ブックタイトル鉱山2020年8・9月号

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概要

鉱山2020年8・9月号

松江会議以降,コンビナーによる詳細な検証を経て,Part2に「Annex B統計的手法による分析精度の検証方法」を追加することとなり,シドニー会議にてコンビナーより,WG21のMethod2-Stage B共同実験の結果を利用して解析した結果の例の説明が行われた。日本は,「コンビナーズマニュアルとして正式な文書登録が行われていないことから,Part1とPart2を文書登録すること」及び「分析精度チェックを行う市販のソフトウェアが存在すること」をコメントした。2019(令和元)年にコンビナーが,修正したマニュアルを事務局に送り,文書登録を行うこととなったが,現在までに文書登録は行われていない。正式文書登録後,コンビナーズマニュアルはテクニカルレポートとして広く一般に公開できる形にするための投票が行われる予定である。・WG11:輸送水分の測定方法(コンビナー:オーストラリア)鉱山側では本法を活用しており,鉱山側にとって重要なWGである。一方,日本では非鉄精鉱の輸送水分について本方法を適用している例はないが,各国の事情や標準化動向を注視するために参画している。本WGでは承認済新作業項目(以下,AWI)12742(輸送水分-フローテーブル法)について2019(令和元)年8月にDIS投票が実施され,P-メンバー7か国が賛成して承認された。なお,日本の製錬所では輸送水分の試験を実施しないため,棄権した。・WG14:銅,鉛,亜鉛精鉱中の水銀の定量方法(コンビナー:ブラジル)本法は,共同実験試料の提供が少なく,スコープを銅精鉱に限定して規格化することとなっていた。シドニー会議でオーストラリアの一部から共同実験試料を提供すること及び燃焼法等の他の分析方法も規格化すべき,とのコメントが出されたものの,議論の結果,本規格は技術的に還元気化-原子吸光法に基づくものであり,銅精鉱については,Stage B共同実験も実施済みであることから,直接DIS化することとなった。その後,本プロジェクトは期限切れによりキャンセルされていることから,2019(令和元)年10月にNP投票が実施され,DISステージに進むことが承認された。・WG21:銅,鉛,亜鉛,ニッケル精鉱中の全塩素の定量方法(コンビナー:ブラジル)2018(平成30)年度にアルカリ融解(炭酸ナトリウム/炭酸カリウム融解)-電位差滴定法による鉱石及び精鉱中の全塩素定量法のStage B共同実験を実施,シドニー会議にて詳細な解析結果が報告された。日本は,「共同実験試料の均一性に問題があること」「ジルコニウムるつぼを800℃のマッフル炉で加熱すると,るつぼ寿命を著しく損なうこと」等を指摘したが,総じて結果の統計解析の結果は良好であったことから,CDをスキップしてDIS投票を行うこととなった。2019(令和元)年8月にDIS投票が開始され,日本としてはジルコニウムるつぼの取り扱いにつき,マッフル炉で800℃に加熱することは劣化を早める旨を注記で加えることを要望し,コメント付賛成として投票を実施した。その結果,DISは「技術的なコメントあり」で承認されて最終国際規格案(以下,FDIS)に進み,その後2020(令和2)年6月にFDIS投票が開始されたことから,日本は主張した内容が反映されているかを確認した上で投票を実施する。・WG24:イオンクロマトグラフィーによるふっ素及び塩素の定量方法(コンビナー:中国)中国国内の一部の分析機関で実施され,中国国内規格を制定予定の精鉱中のふっ素・塩素の水蒸気蒸留-イオンクロマトグラフィーによる定量方法について討議するWGである。シドニー会議では,中国より2016(平成28)年以降の活動と各種分析方法の検証に関する説明が行われ,日本は「銅精鉱の分析方法と,鉛及び亜鉛精鉱の分析方法が一部異なることから,同一の分析方法(アルカリ融解-水蒸気蒸留分離法)に統一すべきである」と提案した。各国からもコメントが出され,その結果,現状のWD案を修正後,TC183の正式な文書として登録し,-129-鉱山第787号2020年8・9月