ブックタイトル鉱山2020年8・9月号

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概要

鉱山2020年8・9月号

表8ステンレス粗鋼生産(出典)International Stainless Steel Forum(単位:千トン)暦年2015年2016年2017年2018年2019年前年?(%)?国2,3462,4812,7542,8082,593-7.7中国21,56224,93825,77426,70629,40010.1アジア(中国、韓国を除く)7,2317,6808,7108,1957,894-3.7ヨーロッパ7,1697,2807,3777,3856,805-7.9その他1,0091,1231,0835,6355,525-2.0世界合計41,548 45,778 48,081 50,729 52,217 2.9その一方で,11月22日には,EUはインドネシアが禁輸政策によりEU内のステンレス鋼メーカーによる自由な原料調達を阻害し,同時にインドネシア国内のステンレス鋼メーカーを保護しているとしてWTO(世界貿易機関)に禁輸政策を提訴した。この案件は,WTOルールに従って2020年1月30日に双方代表者による二国間協議が始まり,4月8日には,EU側はインドネシア,台湾,中国産のステンレス鋼輸入に対してAD(アンチ・ダンピング)の仮認定を行い懲罰的な関税を課した。このような事態があったものの,インドネシア国内のニッケル産業は,各種ニッケルプロジェクトの開始や完成と国内資本化が引き続き進行した。2020年1月22日には,外資系ニッケル大手のヴァーレ・インドネシア(PTVI)が,法令に基づいた株式譲渡交渉の結果,同社の親会社であるヴァーレ社と日本の住友金属鉱山㈱が保有している株式の20%を追加的にインドネシア側のイナルム社に売却することに合意した旨が発表となった。売買契約は2020年6月22日に正式に締結され,すべての手続き終了後の外資比率は,PTVI発足時の80%から2019年時点の60%を経て40%に低下する。2019年のインドネシア国内プロジェクト関連では,中国のステンレスメーカー大手の青山鋼鉄集団(Tsingshan Holding Group)を中心とした国内外各社の合弁によるニッケル鉱山やフェロニッケル製錬所の増産工事完成や新規の計画が目白押しである。スラウェシ島のモロワリ地区においては,PT Indonesia Guang Ching Nickel& Stenless Industryなどが数か所で,青山鋼鉄集団はニッケル鉱山,フェロニッケル製錬所の操業に加えて,1事業所あたり年産60万トンから100万トン規模のステンレス鋼生産を行っている。スラウェシ島以外においても,ハルマヘラ島のウェダベイ製錬所(青山とフランスのエラメット社が主要株主),クプラワン・マルク鉱山,PTヨウシャン・ニッケル製錬所(盛屯系の合弁)などの新規プロジェクトも発表され,しばらくはインドネシアのニッケル産業は急速な拡大が続く。日本のメーカー関連では,住友金属鉱山㈱が2019年2月14日に公表した中期3カ年経営計画のニッケル事業に関する項目においては,ポマラにおけるHPALプロジェクトの可否決定を計画期間中に行うとしている。また,鉄鋼商社の阪和興業㈱は,数か所で青山鋼鉄集団主体のプロジェクトに資本参加をしている。2019年においては,世界的影響力を持ったニッケル関連の自然災害やストライキ,その他の紛争はほとんどなかった。表9に,専門誌などで報道された供給障害案件を列記した。鉱山第787号2020年8・9月-84-