ブックタイトル鉱山2020年8・9月号

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概要

鉱山2020年8・9月号

用需要の割合が多いため,年間消費量も多いと考えられている。3.日本の銀生産と需給1)日本の銀生産日本には,現在,稼行中の銀鉱山はない。鹿児島県の菱刈金山において金と併産する銀分,及び小規模鉱山からの少量の銀分が,国内鉱産の銀である。表5は日本の銀生産と需要,貿易状況であるが,2019年の銀地金生産量1,783tのうち,わずかに8tが国内鉱産であった。日本の年間銀地金生産量は,消長を繰り返している。これは,海外から輸入した銅,亜鉛あるいは鉛精鉱中に含まれる銀分が原料であることが理由で,さまざまな精鉱中の銀品位の多寡を反映した結果である。その一方,リサイクル機運の高まりを反映して,金銀滓やEスクラップを原料とするスクラップ産の銀生産量は増減を繰り返しながらも着実に増加している。2000年ごろは年産300t前後であったスクラップ産の銀地金は,2016年には年産533tに達し,その後もコンスタントに年産400t以上を保っている。銀は,金と並ぶ貴金属の代表格であるため,製錬所以外の貴金属取り扱い会社においても,買取った銀製品を再溶解するなどの工程を経て,再生銀として銀地金生産が行われている。2019年の再生銀生産量は175tであったが,10年単位で見ると再生銀生産量は減少気味である。工業用銀需要の伸び悩みなどが背景にあると思われる。2)日本の銀需給日本の銀需給は,表5のとおり,2019年においては内需1,280t,輸出4,659tであり,国内の銀地金生産量未満の内需量である状況が続いている。日本においては宝飾用の銀需要に対する工業用の銀需要割合が高く,2000年代半ばまで,銀の主要用途先はフィルム用感光材料であった。しかし,デジカメの急速な普及によりフィルム需要が落ち込むと国内の銀需要も落ち込んだ。表5国内の銀需給(単位t)項目/暦年2015年2016年2017年2018年2019年生産1,8832,0751,9411,8611,783(うち)国内鉱出88698海外鉱出1,0891,2211,1601,0931,025スクラップ出496533410427406その他出290314364332345発生221 178 188 210 175輸入1,630 1,897 2,117 2,172 1,822供給計4,6434,8845,0805,1104,771内需(報告値)9929571,0221,0551,280(うち)写真感光用硝酸銀214219164210205その他の硝酸銀37273377264接点6759636248銀ろう6056646748展伸材180147154155118その他433449544484597輸出4,0504,5254,6804,5854,659需要計5,042 5,482 5,701 5,640 5,939出所:経済産業省需給動態統計をもとに日本鉱業協会にて編集(小数点未満四捨五入)-77-鉱山第787号2020年8・9月