ブックタイトル鉱山2020年8・9月号

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概要

鉱山2020年8・9月号

また,電力システム改革の第三段階は,2020年4月に電力会社の送配電部門の法的分離が行われ,送配電部門の中立性の一層の確保を基軸とした改革施策策定が進行している。また,国の審議会などでは,電力システム改革貫徹に向けた課題対応として,市場メカニズムを有効に活用しつつ3E+Sを実現するために,卸電力市場をはじめとした既存の市場流動性を高めるとともに容量市場や非化石価値取引市場など,これまでになかった新市場を創設することにより,新たな価値の顕在化と流動化に向けたさらなる競争活性化に向けた市場開設がなされている。具体的には,ベースロード電源市場が2019年7月に,需給調整市場が2019年から自主運営が開始され,容量市場は2020年から開設が計画されており,非化石価値取引市場は2018年5月からFIT由来の再生可能エネルギーについて取引が既に開始されている。制度設計に関しても,地域間連系線の利用ルールや容量市場に参加する仕組み等,その意義と基本的な考え方の検討が進んでいるが,システムが複雑であり,今後の実効的な仕組みの検討に期待したい。2.省エネルギーの取り組み2.1エネルギー消費量及び原単位の削減状況省エネルギー法改正によって事業者単位によるエネルギー管理が必要となり,中長期的にみて年平均1%以上のエネルギー消費量単位の低減に努めることが求められている。日本鉱業協会は,2007年から2012年の期間,日本経済団体連合会(以下,経団連)の環境自主行動計画に参加し,積極的な省エネルギー活動を展開し,2013年以降も経団連低炭素社会実行計画に参加し,引き続き省エネルギー活動に努めている。2019年度実績を以下に示す。また,非鉄金属製錬業界のエネルギー消費量及びエネルギー原単位の推移を図6に示す。〇エネルギー消費量:143.9万kl(原油換算)(1990年度比▲15.2%,2018年度比▲1.3%)〇エネルギー原単位:0.598kl/t(原油換算)(1990年度比▲24.9%,2018年度比+0.7%)図6エネルギー消費量とエネルギー原単位の推移エネルギー消費量及びエネルギー原単位については,鉱石・精鉱の品位の悪化,コスト効率的な省エネルギー対策の停滞,電気料金値上げのコスト負担増による省エネルギー投資の抑制等,厳しい事業環境の中で会員企業の継続的な省エネルギー対策が講じられていることにより,概ねここ数年改善基調で推移してきた。2019年度のエネルギー消費量は,わずかに好転したが,ほぼ横ばいであった。2019年度のエネルギー原単位は,2018年度と比べて+0.65%とわずかに悪化した。これは,鉱石品位の低下に加えて,継続している省エネ施策の効果が手詰まりになっており,銅の減産の影響でエネルギー消費量が減少した半面,原単位は若干悪化したものと考えられる。協会としては,今後も会員企業が,徹底的な省エネルギー諸施策を確実に推進し,非鉄金属製錬業界として安定して目標を達成できるよう引き続き制度活用や情報共有を含め支援していきたい。2.2省エネルギー関連補助金の活用状況(1)2019年度エネルギー使用合理化等事業者支援補助金工場・事業場の省エネ設備の導入に使用できる省エネルギー投資促進に向けた支援補助金に関しては,2019年度予算(臨時・特別措置120.4億円を含む)は,2018年度予算と比較して減額となった。-143-鉱山第787号2020年8・9月