ブックタイトル鉱山2020年8・9月号

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概要

鉱山2020年8・9月号

地域,マラウィ1地域,ナミビア4地域,カナダ1地域,ブラジル1地域,ブルガリア1地域,ザンビア1地域,フィジー1地域,モンゴル1地域であった。主要な探鉱成果としては,フィジー共和国コロカイウ地域でボーリング調査を実施した結果,掘進区間長11.00メートル,亜鉛13.8%,銅2.94%を含む高品位な黒鉱型の亜鉛・銅の鉱化を捕捉した。特に優勢な鉱化を捕捉した3孔から,鉱床が少なくとも東西100メートルにわたって分布していることがわかり,今後,さらなる鉱床の広がりが期待される。(2)民間探査支援海外地質構造調査は,我が国企業及びその海外子会社とのJV調査として実施するもので,オーストラリア,カンボジア及びチリの4案件を実施した。また,探鉱助成金交付事業は,ベースメタルについて,アルゼンチン及びカナダの2案件に,ウランについて,カナダの1案件にそれぞれ支援を実施した。(3)海洋底資源調査・開発資源エネルギー庁の委託を受け,2008(平成20)年度から日本周辺海域で確認されている海底熱水鉱床の開発に向け,資源量評価,採鉱技術,選鉱・製錬技術及び環境影響評価について,それぞれ並行して実施している。特に,2019(令和元)年度は,沖縄海域ごんどうサイトでのボーリング調査等による資源量評価を実施するとともに,鹿児島県奄美大島沖にて新たな海底熱水鉱床を発見した。新たな海底熱水鉱床は,「天美(あまみ)サイト(仮称)」と呼ばれ,これまで海底熱水鉱床の存在が確認されていなかった奄美大島沖で発見され,かつ沖縄海域の他の鉱床と比較して浅い水深(500m~750m)に存在していることから,今後の調査対象海域の拡大に寄与することが期待される。また,コバルトリッチクラストについては,南鳥島の南東約600kmの公海上に分布する6海山計3,000km 2において,2014(平成26)年1月,国際海底機構から15年間の排他的探査権を取得し,2019(令和元)年度には海洋資源調査船「白嶺」を用いて,鉱区の絞り込みのための調査を実施している。2019(令和元)年度は,23地点でボーリング調査,曳航体による音波探査やAUVによる海底映像取得等を実施し,クラストの詳細な分布状況の把握に努めた。また,2020(令和2)年度に計画している実海域での掘削性能試験に向け,海底熱水鉱床用に開発された掘削試験機を改造し,陸上での掘削試験を実施した。マンガン団塊については,国際海底機構から深海資源開発㈱がハワイ南東方沖の75,000km 2の排他的探査権を取得しており,2019(令和元)年度はJOGMECの委託を受け同社によりマンガン団塊の環境調査等が行われた。4.地熱資源開発2018(平成30)年7月に「第5次エネルギー基本計画」が閣議決定され,地熱発電は発電コストが低く安定的に発電を行うことが可能なベースロード電源として位置付けられ,2030(令和12)年度までに最大で約155万kW,発電電力量113億kWhを導入することが数値目標として掲げられた。しかし,現状は残り10年という時点で約59万kWの導入に留まっている。地熱発電については,一部の規制緩和は進んだものの,逆に保安林における規制が厳しくなるなど,山間奥地での調査開発に支障を来たす状況が見られ,地下資源特有の探査リスクや系統接続が不確実というリスクも相俟って,新規地熱開発が思うように進んでいないのが現状である。4.1地熱開発企業の動向2012(平成24)年12月,我が国の地熱発電事業の健全な普及推進を図るため,地熱発電開発を志す33社によって日本地熱協会が設立され,現在会員数は特別会員を含め86社に増加している。個別企業の活動を以下にあげる。鉱山第787号2020年8・9月-118-