ブックタイトル鉱山2020年8・9月号

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概要

鉱山2020年8・9月号

会合同会議などでの情報共有を進め,今後の削減貢献量の当業界貢献量の見える化とGVCにて公表が可能な製品・サービスの拡大と削減貢献量算定手法を習得すべく取り組みを進めた。3.2国内政策の動向(1)我が国唯一の地球温暖化に関する総合計画「地球温暖化対策計画」国は,「日本の約束草案」を踏まえ,2016年5月に「地球温暖化対策計画」を決定した。「地球温暖化対策計画」は,中期目標として2030年度に地球温暖化ガスを2013年度比で26%削減することについて,各主体が取り組むべき対策や国の施策を明らかにし,削減目標達成への道筋を付けるとともに,「パリ協定」を踏まえ,全ての主要国が参加する公平且つ実効性ある国際枠組みのもと,主要排出国がその能力に応じた排出削減に取り組むよう国際社会を主導し,地球温暖化対策と経済成長を両立させることを前提に,長期的目標として2050年までに80%の温室効果ガスの排出削減を目指すことを示している。我が国のエネルギー・地球温暖化対策は,パリ協定の採択・発効などの国際動向に加え,国内でも2019年度に入り,4月にパリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略策定に向けた懇談会の提言が取りまとめられ,6月には,パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略が閣議決定された。日本の約束草案(2030年目標2013年度比▲26%)の達成に向けた地球温暖化対策計画に係る長期戦略の遂行が開始されている。(2)地球温暖化防止に係る長期低排出発展戦略2015年12月,COP21(国連気候変動枠組条約第21回締約国会議)において,先進国に対して法的拘束力のある温室効果ガス削減の数値目標を設定し,「京都メカニズム」と呼ばれる国際的な排出量取引の仕組みを導入する等して,2005年に発効した「京都議定書」に代わる新たな地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」が採択された。パリ協定は,2020年までに,今世紀後半(2050年以降)を展望した自国の「長期低排出発展戦略」(長期戦略)を提出するよう,締約国に招請しており,日本政府としても,2019年6月に開催されたG20大阪サミットに先立ち,パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略を策定閣議決定した。具体的には,パリ協定に基づく長期低排出発展戦略(長期戦略)として,今世紀後半のできるだけ早期の「実質ゼロ排出」を打ち出した。長期的な投資を行う年金基金や保険会社など機関投資家の間では,ESG(環境,社会,企業統治)要素を重視する考えが拡大した。また2019年内の国内グリーンボンド(環境債)発行総額は7千億円を超えた。産業界や金融業界が集まり,気候変動に関する財務情報の開示に向けた取り組みで連携する「TCFDコンソーシアム」には大手電力も加わった。最終到達点としての「脱炭素社会」を掲げ,それを野心的に今世紀後半のできるだけ早期に実現することを目指すとともに,2050年までに80%の削減に大胆に取り組み,積み上げではない将来の「あるべき姿」と1.5℃努力目標を含むパリ協定の長期目標の実現にも貢献していく。また,ビジネス主導の非連続なイノベーションを通じた「環境と成長の好循環」の実現,取り組みを今から迅速に実施,世界への貢献,将来に希望の持てる明るい社会を描き行動を起こすという基本的な考え方が示された。[要素:SDGs達成,共創,Society 5.0,地域循環共生圏,課題解決先進国]長期温暖化対策に関する経団連のスタンスは,これまでもパリ協定長期成長戦略懇談会での議論の場や,「今後の地球温暖化対策に関する提言」(2017年10月)の中で示されてきたが,改めて,2019年3月に我が国が取りまとめる長期戦略のあり方について提言がなされ,5月には,『G20大阪サミット議長国・日本として,「脱炭素社会」という最終到達点に向け,「非連続なイノベーション」を軸に「環境と成長の好循環」を実現するという野心的な「ビジョン」を世界に示す内容であり,評価できる。こうした長期戦略案の基本的骨格は維持すべきである。また,この野-147-鉱山第787号2020年8・9月