ブックタイトル鉱山2020年8・9月号

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概要

鉱山2020年8・9月号

LME3,1002,9002,7002,5002,3002,1001,9001,7001,5002015年平均2017年平均2019年1月3月5月7月9月11月2020年1月3月LME $/MT建値千円/MT建値500.0450.0400.0350.0300.0250.0200.0図1亜鉛価格推移(2015-2019年,2019/1-2020/3月は月平均)じみ出た価格構造となっていたが,7月に入ると先物高の現物安となった。LME価格は9月に入っても$2,300/t前後で推移したが,10月に入って米中貿易協議に進展が見られ,米国の農産物の対中輸出増などで双方が部分合意に達したことが報道されると値上がり傾向を示し,10月の平均価格は9月より$126/t高い$2,445/tとなった。また,日々の相場も11月5日には$2,595/tまで上昇した。2019年11月中旬以降,米中協議において,米国が香港の1国2制度に対する中国の管理強化に懸念を示したり,米国景気指標が期待ほど良い内容ではなかったニュースが流れると,景気減速感が高まり,亜鉛価格は12月末にかけて下落基調となった。12月2日,LME価格は$2,286/tとなって$2,300/tを切り,12月31日の年末最終日も$2,293/tで取引を終えた。2020年に入ってもこの傾向は変わらず,LME価格は$2,300/t前後で上下を繰り返していた。しかしながら,2020年1月下旬に中国で新型コロナウイルス(事後COVID-19とWHOが命名)の蔓延と中国政府による武漢市(Wuhan)のロックダウンが報じられると,中国の鉄鋼,非鉄産業の一大拠点である同市周辺の生産活動停止への不安から亜鉛価格も下落基調となった。2020年2月27日にLME価格は$2,000/tを切って$1,999/t$/t3,1002,9002,7002,5002,3002,1001,9001,7001,5001/2/2019 1/2/2020まで下がった。WHO(世界保健機構)によるCOVID-19のパンデミック宣言が出された2020年3月11日のLME価格は$1,979/tを記録し,その後は3月18日に$1,820/tを付け,3月25日は$1,800/tも下回る$1,793/tまで急速に値下がりした。その後,3月末から亜鉛価格は少しずつ値を戻し始めた。2.需給と在庫(2019年1月~2020年6月)図2 LME亜鉛価格($/t)(2019年1月~2020年6月)1)亜鉛需給2019年の世界の亜鉛の需給概要は,国際鉛・亜鉛研究会(ILZSG)の統計によると表2のとおり20.5万トンの供給不足であった。亜鉛需給は2016年以来4年間連続して供給不足であるものの,2019年の不足量は2018年の供給不足量54.3万トンの半分以下になり,世界的な不足感は緩和された。中国をはじめとする亜鉛消費の伸び率の鈍化であり,続いて,過去数年の亜鉛不足感や価格上昇によって新規鉱山開発が進んで亜鉛鉱石生産が増えたことが主因である。2019年10月時点においては,2020年の亜鉛不足感は解消され,逆に約19万トン余剰になると国際鉛・亜鉛研究会では予測した。新規亜鉛鉱山開山や既存鉱山の増産基調が続く一方,亜鉱山第787号2020年8・9月-40-