ブックタイトル鉱山2020年8・9月号

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概要

鉱山2020年8・9月号

た。日本も,これを好機として5月中旬に経済産業省の石川昭政政務官,大東鉱物資源課長らがチリを訪問のうえでプロクリカ鉱業大臣と協議を行った結果,2017年に締結したMoU(Memorandum of Understanding)を改定して期限のない合意事項に発展させ,協力関係を広げることで合意し,両国の資源を介する結びつきがいっそう強化された。2.海外における日本の非鉄各社の鉱業活動日本の非鉄各社は,1990年代以降,製錬,金属事業の安定的発展のために海外鉱山の権益獲得による自山鉱の確保や,直接的な鉱山操業による鉱山技術の継承と発展に地道な努力を重ねてきた。2000年から2019年までの5年ごとの自山鉱比率の推移を図1に示した。日本の銅の自山鉱比率は,最近20年間は30%から40%内外で安定的に推移している。鉱山のライフサイクルが一般的に25年から50年程度であることや,各社ともに,世界のメジャーや中国,新興国の非鉄ライバル各社と絶え間ない企業間競争を続けていること,エネルギー分野における日本の権益確保状況などの要素を総合的に評価すると,大きな成果を挙げていると言えよう。このような状況のなか,2019年1月30日には,東邦亜鉛㈱が西オーストラリア州のアブラ(Abra)鉛鉱山の権益の40%を獲得し,2021年の操業開始を目指して開発工事に着手することを公表した。アブラ鉱山の鉛精鉱の目標生産量はフル操業時に年産9.1万トン(鉛純分ベース)である。2019年4月2日には住友金属鉱山㈱及び住友商事㈱より,チリのケブラダ・ブランカⅡ(QuebradaBlancaⅡ)銅鉱山拡張プロジェクトの権益30%を獲得するための手続きをすべて完了した旨のプレス発表があった。同鉱山は,2021年の拡張工事完成後は年産24万トン(銅純分ベース)の大型鉱山となる予定で,カナダのテック・リソーシズ社(TeckResources)が中心となって工事が進んでいる。(追伸。2020年初来のCOVID-19により本工事も中断しているが,完成時期延期等について2020年7月現在の追加的な公表情報はない)2020年2月7日に三菱マテリアル㈱は,チリの中規模鉱山会社であるマントス・カッパー社(Mantos Copper)より,同社のマントヴェルデ銅鉱山(Mantoverde)の権益のうち30%を2.36億米ドルで購入したことを発表した。同鉱山は,銅精鉱を年間7.6万トン,SX-EW法による銅地金千トン150010005000図1銅の??鉱?率の推移2000 2005 2010 2015 2019??鉱輸?量??鉱?率(%)精鉱輸?量図1銅の自山鉱比率の推移出所日本鉱業協会調べ0.60.40.20ケブラダ・ブランカⅡ銅鉱山プロジェクト全貌出所住友金属鉱山プレス発表資料鉱山第787号2020年8・9月-14-