ブックタイトル鉱山2020年8・9月号

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概要

鉱山2020年8・9月号

技術技術部門の動向Ⅰ探査の動向1.概況資源開発世界的に資源需要が高まり,中国等の新興消費大国との競争激化,非鉄メジャーの合併による資源の寡占化,さらには資源ナショナリズムの高揚など,安定的な鉱石の確保がますます難しくなっている。このような中で,非鉄金属各社は近年の原料の供給難,買鉱条件の悪化に伴い,原料の安定供給確保のための海外資源開発を加速し,従来の大型プロジェクトの権益取得の他,自主鉱山開発も活発化している。独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は,海外における金属鉱物資源の開発を促進し,我が国の非鉄金属資源の安定供給の確保に資するために,リスクの高い初期段階の探査事業を行う民間企業を積極的に支援することを目的として,「海外資源確保関連事業」という支援制度を実施している。また,国は金属鉱物資源開発を担う我が国企業による,開発・生産段階の鉱山権益獲得を支援するため,2010(平成22)年7月にJOGMEC法を改正し,日本企業が鉱山権益を買収する時にJOGMECが出資できるように制度を整えた。さらに政府保証付きの長期借入金を活用できる対象業務が追加され,資金面で我が国企業を支援する機能を拡充した。2012(平成24)年8月にはJOGMEC法が再度改正され,JOGMECが石炭,地熱開発支援を行えることとし,金属鉱物に係わる資産買収出資,石炭・地熱に係わる出資・債務保証について,産投出資からの資金を活用できることとした。2.国内における金属資源探査住友金属鉱山㈱菱刈鉱山では,2018(平成30)年度に引き続き,菱刈鉱山及び周辺地域において積極的な探鉱を実施した。2019(令和元)年度は菱刈鉱山において山田鉱床及び山神鉱床を中心にヒ押探鉱を積極的に推進した。また坑内・坑外試錐を推進し,主として既知鉱脈の近傍を探鉱した。3.海外における金属資源探査3.1企業による探鉱(1)海外鉱物資源開発㈱子会社の深海資源開発㈱は,2001(平成13)年6月に国際海底機構との間で締結した探査契約(2016(平成28)年6月に15年の契約期間を5年間延長)に基づく作業を継続すると共に,JOGMECより深海底鉱物資源調査(自鉱区内におけるマンガン団塊の調査)を受託し,実施した。(2)住友金属鉱山㈱環太平洋地域を中心に,銅,金をターゲットとした初期ステージ探鉱及び自社鉱区取得を展開した。また,同社グループが権益を保有する海外鉱山でも,既知鉱床周辺での探鉱を推進した。(3)日鉄鉱業㈱日鉄鉱業㈱では数年来,チリ,フィジー,東南アジア諸国等,環太平洋地域における金属鉱床探査に力を注いできた。鉱山第787号2020年8・9月-116-