ブックタイトル鉱山2020年8・9月号

ページ
194/214

このページは 鉱山2020年8・9月号 の電子ブックに掲載されている194ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

鉱山2020年8・9月号

Ⅰ.非鉄金属鉱業に係る要望1.探鉱準備金・海外探鉱準備金制度及び新鉱床探鉱費・海外新鉱床探鉱費の特別控除制度(減耗控除制度)の維持・存続及び恒久化(租税特別措置法第58条,第59条,第68条の61,第68条の62)鉱業は,採掘に伴い減耗し,かつ,再生不可能な減耗性資産である鉱物資源を経営基盤としている。一般の製造業の場合,固定資産に投下した資本は減価償却費として期間費用配分して回収するが,鉱業の場合は,固定資産に対する減価償却費の回収のみでは企業の存続は不可能である。すなわち,鉱山会社が事業を継続するためには,鉱物の採掘に伴って減耗する埋蔵鉱量を極めてリスクが高い探鉱開発によって補填し続けることが絶対的要件となる。更に,鉱業は事業場が鉱床の賦存地域に限定されること,鉱床は開発が進むにつれ次第に僻遠化,深部化し,その結果,必然的に探鉱開発コストが増大する等の特殊性を有している。また,昨今は,メジャー資本による寡占化の進展や資源ナショナリズムの高まりにより,優良な鉱山開発プロジェクトへの参入はますます難しくなっている。少資源国でありながら技術立国であり,輸出により経済を支える構造を有する我が国としては,資源の安定確保と高品質な非鉄材料の安定供給は極めて重要である。本制度は,我が国企業が継続的に探鉱を進め,自らの資源の確保と安定供給を果たすために必要不可欠な制度である。また,発展途上国においては資源関連企業が国有化されている実例もあり,一方先進国においては同様の税制が恒久化されているという国際情勢に鑑み,我が国が諸外国に後れをとることのないよう,本制度の存続及び恒久化をお願いしたい。また,令和4年度からの連結納税のグループ通算制度への移行に際し,減耗控除制度の所得基準額の計算方法が変更されるが,単体納税との公平性が失われグループ通算制度採用の会社が著しく不利益を被ることから,従来の連結納税採用下の計算方法に改めていただきたい。2.海外投資等損失準備金制度の拡充及び恒久化(租税特別措置法第55条,第68条の43)非鉄金属業界は,鉱物資源の安定供給を確保するために海外鉱山開発に積極的に取り組んでいる。しかしながら,資源の多くが発展途上国に賦存しており,政治的・社会的に不安定であるため危険負担が大きく,また,開発に伴い道路,港湾等いわゆるインフラストラクチャーの整備に多額の資金が長期間必要になる。一方で近年資源確保競争が激化し,以下のとおり開発リスクが増大するとともに,操業移行後においても安定的・長期的な収益化も難しくなってきている。?資源メジャーは,合併等を通じて寡占化を進め,市場支配力をより一層強めている。その結果,買鉱製錬の存立が困難となり自主開発鉱山の確保が必要となるも,メジャー資本による寡占化の進展や資源ナショナリズムの高まりにより優良鉱山開発プロジェクトへの参入機会はますます減少している。?中国企業は,急増する国内需要を背景に,政府と一体となって海外鉱山開発プロジェクトに積極的に参入する動きを強め,資源確保競争を激化させる大きな要因となっている。?資源開発に関わる契約に自国資本の参加を義務付けたり,自国に有利な制度に変更したりする等,資源の国家管理を強化する動きが大きくなりつつある。?また,資源確保競争の激化により,事前交渉から参入表明までの期間,参入費や開発資金の支出までの期間も短期化する傾向にある。更に,対象鉱山の僻遠化,深部化,採取鉱物の低品位化等鉱山第787号2020年8・9月-192-