ブックタイトル鉱山2020年8・9月号

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概要

鉱山2020年8・9月号

Stage B共同実験を行うこととなった。また,別途,日本と中国で共同実験用試料を交換して双方の分析方法で結果をクロスチェックし,問題点を明確にすることも確認したが,その後中国から何らアクションがなく,シドニー会議以降,活動に進捗が見られない状況である。本WGは,日本がコンビナーを務めるWG16と関連が深いことから,正確で精度の良いISO規格が策定されるように,中国に協力して積極的に対応する方針である。・WG25:銅,鉛,亜鉛精鉱中のタリウムの定量方法(コンビナー:中国)日本は,取引上のペナルティー成分としてタリウムは入っておらず,興味なしを表明したが,オーストラリアと中国の提案でWG25を発足させることになった。2019(令和元)年10月にNP投票が行われて承認され,WD作成段階から開始することとなった。・SG4:高含金精鉱の前処理方法(コンビナー:オーストラリア)金高含有試料の分析精度を改善するために,試料均一性を確保する前処理を含めた規格化の制定を検討するSGである。シドニー会議ではコンビナーより,銅品位の変動を指標とする前処理時の試料酸化の検証方法(試料の酸化による試料採取量の変化に起因した分析値の負の誤差の検証)について提案があり,共同実験が実施されることとなった。日本は「ほとんどの鉱石には影響はなく,自然金粒を含む一部の高品位精鉱に対して本方法は適用されるべきであり,コンビナーの所属会社の精鉱が適している」とコメントした。今後,SG10(試料保管期限の検討)をSG4に合併して継続的に活動し,得られた成果はISO 12743の改訂に繋げる予定であるが,本SGもシドニー会議以降,活動に進捗が見られない状況である。Ⅱ.効率化を考慮した鉱石分析方法の統一化,標準化に関する研究日本鉱業振興会から助成を得て,2017(平成29)年度から2019(平成31)年度まで,題記テーマの活動に取り組んだ。研究の目的,概要及び成果は以下の通りである。1試験研究の目的日本鉱業協会分析部会では非鉄金属資源の安定的な獲得を目的とし,これまで精鉱等に含まれる買鉱対象成分及びペナルティー成分の分析値の信頼性向上を,当該成分に関わる分析方法をJISやISO等として規格化することにより行ってきた。しかし,一方で分析作業の効率化も重要な課題となっており,各社の分析所では,信頼性及び分析作業の効率化をともに確保するため,これまで独自にJISやISO等とのバリデーションを行いながら,ICP発光分光分析装置(以下ICP-OES)による多元素の一斉定量や自動滴定装置による省力化を行っている。本試験研究では,精鉱等中の各成分を効率的に分析できる統一方法を確立し,将来的にJISやISOとすることを目的として各製錬所での分析状況の実態調査,統一分析方法の考案及び共同実験による統一法の検証を行った。2試験研究の概要1ペナルティー成分の同時分析法の考案と検証・各社のペナルティー成分分析方法の調査各社の精鉱のペナルティー成分の分析方法について,主要製錬所の11分析所の協力を得て調査を実施した。その結果,各分析所ともICP-OESでの同時分析が主流となっている実態を確認することができた。・統一分析方法の考案とその検証各分析所への調査の結果,各精鉱のペナルティー成分の含有量範囲,試料分解方法の能力等を考慮して,日本鉱業協会分析部会でISOとして提案を予定している精鉱中のひ素のICP-OESによる分析方法を基とした統一分析方法を考案し,7分析所において統一法の検証を実施した。各精鉱の同時分析成分は,以下の通り。銅精鉱As,Bi,Cd,Co,Mo,Ni,Pb,Sb,Tl亜鉛精鉱As,Bi,Ca,Cd,Co,Cu,In,Mg,Mn,Ni,Tl鉱山第787号2020年8・9月-130-