国際鉛亜鉛研究会(ILZSG)2024年9月総会報告(プレスリリース)

2024-10-03

国際鉛亜鉛研究会(ILZSG)2024年9月プレスリリース

2024年9月30日
日本鉱業協会 企画調査部

 2024年の秋季国際鉛亜鉛研究会(ILZSG)総会は9月26日から27日にかけてポルトガルリスボンにて開催された。

 

需給予測

1. 2024年鉛概況

1)鉛消費

  • 世界の鉛地金の消費量は、2024年に対前年比0.2%増の1,313万トンに、2025年には1.9%増の1,339万トンになると予測されている。
  • 2023年、ヨーロッパでの鉛地金の消費量は対前年比で4.1%増加した。2024年には1.8%の減少になると予想されている。これは主に、オーストリア、チェコ、フランス、イタリア、ポーランドにおける消費量の減少が、フィンランド、ギリシャ、ロシアにおける消費量の増加より上回ると予測されているため。また、日本、メキシコ、トルコ、米国では2024年の消費量が減少するものの、ブラジル、インド、韓国、アラブ首長国連邦、ベトナムでは増加すると予測される。
  • 中国では、2024年の鉛地金消費が対前年比0.9%増加し、2025年にはさらに0.5%増加すると予想されている。中国での蓄電池生産量は、2023年に対前年比で10.5%増産した後で、2024年は0.5%の緩やかな増産に留まる見込み。
  • 2025年の鉛地金消費は、ヨーロッパとメキシコで回復、ベトナムとインドでは引き続きの増加が予測される。

 

2)鉛生産

  • 2024年世界の鉛精鉱生産量は、対前年比で1.7%増の454万トン、2025年には2.1%増の464万トンになると予想される。中国の生産量は、2024年の0.5%、2025年は1.5%の増産になると予想される。
  • メキシコの鉛精鉱生産量は、2023年にニューモント社のペニャスキート鉱山で発生したストライキの影響での減産からの反動で、2024年は大幅な増産になる予測。オーストラリア、ブルガリア、カザフスタン、スウェーデンでも増産が予想される。一方、アイルランド、ポルトガル、南アフリカでは減産の予想。
  • 2025年の鉛精鉱の増産は、主に中国、アイルランド、ロシアのオゼルノエ新鉱山の操業開始による増産が主因となる。ボスニア・ヘルツェゴビナでは、ヴァレス鉱山の増産も予想される。しかし、これらの増産はオーストラリアの減産によって部分的に相殺される見込み。
  • 世界の鉛地金生産量は、対前年比で2024年に0.2%増の1,320万トン、2025年2.4%増の1,351万トンになると予想される。
  • 2024年の鉛地金生産量は、中国、ポーランド、スウェーデン、カナダで減産になると予想される。カナダでは、テックリソーシズ社のトレイル製錬所の定修が第2四半期の生産量にマイナスの影響を与えた。しかし、これらの減産よりも、オーストラリア、ブルガリア、インド、イタリア、日本、カザフスタン、韓国での増産が上回る。
  • 2025年の鉛地金生産量は、カナダ、中国、インドでは増加するが、英国では減少すると予測される。
  • 各国から得た直近の情報を考慮し、世界の鉛消費は2024年で6万3千トン、2025年には12万1千トン生産が需要を上回る予想。

 

2.2024年の亜鉛概況

1)亜鉛消費

  • 世界の亜鉛地金の消費量は、対前年比で2024年に1.8%増加し1,383万トン、2025年には、1.6%増加し1,404万トンになる見込み。
  • 中国での亜鉛地金の消費量は、2024年、2025年共に対前年比で0.7%増加する見込み。中国の亜鉛メッキ鋼板、乗用車、家電製品の生産は2024年上半期に増加したが、不動産セクターへの投資は低迷を続けている。
  • 欧州の亜鉛地金消費は2023年に8.6%減少し、2024年はさらに1.0%の減少が見込まれる。これは主にブルガリア、ドイツ、イタリア、ポーランドでの減少によるもので、フィンランドとフランスの増加でも相殺しきれない。
  • 2024年、インドと韓国で亜鉛地金消費が大幅に増加すると予想される。ブラジル、メキシコ、台湾(中国)、トルコ、ベトナムでも増加が見込まれる。しかし、米国では減少すると予測されている。
  • 2025年、亜鉛消費量はヨーロッパ、インド、ベトナムで増加するが、韓国では減少すると予測される。

