ブックタイトル鉱山2020年8・9月号

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概要

鉱山2020年8・9月号

また,償却資産への課税は国際的に見ても極めて異例である。特に昨今我が国企業の置かれる事業環境は以前にも増してかなり厳しく,国内産業の空洞化が懸念される状況にある。国内産業の空洞化は企業の利益の問題だけでなく,雇用の問題や税収の問題にも波及する。国内産業の保護・活性化,国際競争力確保の観点からも,償却資産に対する固定資産税については段階的な縮小・廃止をお願いしたい。その中で,償却資産の課税標準については法人税法に合わせて,以下の2点を認めていただきたい。・5%残存価格の撤廃・中小企業に対する少額減価償却資産の特例(30万円未満は損金算入)その際,地方財政の健全化を損なわないように代替財源の手当ても必要である。3不動産に係る固定資産税の軽減不動産に係る固定資産税は,バブル崩壊後,土地をはじめとする資産価格が下落した中で過重な税負担となっており,評価方法の見直し・税率の軽減をお願いしたい。4法人事業税(外形標準課税)の見直し平成16年度から導入された法人事業税における外形標準課税は,実質的に大企業に対する資本金ならびに賃金課税であり,企業の雇用や投資,分社化等の企業再編に抑制的に作用し,経済活力を削ぐ虞がある。そのため,特に次の点の改正を要望する。1)付加価値割の計算方法の簡素化事業税付加価値割の計算は,その集計が複雑で企業に多大な事務負担を強いている。特に報酬給与額の集計は,企業グループを構成し,また企業間での人材交流が活発化している法人にとって,膨大な作業工数が割かれ事務効率化の大きな阻害要因となっているため,付加価値割の計算方法の大幅な簡素化を要望する。2)資本割の軽減措置の拡充特定子会社株式の総資産に占める割合が50%超の場合のみ,特定子会社株式に対する軽減措置が適用されるが,50%を境に適用・非適用の格差が大きいため,基準の引き下げ等をお願いしたい。5事業所税の廃止または他の税(外形標準課税,固定資産税)との統合事業所税は,固定資産税および事業税付加価値割(報酬給与額)と類似しており,二重課税とも言える状態である。また,事業所税独自の情報の収集も必要であり,企業の事務負担は大きい。そのため,事業所税の廃止ないしは他の地方税との統合をお願いしたい。6地方税の申告・納付の一元化現在は,事業所等の存在するすべての都道府県・市区町村に対し個別に申告書の提出・納付をするため,事務負担が非常に大きい。都道府県・市区町村とも課税ベースは共通であり,一括申告納付する方式を採用していただきたい。4.その他の要望(1)消費税の仕入税額控除に係る,95%ルールの復活平成23年6月税制改正により,課税売上高が5億円を超える課税事業者は,課税売上割合が95%以上となる場合において,課税仕入等に係る消費税額の全額を課税標準額に対する消費税額から控除できる制度(いわゆる95%)の対象から除外された。-199-鉱山第787号2020年8・9月