ブックタイトル鉱山2020年8・9月号
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鉱山2020年8・9月号
2019(令和元)年度我が国鉱業の概要総括・全般2019(令和元)年度の世界政治は,米国大統領の掲げる「アメリカファースト」の影響が各所に及んだ。米中貿易戦争は前年度から継続したままであり,米国大統領と中国国家主席による覇権争いとも見えている。米国はEUともNATO(北大西洋条約機構)の問題で対立した。米国と北朝鮮の交渉は進展がうかがえず,そうした中,北朝鮮は10月,潜水艦発射弾道ミサイルの発射試験を行った。英国のEU離脱問題は長引いていたが,2020(令和2)年1月に正式離脱が決定した。英国とEUは2020年中に通商交渉などを終える予定としている。世界経済は,米中貿易戦争,中国経済の減速,半導体需要の調整などを背景に先行き不透明感が高まり,貿易・投資活動が伸びず,大幅に減速した。米国は雇用情勢が良好で,景気は堅調に推移した。先進国の輸入増加幅が縮小するとともに,中国を中心とした新興国の成長は減速した。ドル相場は,米長期金利低下の局面でドル高となっていたが,利下げサイクルが終息した10月以降にドル安優勢へ転じた。世界の株式市場は金融緩和と米中交渉進展期待が高まったことから上昇基調をたどった。しかしながら,2020(令和2)年1月下旬から始まった新型コロナウイルス感染拡大の影響から,経済活動の停滞が世界的に広まって先が見通せない状況である。国内経済は,前半は10月の消費税増税前の駆け込み需要により内需が堅調な伸びをみせた。後半は世界経済の減速を背景に輸出が減少,消費税増税による反動減となり,景気後退を示した。一方,株式市場は円高進行や消費税増税への懸念から上値の重い展開が続いたが,米中の貿易協議の進展や,世界経済の底入れへの期待の高まりから水準を切り上げ,日経平均は前年から上昇した。しかしながら新型コロナウイルス感染拡大の影響は大きく,先行き不透明なのは世界経済と同様である。年間平均為替レートは前期から円高となった。非鉄金属相場は,新型コロナウイルス感染拡大とともに前年から値を下げた。一方,貴金属は安全資産の局面から高騰を続けている。我が国の非鉄製錬各社の業績は,銅や亜鉛などの価格が下落したことに加え,自動車関連や電子材料の需要減少などによる経常損益の減少を理由として,8社合計の売上高は減少,当期純損益は減益となった。このような環境の下,非鉄製錬業界は,当該年度も引き続き政府,学会等と連携し,電力料金の高止まり,国内リサイクル資源の海外流出,環境規制の強化,人材育成問題などの諸課題の解決に継続して取り組んだ。・鉱業関連予算2020(令和2)年度の鉱業関連予算は,合計で約195億円となった。内訳は,「鉱物資源政策関連」-1-鉱山第787号2020年8・9月