 

2)亜鉛生産

  • 世界の亜鉛精鉱生産量は、2022年に2.4%減、2023年には2.1%減産した。2024年には、1.4%減産して1,206万トンになると予想される。しかし、2025年には中国を除く世界全体の生産量が、8.9%増と堅調に増加する見込みで、世界全体で6.6%増の1,286万トンに回復すると予測されている。
  • 欧州の亜鉛精鉱生産量は、2024年11.4%減産すると予想されるが、これは主にアイルランドとポルトガルでの減産によるもので、アイルランドではタラ鉱山が、ポルトガルではアルジャストレル鉱山が、それぞれ2023年後半から操業を中断しているためである。また、中国、カナダ、南アフリカ、米国、ペルーでも減産が予想されており、ペルーではアンタミナ鉱山が大幅に減産すると予測されている。しかし、これらの減産は、オーストラリア、メキシコ、コンゴ民主共和国で、アイバンホー社が操業する年産28万トンのキプシ鉱山の増産によって部分的に相殺される。
  • 2025年には、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ポルトガル、アイルランドでの増産、ボリデンのタラ鉱山の再開が間近なことから、欧州の生産量が大幅に増加すると予想される。ロシアの生産量も、年産32万トンのオゼルノエ鉱山が9月に操業開始したことで増加予測。
  • オーストラリア、ブラジル、中国、コンゴ民主共和国、ペルー、南アフリカ、サウジアラビアでは、さらなる増産が見込まれている。サウジアラビアではアル・マサネ鉱山の増産工事が年内に完了する予定。一方、米国では、主にレッド・ドッグ鉱山の減産により、さらなる減産が予想される。
  • 世界の亜鉛地金の生産量は、2024年には精鉱不足のため1.8%減の1,367万トンとなり、2025年の世界生産量は3.9%増の1,419万トンに回復すると予測される。
  • 中国の亜鉛地金生産は、2023年に7.7%と大幅な増産をしたが、2024年は3.9%減産する予測。ペルーとカナダでは減産が予想される。カナダでは、ケベック州にあるグレンコアのCE亜鉛製錬所の改修が理由。
  • ヨーロッパの亜鉛地金生産量は、2023年に3.9%減産し、2024年はほぼ横ばいになると予測される。これは主にオランダとロシアでの減産分がフランス、ドイツ、イタリアの増産分と均衡する予測。
  • 2025年の世界の亜鉛地金生産量は、亜鉛精鉱の増産を受け、オーストラリア、カナダ、中国、日本、オランダ、ロシア連邦、ノルウェーで増加が予想される。ノルウェーでは、第1四半期にオッダ製錬所の増産工事が完了する予定。しかしイタリアでは、サルデーニャ島にあるグレンコアの亜鉛二次製錬所が2025年に閉鎖されることが最近報道されたため、減少が予想される。

 

3)世界の亜鉛地金需給

2024年の世界の亜鉛地金需給バランスについては、消費が生産を16万4千トン上回ると予測している。2025年には生産が消費を14万8,000トンの上回ると予想される。

プレスリリースの詳細については、ウェブサイトwww.ilzsg.org にアクセスするか事務局宛てにお問い合わせください。

 

以上

>> 印刷はこちら(PDF)

一般財団法人 日本鉱業振興会
〒100-0054 東京都千代田区神田錦町3-17-11
TEL 03-5280-2341 FAX 03-5280-7128

サイト利用規約 | プライバシーポリシー

Copyright © The Japan Mining Promotive Foundation. All Rights Reserved.