国際鉛亜鉛研究会(ILZSG)2024年4月総会報告(プレスリリース)

2024-05-09

国際鉛亜鉛研究会(ILZSG)2024年4月プレスリリース

2024年5月7日
日本鉱業協会 企画調査部

 2024年の春季国際鉛亜鉛研究会(ILZSG)総会は4月24日にポルトガルリスボンにて開催された。

 

需給予測

1. 2024年鉛概況

1)鉛消費

  • 世界の鉛地金の消費量は、2024年に前年比1.9%増の1,342万トンになる予想。
  • 2023年に米国での鉛地金の消費量は3.8%減少した。2024年には部分的に回復し、0.7%の増加になると予想されている。ヨーロッパの鉛地金の消費量は、自動車の増産により2023年に6.7%増加した。2024年には、さらに1.0%の増加が見込まれる。
  • 中国では、2023年の鉛地金消費が2.0%増加し、2024年にはさらに1.6%増加すると予想されている。
  • インド、日本、韓国、メキシコでも鉛地金消費量の増加が見込まれる。

 

2)鉛生産

  • 2024年世界の鉛精鉱生産量は、主にオーストラリア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ブルガリア、メキシコでの増産により1.8%増の459万トンになると予想される。中国では、2023年の0.7%の増産を経て、2024年は1.0%の増産になると予想される。
  • 2024年の世界の鉛地金生産量は、1.4%増の1,346万トンになると予想されるが、これは主にオーストラリア、中国、インド、日本、韓国、アラブ首長国連邦の増産によるものである。しかし、米国とカナダでは減産になると予想される。
  • ヨーロッパでは、ブルガリアとイタリアでの鉛地金の増産が予想されるが、ポーランドと英国での減産により一部が相殺され、2024年の伸びは0.9%となる見込み。
  • 各国から得た直近の情報を考慮し、世界の鉛消費は2024年で4万トン生産が需要を上回る予想。

 

2.2024年の亜鉛概況

1)亜鉛消費

  • 世界の亜鉛地金の消費量は、2024年には2023年比で1.8%増加し、1,396万トンになる見込み。
  • 中国での亜鉛地金の消費量は、2023年に7.1%と大幅に増加した後、2024年は1.4%増加にとどまる予測。
  • その他の国々での亜鉛消費量については、インド、イタリア、日本、トルコ、米国では増加するが、オーストラリア、ブルガリア、韓国、スペインでは減少すると予測される。

 

2)亜鉛生産

  • 世界の亜鉛精鉱生産量は、予定外の閉山や、以前より予定されていた閉山、両方の鉱山閉鎖が重なった結果、2022年に2.3%減、2023年には1.2%減産した。2024年の世界の亜鉛精鉱生産量は、0.7%増の1,242万トンになると予想される。これは主にオーストラリア、メキシコ、コンゴ民主共和国での増産によるもので、コンゴ民主共和国では年産25万トンのキプシ鉱山が下半期に稼働する予定である。
  • 各国別の亜鉛精鉱生産は、カナダ、南アフリカ、米国、ペルーでは生産量の減少が予想され、ペルーでは大規模鉱山であるアンタミナ鉱山での減産が予想される。中国では、2023年に0.5%の増産、2024年には1.0%の増産になると予想される。
  • ヨーロッパの亜鉛精鉱生産量は、2023年に6.2%減産し、2024年には更に7.9%の減産になると予想される。これは主に、6月のアイルランドのタラ鉱山、9月のポルトガルのアルジャストレル鉱山の操業停止によるもの。これらのヨーロッパでの減少は、ボスニア・ヘルツェゴビナのアドリアティック・メタルズ社のヴァレス鉱山での操業開始による増産によって部分的に相殺される。
  • 世界の亜鉛地金生産量は、亜鉛精鉱量の伸びが小さいため、2024年には0.6%増の1,401万トンと、小幅な増産を見込んでいる。
  • 中国の亜鉛地金生産量は、2023年に7.7%と大幅な増産をしたが、2024年は1.0%の増産留まると予想されている。オーストラリア、韓国、日本、メキシコでも増産の見込み。カナダは減産すると予想される。
  • ヨーロッパでの亜鉛地金生産量は、2023年2.4%減少したが、これは主にグレンコアのノルデンハム製錬所が休止したドイツでの大幅な減産の結果である。2024年の生産量は、さらに1.8%減少すると予想されるが、これは主に年産30万トンのオランダのブーデル製錬所が1月に操業を停止したことによる影響である。この減産は、フランス、ノルウェー、ノルデンハム製錬所が3月に生産を再開したドイツの増産を相殺すると予想される。ノルウェーの生産量は、ボリデンのオッダ製錬所の生産設備拡張が下半期に完了する見込みであるため、増産になると予想される。

 

3)世界の亜鉛地金需給

2024年の世界の亜鉛地金需給バランスについては、生産が供給を5万6千トン上回ると予測している。
プレスリリースの詳細については、ウェブサイトwww.ilzsg.org にアクセスするか事務局宛てにお問い合わせください。

 

以上

>> 印刷はこちら(PDF)

一般財団法人 日本鉱業振興会
〒100-0054 東京都千代田区神田錦町3-17-11
TEL 03-5280-2341 FAX 03-5280-7128

サイト利用規約 | プライバシーポリシー

Copyright © The Japan Mining Promotive Foundation. All Rights Reserved.