ブックタイトル鉱山2020年8・9月号

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概要

鉱山2020年8・9月号

地金生産増に寄与した。2019年において中国に続いて鉛地金生産量が多かった国は,米国117万トン,韓国80万トン,インド64万トンで,いずれも再生鉛製錬業が発達している。それらの国に続く形で,鉛精鉱の主要生産国も現れはじめ,メキシコ45万トン,ドイツ36万トン,英国30万トン,カナダ24万トンなどの順に鉛地金生産が多い。5.地金消費2019年の世界の鉛地金消費量は,表6のとおり年間1,189万トンであった。2018年と比べると3万トンの微減である。2015年から2019年の5年間で鉛消費量は年間1,105万トンから最大1,191万トンへ伸びた。最大の鉛消費国である中国の鉛消費量は508万トンに達し,2015年以降の5年間で8%増加,クルマ社会がますます広がっていることをうかがわせている。鉛は,消費量の約9割がクルマのバッテリー用であるため,自動車生産の多い国や自動車部品生産の盛んな国での鉛消費が旺盛である。2019年実績で中国に続いて鉛消費量の多い国は,米国164万トン,韓国62万トン,インド61万トン,ドイツ38万トンなどであった。6.生産動向,供給障害(注:2020年1月以降のCOVID-19の影響は記載していない)2019年における鉛鉱山やプロジェクトの進捗状況及び鉱山等の閉山状況は表7のとおりである。また,ストライキ,天災など生産障害は表8のとおりであった。年間をとおして,世界の鉛需給に大きな影響を及ぼした事象はなかった。表7世界の鉛鉱山,製錬所プロジェクト(2019年1月から2020年3月)公表時期国名プロジェクト名概要2019/11/9豪州アブラ(Abra)鉛鉱山開発着手豪ガリーナ・マイニングと,日本の東邦亜鉛㈱の合弁である西オーストラリア州アブラ鉛鉱山の着工がプレス発表された。プロジェクト費用は1.54億豪ドル。2021年操業開始予定で,精鉱生産予定量は12.5万トン(鉛純分ベース)。持ち分比率はガリーナ60%,東邦亜鉛40%。(出所プレスリリース,専門誌などをもとに日本鉱業協会にて整理)表8世界の鉛鉱山,製錬所の供給障害(2019年1月から2020年3月)公表時期国名プロジェクト名概要2019/1-3月ペルー水害による減産2019/1-3月を中心に大雨による水害が各地で発生し,鉱山・製錬所の操業にも影響が及んだが鉛精鉱生産への影響は軽微にとどまった。2019/5/28-2019/11/10豪州ポート・ピリー鉛製錬所操業停止と不可抗力宣言5/28の停電で自熔炉が故障した。当初7月上旬復旧見通しであったが他の工程でも不具合が見つかった。6月6日には,不可抗力宣言も発した。操業再開見通しは8月以降数回繰り下がり,結局11月11日の週に操業を再開した。また,環境設備や港湾設備の大改修のため南オーストラリア州政府より2.6億USD相当の融資を受けることも発表された。2018年鉛地金生産量は16万トンであったが,2019年生産量は不明であるが半減程度。(出所プレスリリース,専門誌などをもとに日本鉱業協会にて整理)鉱山第787号2020年8・9月-56-