ブックタイトル鉱山2020年8・9月号

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概要

鉱山2020年8・9月号

労働労働事情1.2019年春季交渉概況連合は,2018年11月30日,第79回中央委員会を開催し,「2019春季生活闘争方針」を決定した。方針では,「経済の自律的成長」「社会の持続性」を実現するためには,公務・民間に関わらずすべての働く者の「底上げ・底支え」「格差是正」による継続した所得の向上を実現するとともに,社会保障と税の一体改革の実現の取組みなどによって,将来不安を払拭することで消費の拡大を図っていくことが不可欠である。加えて,労働組合の有無に関わらず,一人一人の働きの価値が重視され,その価値に見合った処遇が担保される社会を実現していくことが重要である。そのためにも,賃金引上げの流れを継続・定着させるととともに,足下の最大の課題である中小組合や非正規労働者の賃金を「働きの価値に見合った水準」へと引き上げていく。2019年はその足掛かりを築いていく年と位置付け,賃金の「上げ幅」のみならず「賃金水準」を追求する闘争を強化していくとの方針を掲げた。具体的な要求水準としては,前年と同様に,定昇相当分(賃金カーブ維持相当)を確保した上で「2%程度を基準」とする方針(合計で4%程度)を掲げ,5年連続となるベースアップ要求である。また,「大手追従・大手準拠などの構造を転換する運動」を更に前進させることが重要であるとして,中小組合(組合員数300人未満)に対して,大手との格差是正を図る観点から総額10,500円以上(賃上げ水準目標6,000円(ベア相当)+賃金カーブ維持相当分4,500円)の実現などの賃金(時給)引上げに関する取組みのほか,雇用形態間格差の是正,男女間賃金格差の是正などの不合理な労働条件の点検・改善などを掲げた。一方,経団連は,春季労使交渉における経営側の基本スタンスを示す「2019年版経営労働政策委員会報告」に企業は働き方改革と労働生産性向上に一体的に取り組み,競争力強化と収益拡大を図ることで,社員の処遇を改善し,それを更なる働きがいや労働生産性の向上につなげていく「社内の好循環」を実現していく必要があるとのとの基本認識を示した。賃金引上げの基本的な考え方については,企業収益の拡大を背景に賃金引上げのモメンタムを維持することで,経済の好循環に引続き寄与していくことが期待されるとした。その上で,賃金は様々な考慮要素を総合的に勘案しながら,適切な総額人件費管理の下,自社の支払能力を踏まえ,労働組合との協議を経た上で,企業が決定する「賃金決定の大原則」に則り,多様な選択肢の中から自社の状況に適った方法で対応するよう呼びかけた。労使双方から基本的な考え方が示された後,2月中旬から順次,大手企業の労働組合を中心に,経営側へ要求が提示された。多くの労働組合が,月例賃金については定期昇給とあわせて賃金改善やベースアップの実施を掲げ,賞与・一時金については昨年実績を中心に,自社の業績を踏まえた水準での支給を求めた。3月中旬以降,多くの大手企業が示した回答は,月例賃金では,定期昇給の実施(賃金カーブ維持)に加え,5年連続となるベースアップ実施と-179-鉱山第787号2020年8・9月