ブックタイトル鉱山2020年8・9月号

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概要

鉱山2020年8・9月号

図4 TECK(カナダ)の環境対応目標(同社公式サイト)を箇条書きにしてある。鉱山操業における河川水や地下水利用抑制の取り組みは,チリ北部の乾燥地帯で鉱山操業を行っている各社において盛んに議論されている。例えば,2019年には,メジャーの英国系アントファガスタ社が同社の主力鉱山であるロス・ペランブレス(LosPelambres)銅鉱山拡張プロジェクトにおいて海水の淡水化プラントを建設して水需要を賄い,河川水や地下水を使用しない計画であると発表した。チリでは,テーリング(尾鉱)に含まれる水分を回収するシステムが導入されるなど,年々の規模は小さくても長年に及べば大きな節水効果をもたらす操業改善努力が続いている。このような取り組みの一方,世界の鉱山製錬業に対する環境系団体からの視線は厳しさを増している。主要各社は,このような目線に対して,基本的にはCSRや業界団体による活動を通じて情報開示や改善努力に対する理解促進を図っているが,中には不合理ではないかと思われる一方的な言動や要求が寄せられることもあり,対応に苦慮するケースがあることも事実である。4.リチウムをめぐる日本各社の動きEV(電気自動車)の普及拡大予想にともなって,世界各国でEV車用の電池開発や事業化の動きが活発化している。2019年2月に南アフリカ共和国において定期開催されたマイニング・インダバというアフリカ鉱業界の会議には世界各地から政府関係者や専門家,各社要人が集まるが,パナソニック社はEV電池用資源の安定供給確保のために直接資源事業に乗り出す選択肢もあり得る旨の講演を行った。リチウム鉱山あるいは採掘における日本企業の事業活動においては,2014年以来,豊田通商がアルゼンチンのオラロス塩湖リチウムプロジェクトにおいて豪州のオーロコーブレ社(Orocobre)と組んで炭酸リチウム生産事業に乗り出し,2018年には増産計画をプレス発表した事例が有名であるが,2019年3月28日には,住友金属鉱山㈱がリチウムイオン電池のリサイクル事業へ乗り出すこと鉱山第787号2020年8・9月-16-