ブックタイトル鉱山2020年8・9月号

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概要

鉱山2020年8・9月号

ブルマディーニョ・テーリング・ダム崩落現場全景出典:Wikipedia掲載写真-18-鉱業法と鉱山保安法を柱に法体系を整備し,個別企業による休廃止鉱山管理計画の策定を通して実効性の高い鉱山管理を行っている。2011年3月の東日本大震災時もテーリング・ダムの崩落,損壊事故は皆無であった。そのため,今回のテーリング・ダム規程議論においても日本の制度や実績を意識した制度づくりと運用が大切である旨を政府,企業ともどもアピールし,オンライン公聴会においても,政府,各社,当協会がそれぞれの立場から意見表明を行った。GTRによる規程は,COVID-19の影響で公表予定が繰り延べとなったものの,最終的には2020年8月5日付けで,Global Industry Standard on TailingsManagement(テーリング管理に関する国際的な企業行動基準)として発表され,GTRはメインの作業を終えた。この基準及び,公聴会等の意見全文は以下のサイトに掲載されている。1)テーリング管理に関する国際的な企業行動基準https://globaltailingsreview.org/globalindustry-standard/2)オンライン公聴会意見全文,主要鉱業国ヒアリング議事録https://globaltailingsreview.org/consultation-report/6.公正なメタル取引世界の鉱山製錬業における公正な取引慣行の確立も,積年にわたって議論されている重要な課題である。議論は大きく2つのテーマに分かれている。1つ目は,公正で透明性のある取引や企業活動を目指すための議論であり,2つ目は,紛争鉱物問題に代表される,人権保護,児童労働やテロ撲滅を目標とした議論である。日本の非鉄各社は,事業内容や製品ラインナップに応じて経営目標を公表し,必要な認証を取っている。LME(ロンドン金属取引所)は,取引対象となる銅,亜鉛,鉛,ニッケル,アルミニウムなどのメタルについて,公正な取引を経て持ち込まれたものであることを確認するための認証制度の導入を目指していることを2019年3月15日にマシュー・チェンバレン会頭名で発表した。この背景には,ESG(Environmental SocialGovernance)投資理論も採り入れたLME活動を鉱山第787号2020年8・9月