ブックタイトル鉱山2020年8・9月号

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概要

鉱山2020年8・9月号

拠点を運営できることとなったため,環境リサイクル事業との統合を深化させ,原料構成を最適化するなど,さらなる競争力向上を図る。EV等の急速な普及に伴う使用済み車載用リチウム電池の資源循環利用の需要増加を見据え,使用済み電池に含まれるレアメタルを再び車載用電池の原料として使用する「クローズドループ・リサイクル」の実現に向けた技術開発を加速すべく,車載用リチウム電池からバッテリーグレード金属塩を回収する実証試験装置を日立事業所に設置し稼働させた。また,2020年4月に編成した専門組織の下,使用済み車載用リチウムイオン電池からのレアメタル回収・再利用技術の開発や,社会的な体制づくりを推進する。4.DOWAホールディングス貴金属銅事業は,製錬・リサイクル複合コンビナート機能の深化に向けて,小坂製錬(株)においてリサイクル原料など多様な原料の処理を推進するとともに,高純度すずの生産を開始した。PGM(白金族)事業は,使用済み自動車排ガス浄化触媒からの金属回収量が増加した。亜鉛事業は,亜鉛及びインジウムの金属価格下落や電力単価上昇の影響を受けたものの,製錬原料の購入条件が改善したことにより損失幅を縮小した。廃棄物処理事業は,廃棄物の焼却処理及び溶融・再資源化の処理がともに伸び増加,リサイクル事業も,リサイクル原料の集荷に注力するとともに家電リサイクルの処理量が増加した。5.三井金属鉱業亜鉛地金は,国内の高耐食性メッキ鋼板向け需要は堅調に推移したものの,亜鉛メッキ鋼板向け需要は景気後退の影響により低調であったこと等から販売量は減少した。また鉛地金は国内鉛蓄電池向需要の回復に加え,輸入品の減少による影響等により販売量は増加した。亜鉛・鉛相共にLME(ロンドン金属取引所)価格は下落基調で推移したこともあり,売上高は前期比減少した。2020年4月に,パンパシフィック・カッパー株式会社の再編に伴い,銅製錬事業の枠組みを見直した。今後は既存の亜鉛・鉛・貴金属製錬に加えた「新たな製錬ネットワーク」のシナジーを再構築し,銅製錬機能の強化や貴金属回収の強化を含むリサイクル製錬の競争力を更に高めていく。6.東邦亜鉛製錬事業は,金属相場の下落が業績の逆風となった。電力料金の高止まりなど以前として厳しい環境が続くなか,リサイクル原料の活用や製造プロセスの改善など,最適な操業体制を構築することでコスト低減を図っていく。環境リサイクル事業部門は,主力製品の酸化亜鉛が亜鉛の国内価格が前期比で下落したこと及び減販により減収となった。使用済みニカド電池の処理や硫酸リサイクル事業についても,前期比減収となった。Ⅱ.操業特記事項1.銅製錬所2019年度の電気銅生産は,前年比2.9%減の1,525.0千t/年となった。各社の操業上の特記事項は次の通り。(1)小名浜製錬小名浜製錬所2019年10月18日~2019年11月10日まで定期修理を実施した。(2)日比共同製錬玉野製錬所2019年度は,大型定期修理なし。(3)三菱マテリアル直島製錬所2019年度は,大型定期修理なし。(4)住友金属鉱山東予工場2019年10月25日~2019年11月28日まで定期修理を実施した。(5)パンパシフィック・カッパー佐賀関製錬所2019年11月6日~2019年12月5日まで定期修理を実施した。2.亜鉛・鉛製錬所2019年度の亜鉛生産は,前年比0.6%減の518.2千t/年となった。鉱山第787号2020年8・9月-124-