ブックタイトル鉱山2020年8・9月号

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概要

鉱山2020年8・9月号

生産量3,300tより少ない。金生産や需要データの収集が困難な国や分野があるため,各種資料による差異がある。表4によれば,世界の金需要量は2016年より年間3,000tを下回る量に減少しているが,金鉱石生産量が3,300t前後であること,各種市場情報で世界の金需要が減退しているとのニュースは聞かれない。そのため,世界の金需要は2016年以降も,2015年までと同様の状況であると推測する。国別の金需要で突出しているのは中国とインドで,宝飾品需要が極めて旺盛で,資産需要も小さくないからである。中国の金需要量は2010年代初頭には年間1,200tに達していたが,その後は減少傾向を示し,2016年から2018年にかけては年間800t弱で推移した。インドの金需要は,2010年代以降は年間700tから800t程度で推移している。2016年の需要量が年間506tに一時的に減少しているが,その背景は不明である。また,銀の需要が伸びているにもかかわらず金の需要は横ばい気味であることもインドの特色である。これら2カ国に続いて金需要が旺盛であるのは,2018年現在で,米国156t,日本100t,トルコ98t,韓国81t,イタリア84t,南ア71t,イラン63tなどである。日米欧では工業用需要が多いことが金需要の多い要因である。イタリア及び中近東諸国では金細工が盛んであることから金需要がかなり多いことも特色のひとつである。3.日本の金生産と需給1)日本の金生産と再生金現在の日本国内における金鉱石生産は,鹿児島県の菱刈金山及び数か所の中小鉱山において行われている。表5に日本の製錬各社における産金量の推移を示した。2019年の日本の金地金生産量は110tであったが,国内鉱山出は,そのうち5t弱である。大半は,銅,鉛,亜鉛精鉱に含まれている金成分を副産物として精製したものであり,2019年の生産量は76tであった。また,副産であるため,メインの精鉱中の金含有量の増減に応じて生産量も増減することも日本の金地金生産の特色である。金は,あらゆる用途先において回収,再溶解,再生産が行われている。製錬各社におけるスクラップ産,その他産の産金量の合計は2019年で約30tに達しており,リサイクル率は27%であった。日本においても,他の産金国と同様に,別途,専門業者による金製品の再溶解,精製工程を経た再生金の生産があり,表6のとおり2019年の生産量は約52tであった。2)日本の金需要日本の金需要は,表6のとおりである。2019年現在で,輸出を除いた実需見合いの国内需要は84tであり,そのうち工業用需要が54t,宝飾品や工芸品需要が30tである。日本は,エレクトロニクス産業や各種部品産業が発達しているため,米欧とともに金の工業用需要比率が高い。また,金地金を資産として保有する需要については統計対象外のため実数値は不明である。表4までの各種統計値と表6の政府統計の数値に差異がある場合が多いが,これは政府と調査会社の調査手法,対象範囲の差異が原因と考えられる。4.日本の金輸出入日本の国別の金輸出入の状況を表7に示した。貿易量は表6と表7において差異があるが,統計手法の差異によるものと推測している。表7における総量ベースでの2019年の金輸入量は1.5t,輸出は76.7tである。2019年における金地金輸入の主要輸入先は,韓国,香港,マレーシア,スイスで,金のディーリングが行われている国が目立つ。主要輸出先は,香港,シンガポール,英国,スイス,中国などで,輸入同様に金のディーリングが行われている国が目立っている。金の貿易量は,最近5年間でも大きく変動し,年間輸出量だけ見ても,2017年は184tの金を輸出したが,2019年の輸出量は77tに減少した。金が資産の移動やリスクヘッジ手段として利用されていることが理由である。-67-鉱山第787号2020年8・9月