ブックタイトル鉱山2020年8・9月号

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概要

鉱山2020年8・9月号

・貨物の性状について,「副次危険性」及び「MHB(ばら積み時のみ危険性を有する物質)」の欄を追加する様式変更・ボーキサイト粉など11個の新規貨物の個別スケジュールを追加・ボーキサイト粉の個別スケジュールの危険性に「動的分離」(固体上部に液状スラリーを形成する現象)について言及2021年1月1日にIMSBCコード第5次改正に従って新規追加貨物の運送要件等を関連告示に定める予定である。また,既存の液状化物質(種別A)である各貨物の運送要件に影響が出ないよう我が国よりCCC E&T33に提案文書の提出を予定している。(2)MARPOL条約(海洋汚染防止条約)附属書Ⅴにおける貨物残留物排出規制(長期健康有害性)に係る現状及び今後の動向ア.これまでの経緯平成25年1月1日に発効したMARPOL条約附属書Ⅴの大改正により,貨物残留物は,海洋環境に有害(HME)でないものに限り排出が認められることとなった。現時点ではHME(海洋環境有害物質)の7つの判定基準(1.急性水生毒性,2.慢性水生毒性,3.発がん性,4.生殖細胞変異原性,5.生殖毒性,6.反復ばく露特定標的臓器毒性,7.合成高分子)及びHMEに該当するか否かの荷主から船側への申告は,法的拘束力を持たない附属書Ⅴの実施ガイドラインに基づくものであるため,これらの実施については,締約国の裁量に委ねられていることから,貨物残留物が長期健康有害性(発がん性,生殖細胞変異原性,生殖毒性,反復ばく露特定標的臓器毒性)に該当するかどうかの判定が容易でないことを踏まえ,我が国では上記7つの項目のうち,比較的判定が容易な1.急性水生毒性,2.慢性水生毒性,7.合成高分子について,海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律(海洋汚染防止法)により平成25年1月1日から申告を義務化している。平成28年10月にMEPCでHMEに関する附属書Ⅴの改正が採択され,上記3項目を含む7つの判定基準による有害性の判定及び貨物がHMEに該当するか否かの荷送人による申告を義務化することが決定された(平成30年3月1日より効力発生)。また,この決定を受けて平成29年6月のMSC98(海上安全委員会)では,関連するIMSBCコードの改正案が採択された。イ.今後の動向(平成30年3月以降)1)HME判断基準の強制化への対応平成30年3月以降は7つの判定基準(1.急性水生毒性,2.慢性水生毒性,3発がん性,4.生殖細胞変異原性,5.生殖毒性,6.反復暴露特定標的臓器毒性,7.合成高分子)に基づいて,荷送人によって貨物がHMEか否かを申告することが義務化されている。固体ばら積み貨物(穀物を除く)を運送する海運事業者は,荷送人による海洋環境有害性宣言の義務化への対応の「荷送人によるHMEの宣言書(デクラレーション・レター)」を踏まえつつ,貨物艙の洗浄水にHMEが含まれるかどうかを判断し,含まれる場合には陸上受け入れ施設(産廃事業者等)に陸揚げする必要がある。2)荷送人による海洋環境有害性宣言の義務化への対応海上輸送される固体ばら積み貨物の荷送人は,その貨物が上記7つの判定基準に該当するかどうかを判断し,「HMEであることの宣言書」又は「HMEでないことの宣言書」(デクラレーション・レター)を船長に渡すことが義務付けられた。これを受け国内法(海洋汚染防止法)が改正され,この改正に合わせ荷送人自身が貨物のHME判定を行うための支援として,国土交通省海洋政策課からHMEの判定に関する簡易マニュアル「固体ばら積み貨物の海洋環境有害性に-177-鉱山第787号2020年8・9月