ブックタイトル鉱山2020年8・9月号

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概要

鉱山2020年8・9月号

電気料金の値下げを訴え続けていく。(4)電力多消費産業団体,ものづくり産業団体による共同要望活動1地球温暖化対策に関する政策的コスト負担の抑制当協会は,2019年11月,日本鉄鋼連盟が提唱した『民主導のイノベーションを通じた温暖化対策を目指して─地球温暖化対策のための税負担の拡大に反対する─』と題した共同要望への賛同要請に対し,経済界として,業界団体98団体と共に賛同し,カーボンプライシングの一類型である炭素税の導入・拡大といった,地球温暖化対策のための税負担の拡大及びその具体化に向けた政府内の議論すらも絶対に反対する立場を明確にした。幸いにも,地球温暖化対策のための税負担の拡大及びその具体化の議論は見送られ,危惧は杞憂に終わったが,経済界として,炭素税導入及びその具体化議論へも反対の立場を貫くこととした。今後も,「炭素税」等のカーボンプライシングについて,政府の長期成長戦略と実行計画の方向性を見据え,経済界及び電力多消費業界及びものづくりを代表する業界とも連携し,絶対反対のスタンスで要望活動を推進し,過度な政策的なコスト負担を抑制すべく意見具申,鉱業政策要望を行う。2発電側基本料金制度に関するFIT電源への調整措置について2020年2月,日本鉄鋼連盟の参画要請に賛同し,同特殊鋼会,普通鋼電炉工業会,新金属協会,日本金属熱処理工業会,日本鉱業協会,日本産業・医療ガス協会,日本ソーダ工業会,日本チタン協会,日本鋳造協会,日本鋳鍛鋼会の電力多消費産業団体11団体に加わり,『発電側基本料金制度に関するFIT電源への調整措置について』と題する意見書と『電力多消費各団体における窮状一覧表』と併せて配布・要望説明し,業界団体トップ及び役員による政府・与党関係者への理解活動を強力に進めた。ただし,2月下旬より新型コロナ禍の影響により,連名各団体と連携した要望陳情は,日本鉄鋼連盟及び経団連が代表した対応に切り替え陳情がなされた。政界有識者からは,電力多消費団体への理解が示され,法制化の段階において広く意見を聴いたうえでの対応意思が確認できた。一方,産業界としても,我が国の国情に整合した協力の要請意見も承った。1.6電力システム改革に伴う電力政策の進展電力システム改革は,2015年4月,電力システム改革第一段階として,電力広域的運営推進機関が設立され,2016年4月,第二段階として,電力小売りの全面自由化が開始された。大手電力10社による発電,送配電,小売りの地域独占一貫体制から,電力事業者間の競争,需要家の選択機会拡大へ電力システムの大転換が進められている。さらに,電力システム改革の第三段階として,2020年4月に電力会社の送配電部門の法的分離がなされた。当業界にとって電力問題は重要課題であることから,当協会は,電力事業者間の適正な競争と電気需要家の選択肢の拡大によって一刻も早く低廉かつ安定的な電力が供給されるよう,実態に合わせた制度や運用の見直しを電力会社,政府及び与党に求めている。電力自由化に伴い,各供給エリアで新規電力と大手電力会社間の競争により,また,各供給エリアの範囲を越えた,より広い域での卸取引も一層活発になり,健全な市場競争の進展による,電気料金の引き下げにもつながることを期待したい。一方,全面自由化の下,新電力は,昼夜負荷変動の小さい産業用需要を満たすことが容易でなく,産業用電力シェアも相当程度低く留まっているなど課題が顕在化している。当業界に取り,電力問題は重要課題であり,電力事業者間の適正な競争と電気需要家の選択肢の拡大により,低廉かつ安定的な電力供給が実現するよう,電力会社に対し,実態に合わせた制度や運用の見直しを求めた。鉱山第787号2020年8・9月-142-