
1)亜鉛消費
- 2025年の世界の亜鉛地金消費量は、前年比で1%増の1,364万トンになる見通しである。
- 中国での亜鉛地金消費量は、2024年は前年比1.9%減となったものの、2025年は2024年に対して0.9%増になると予想している。
- 2025年のその他の国、地域における亜鉛消費量は、ブラジル、インド、トルコで増となるものの韓国では減少見込みである。
- 本年は貿易政策の大きな変化による負の影響が不安視されているが、その要因は前記予測には入れていない。
2)亜鉛生産
- 2025年の世界の亜鉛精鉱生産量は、前年比で4.3%増の1,243万トンになる見通しである。2024年までの3年間に予想を上回る亜鉛鉱山の閉山や減産があったものの、2025年は反転するだろう。2025年の増産は、キプシ鉱山が新規に操業を開始するDRコンゴに加え、オーストラリア、中国、メキシコでの増産が主因となる。ペルーでもアンタミナ鉱山の増産が予定されていることが更なる増産要因となる。
- ヨーロッパの亜鉛精鉱生産量は、2024年は前年比12.2%減となったが、2025年は2024年比で18.3%増となる見通しである。これは、ボスニア・ヘルツェゴビナでヴァーレ社が新たに鉱山操業を開始する他、ロシアのオゼルノエ鉱山が2024年9月に試験操業を開始したため2025年通期での増産要因となる。さらに、アイルランドのタラ鉱山の再開も増産に寄与する。
- その反面、アメリカ合衆国においてはテック・リソーシズ社のレッドドッグ鉱山の減産が見込まれている。
- 上記より推計すると、2025年の亜鉛地金生産量は、鉱山生産増により2024年比で1.8%増の1,373万トンになる見通しである。
- 中国の2025年の亜鉛地金生産量は、2024年に3.4%減であったものの、今年は前年比3.8%増となる見込みである。また、ノルウェーでもボリデン社のオッダ製錬所が年産15万トン体制への増産起業を終えたことから増産となる。
- しかしながら、イタリアと日本における亜鉛地金生産量は、それぞれグレンコア社のポルトベスメ製錬所の操業停止、東邦亜鉛(株)の安中製錬所の操業停止により減産となる。韓国でも石浦製錬所が最短でも2か月ほど操業を中断するため減産となる見込みである。
3)亜鉛需給バランス
- 2025年の世界の亜鉛地金需給バランスは、9.3万トン地金生産が地金消費を上回る見通しである。
3 その他
プレスリリースの詳細については、ウェブサイトwww.ilzsg.org にアクセスするか事務局宛てにお問い合わせください。
以上
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