ブックタイトル鉱山2020年8・9月号
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鉱山2020年8・9月号
成分分析については,同一のサンプルを製錬所側と鉱山側の両者で分析する。両者の分析結果が定められた差より小さければ,その平均値により品位が決定される。定められた差より大きい場合は,第三者分析機関(審判分析所)で分析を行い,三者の結果から契約で定められた方法に従い(分析値の近い二者の間の平均値を用いる場合が一般的),品位が決定される。このような仕組みのため,鉱山,製錬所及び第三者分析機関の間で,秤量,サンプリング,水分測定,試料調製法及び成分分析方法を国際的に標準化して統一していくこと(又は,基準的な方法を定めていくこと)は,国際商取引を円滑に実施していくために極めて意義が大きい。そこで,分析部会では,ISO/TC183及びその国内委員会を通じて,銅・鉛・亜鉛・ニッケル鉱石及び精鉱のサンプリングや分析方法に関する国際規格の制定活動に積極的に取り組んでいる。現在,非鉄金属地金の最大の消費国及び生産国は,中国である。銅では,世界消費の約半分を占め,生産でも約4割に迫っている。亜鉛では,消費,生産とも世界の5割となっており,さらに中国が精鉱の最大産出国でもある。このような状況のもとで米中の貿易戦争の影響を受けて,非鉄金属の価格は,2019年度に入り軟化してきており,今後の推移についても見通せない状況となっている。しかし,金属価格の下落が必ずしも鉱石の需給状態の変化につながっておらず,原料事情が調達側にとっては,タイトな状況は変わっていない。これは,非鉄金属が中国も含め新興国のインフラ整備等の発展に不可欠であること,先進国においても自動車の電動化に伴い,需要が増大すると予想されているためである。一方,原料供給は,将来的な需要の増加をにらみ新鉱山の開発の動きはあるものの,鉱山開発の高コスト化(鉱山の奥地化,粗鉱品位の低下及び不純物増加,環境対策費の増加等)や資源ナショナリズムを背景に必ずしも順調に伸びていかないと予想されている。さらに,世界最大の非鉄金属鉱石の供給国であるチリの鉱山でのストや政情不安,既設鉱山の鉱量の枯渇も,供給面での不安材料となっている。そのため,今後も非鉄資源獲得をめぐる国際競争は継続し,日本のような輸入鉱を原料とする非鉄金属製錬産業(Custom Smelter)にとっては,益々厳しい環境となる可能性が高い。よって,今後の安定した資源確保を行うため,分析やサンプリング等,信頼性のある日本の技術を国際標準化によりアピールすることの重要性は益々増大してきている。TC183は,銅・鉛・亜鉛・ニッケル鉱石及び精鉱のサンプリングと分析方法に関する一連の国際規格を審議しているISOの専門委員会である。次にその概要を示す。ISO/TC183の概要委員会名銅・鉛・亜鉛・ニッケル鉱石及び精鉱(Copper, lead, zinc and nickel oresand concentrates)発足1983(昭和58)年幹事国オーストラリア議長Mr. Mark O’Dwyer(オーストラリア)参加国P-メンバー(国際規格案投票の権利を有(2020(令和し,業務に積極的に参加する):10か国2)年7月現Australia,Brazil,Chile,China,在)Kazakhstan,Netherlands,Germany,Japan,Poland,United KingdomO-メンバー(オブザーバーとしての参加):24か国日本の地位P-メンバー(発足時より現在まで)部会数WG:総数25(活動中9)SG:総数10(活動中3)制定ISO数27個別の規格の制定は,WGやSGにより行われる。以下にWG及びSGの状況を示す。アンダーラインは現在活動中の部会WG 1銅精鉱中の金,銀の定量方法(乾式融解-灰吹-AAS/重量法)WG 2銅精鉱中の金,銀の定量方法(乾式融解-焼溶-AAS法)WG 3銅精鉱中の銅の定量方法(滴定法)WG 4銅精鉱中の銅の定量方法(電解重量法)WG 5鉛精鉱中の鉛の定量方法(融解-硫酸鉛沈-133-鉱山第787号2020年8・9月