ブックタイトル鉱山2020年8・9月号

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概要

鉱山2020年8・9月号

鉛精鉱As,Cd,Cu,Mn,Tlその結果,3種類の精鉱中の検証したすべての元素について,全所の平均値では良好な回収率を得ることができた。ただし,個別の分析所の結果においては,低回収率,高回収率の場合があり,さらなる検討が必要であることがわかったため,その原因調査を行った。・統一分析方法の見直し原因調査を,事象が発生したラボ毎に実施した結果,ICP-OESで測定する際,測定波長の選定の仕方によって妨害元素の影響やサチュレーションにより良好な回収率が得られない場合があることが判明したことから,推奨波長を付した共同実験要領を作成した。・見直しを行った統一分析方法の検証測定波長等を見直した共同実験要領に基づき,国内15分析所が参加して,酸分解(王水,臭素分解)-直接ICP法にて,ひ素以外の主要な不純物元素を定量する共同実験を行った。その結果,各元素の回収率は概ね良好であり,同一の前処理で得られた溶液にて多数のペナルティー成分を同時に定量できる可能性があることが示された。2買鉱対象成分の自動分析法の考案と検証・各社の買鉱対象成分分析方法の調査各社の買鉱対象成分の分析方法について,10分析所の協力を得て調査を実施した。その結果,滴定法の他,原子吸光法やICP発光分析法も採用されていること,滴定法については,銅は全ての分析所で自動,亜鉛及び鉛は手動または自動で行っていることがわかった。・統一分析方法の考案とその検証買鉱対象成分のうち自動滴定法を採用している分析所の多い銅について統一分析方法を考案し,3分析所において検証を実施した。その結果,全分析所において自動滴定法と手滴定法の分析結果はよく合っていることが判明した。3試験研究の成果1ペナルティー成分の同時分析法の確立日本鉱業協会分析部会でISOとして提案を予定している精鉱中のひ素のICP-OESによる分析方法をベースとした他のペナルティー成分の分析も可能な統一分析方法を考案し,ひ素以外の不純物元素についても同時分析が可能であることを確認することができた。今回確立した分析方法を基に,今後,JISの改正やISOの制定に向けたWDの作成を進める。2銅の自動滴定法の確立全ての分析所で自動滴定法を採用している銅について統一分析法を考案し,手滴定法との差がないことを確認することができた。今回確立した分析方法を基に,今後,JISの改正を進める。尚,分析部会では2020(令和2)年度より,日本鉱業振興会から助成を得て「精鉱のICP発光分光分析法による分析精度把握の研究」に取り組んでいる。Ⅲ.現場担当者会議2019(令和元)年6月12~13日に全国鉱山・製錬所現場担当者会議が開催された。分析部門は第69回となる。12日は,JST ALCA-SPRING魚崎浩平氏(物質・材料研究機構)と金村聖志氏(首都大学東京)による「次世代蓄電池研究開発加速プロジェクト(ALCA-SPRING)の概要」と題する全体特別講演並びに一般講演9件及びISO/TC183国際会議(オーストラリア)報告が,13日は,日本電子㈱本社及びクリクラ中央研究所町田工場の見学会が行われた。一般講演,部会報告の内容は次の通りである。☆(1)内標準を用いた蛍光X線分析法によるNiおよびCoの高精度分析住友金属鉱山㈱新居浜評価技術室(2)グロー放電質量分析装置による半導体粉体試料の分析JX金属㈱技術開発センター(3)GD-MSによるAl表面中の不純物分析について三菱マテリアル㈱-131-鉱山第787号2020年8・9月