ブックタイトル鉱山2020年8・9月号

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概要

鉱山2020年8・9月号

・技術部門[資源開発]世界的な資源需要の高まりが継続し,中国等の消費大国との競争激化,非鉄メジャーの合併による資源の寡占化,資源ナショナリズムの高揚などにより,安定的な鉱石の確保がますます難しくなっている。このような中で,非鉄金属各社は近年の原料の供給難,買鉱条件の悪化に伴い,原料の安定供給確保のための海外資源開発を加速し,従来の大型プロジェクトの権益取得の他,自主鉱山開発も進めた。独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は,海外における金属鉱物資源の開発を促進し,我が国の非鉄金属資源の安定供給の確保に資するために,リスクの高い初期段階の探査事業を行う民間企業を積極的に支援することを目的として,「海外資源確保関連事業」という支援制度を実施している。国は2020(令和2)年6月にJOGMEC法を改正し,金属鉱物の開発事業を対象とする出資業務,金属鉱物の選鉱・製錬事業を対象とする出資・債務保証業務を開始した。地熱資源開発は,日本地熱協会の会員数が特別会員を含め86社に増加,23年ぶりとなる10,000kW以上の大規模地熱発電所が運転開始するなど活発化している。技術開発では,JOGMECはリモートセンシングと物理探査に関する分野の技術開発を進めた。宇宙システム開発利用推進機構(Japan Space Systems)は石油・天然ガス及び金属鉱物資源探査への衛星データ利用技術開発等を継続して行った。日本鉱業協会は2019(令和元)年度より3年間の計画で,国立研究開発法人産業技術総合研究所と共同で「金属鉱床探査を支援するための岩石物性データベースの作成」を開始した。[製錬]鉱業協会は,製錬副産品である非鉄スラグの用途拡大に取り組んでいる。2016(平成28)年3月に公表された「非鉄スラグ製品の製造販売管理ガイドラインの改正」を2019(平成31)年3月に再度改正し,非鉄各社の製造販売マニュアルに反映された。2018(平成30)年度下期には,外部審査機関(JICQA)の審査を通して,システムの有効性を担保する活動を実施した。外部の委員会関連では,路盤材や路床材向けの販売を目指し,2016(平成28)年度下期に道路用非鉄スラグJIS原案作成委員会立上げの準備を開始した。しかし,環境安全品質基準に関する問題から,未だ委員会の立上げには至っていない。[分析・標準化]鉱業協会は,経済産業省から助成を得て,2018(平成30)年度から2020(令和2)年度までの計画で「銅,鉛及び亜鉛精鉱中の銀,ひ素,カドミウム及びふっ素定量方法に関する国際標準化」に取り組んでいる。また,国内製錬所における輸入原料の分析方法について,日本鉱業振興会の助成を得て2017(平成29)年度から2019(令和元)年度までの3年間,「効率化を考慮した鉱石分析方法の統一化,標準化に関する研究」に取り組んだ。なお,分析部会では2020(令和2)年度より,日本鉱業振興会から助成を得て「精鉱のICP発光分光分析法による分析精度把握の研究」に取り組んでいる。標準化に関しては,分析部会を中心として,2019(令和元)年度も国際標準化(ISO)活動及びJISの制定・改正活動を中心に標準化の取り組みを行った。その他に,経済産業省助成戦略的国際標準化加速事業である「銅,鉛及び亜鉛精鉱中の銀,ひ素,カドミウム及びふっ素定量方法に関する国際標準化」,一般財団法人日本鉱業振興会助成の「効率化を考慮した鉱石分析方法の統一化,標準化に関する研究」を行った。[エネルギー]-5-鉱山第787号2020年8・9月