ブックタイトル鉱山2020年8・9月号

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概要

鉱山2020年8・9月号

れた。その結果,2019年4月ごろから銅精鉱の供給が滞りはじめ,7月以降は数か所の銅製錬所が精鉱不足や採算悪化を理由に操業を中断した。10月ごろの情報では2019年の銅地金生産量は2018年比で10万トン減と報道された。結局,2020年に発表されたICSG(国際銅研究会)の統計速報によると,ザンビアの銅鉱石生産量は2018年の85万トンから2019年は80万トンへ5万トン減,粗銅(ブリスター)生産量は83万トンから64万トンへ19万トン減,地金生産量は46万トンから27万トンへ19万トン減となった。2)コンゴ民主共和国(DRC)における鉱業法や税制改正で,ロイヤルティや付加価値税の値上げが全鉱業会社に適用されることとなり,企業進出時に当時の政府と締結した特例措置が否認された欧米系や中国系の各社が強い不満を訴えて新法の改正を要求した。新政権のフェリックス・トゥシセケディ大統領側は,2019年2月に会社側代表と話し合いを行って法改正の一部見直しなどに言及したものの,結局,原案どおり新法は施行された。3)ザンビアにおいて,2019年5月,英国ヴェダンタ・リソーシズ社(Vedanta Resources)系のKCM社が操業中のコンコラ銅鉱山及び製錬所に対して,政府より操業中止とヴェダンタ社の権益売却命令が下され,両者は紛争状態に陥った。ヴェダンタ社は,企業進出時に締結した協約に基づいて南アフリカ共和国の高等裁判所に仲裁裁判を求め,権益売却命令にいったんはストップがかかった。2019年11月29日にザンビア高等裁判所も,ヴェダンタ社抜きでの会社売却手続きの差し止め命令を出したが,それ以降,紛争は膠着状態である。ヴェダンタ社が不正に納税回避をしている等の主張をしているザンビアのルング大統領政権は,仲裁裁判所の判決も拒否して売却準備を継続している。2020年3月現在,操業は継続中であるが,紛争のその後の動向は不明である。グラスベルグ銅鉱山露天掘り場面PTFI社公式サイトより4)インドでは2018年3月以来,英国ヴェダンタ系のスターライト・カッパー社(SterliteCopper)が経営している南部タミール・ナディ州のツーチコリン銅製錬所が環境汚染疑惑の元凶であると主張する地方政府や地域住民の猛反発を受けて操業停止中であるが,2019年を通して操業は中断したまま推移した。2020年に入っても問題解決に向けた動きや関連報道はない。5)インドネシアの外資系鉱山各社に対する政策は,2019年も前年同様に展開したが,数年来議論中のテーマが次第に完結する方向へ進んだ。外資政策中で最大のテーマであった米国メジャーのフリーポート・マクモラン社(FCX)の子会社であるPTFI社が操業中のイリアンジャヤ州(パプアニューギニア島西部)のグラスベルグ銅鉱山の権益譲渡交渉は,2018年12月までにすべての手続きが完了し,2019年からはインドネシア側が過半数の権益を保有する新しい体制となった。日常の操業などは従来どおりの内容で継続しているが,2020年に露天掘りから坑内掘りへ移行する。同社の直近の最大テーマは,早期の銅製錬所の建設であり,計画では,年間銅地金生産能力130万トンの新プラントが2022年末の竣工予定である。ブラジルのヴァーレ社(Vale)が主体で,日本の住友金属鉱山も少数権益を保有しているPTVI社(PT Vale Indonesia)は,ニッケル鉱山及び中間製品であるニッケル・マット鉱山第787号2020年8・9月-20-