ブックタイトル鉱山2020年8・9月号
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鉱山2020年8・9月号
市況・需給非鉄金属市況鉱山製錬業の経営環境いて,メタル系の資源確保の重要性につき,以下のような内容が盛り込まれた。1.資源エネルギー確保と国家安全保障日本における資源エネルギー政策は経済産業省が中心となって進められている。政策決定にあたっては,この分野における日本全体の将来像を議論する総合エネルギー調査会の傘下にある資源燃料分科会や付帯会合において行われている,石油,石炭,天然ガスや各種メタル政策の議論が重要な役割を占めている。2019年度の分科会においては,各種メタルの安定的確保も日本の経済安全保障の根幹として重要であるという意見が出てきた。2019年10月22日に,世界最大の産銅国チリにおいて地下鉄運賃値上げ反対を契機とした生活防衛を標ぼうするゼネストが始まると,一気に銅の供給不安感がマーケットを覆ったことが背景にあった。この事態に対して,チリの鉱山会社は,さまざまな努力により操業を維持し,輸送手段や交替人員を確保したため,結果的に世界的な銅の供給不安が現実化したり,銅相場が高騰する事態は避けられた。しかしながら,一連のニュースは,自動車やエレクトロニクス産業関係者や学識経験者にとり,石油その他と同じく資源供給も偶発的な要因で,たちどころに供給不安に晒されるリスクが高いということを改めて認識する契機となった。そのため,チリのゼネスト後に開催された2019(令和元)年12月11日の分科会の議論を経て,2020(令和2)年2月26日にまとまった「新・国際資源戦略策定に向けた提言」にお「Ⅲ産業競争力の要となるレアメタルのセキュリティ強化(中略)さらに,銅についても,最大の地金生産国である中国が質的・量的に生産能力を増強させている状況に加え,日本への鉱石の最大供給国であり,これまでカントリーリスクが低いとされてきたチリでさえ政治的な混乱が発生している状況。レアメタルに限らずベースメタルについても安定供給へのリスクは高まっている。過去に発生したレアアースショック等の経験も踏まえ,現在のような特定国による寡占化状況が日本のサプライチェーンに与えうる影響を踏まえた対応策を講じることが必要である。」(出典経済産業省政策サイト「新・国際資源戦略策定に向けた提言令和2年2月総合エネルギー調査会,資源燃料分科会」議事資料)2020年以降は,上記提言をもとに,EV車の爆発的増加に伴うニッケル,コバルトなどのレアメタルや銅,亜鉛,鉛などのベースメタルの安定的確保に向けた新たな政策のための議論を継続する予定である。チリは日本にとって銅精鉱の重要な輸入元であり,安定的な銅資源確保の見地から政府もさまざまな外交努力を重ねてきた。2019年は,チリがAPEC(アジア太平洋経済協力)のホスト国であったため,同国は基幹産業である鉱業の重要性をアピールし,各国との連携強化のために定例の会議に加えて追加的な会議や行事を行っ-13-鉱山第787号2020年8・9月