ブックタイトル鉱山2020年8・9月号

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概要

鉱山2020年8・9月号

カドミウム1.カドミウム価格カドミウムは市況商品ではない。そのため,LMEなどによる公表取引価格はなく,地金生産者や商社,需要家間での相対取引により価格形成されている。USGS(アメリカ合衆国地質調査所)や,調査会社であるStatista(スタティスタ社)による一般向けのカドミウム価格情報を表1に示す。これによると,2015年から2019年の5年間で地金価格は,年間平均ベースで$1.47/kgから$2.60/kgまで上昇している。2000年代に入り,カドミウムは需要低迷により価格下落傾向が続いていたが,足元数年間の値上がり要因は不明である。2.世界のカドミウム需給世界のカドミウム鉱石生産は,年間およそ20,000t(純分ベース,以下同じ)と推定されているが,公表されている統計はない。鉱石の主要生産国は,中国,カナダなどであるが詳細は不明である。カドミウム地金生産量は,表2に示したとおり2019年で年間およそ24,000tであり2015年の年産23,000tから,ほぼ横ばいである。中国の推定地金生産量は8,000tであり,世界生産量の3分の1強を占める。中国に続いて鉱石産地金生産量が多いと推定されている国は,カナダ,メキシコ,カザフスタンなどである。カドミウムが亜鉛鉱の副産物として生産されていることが主な要因である。欧州各国,米国,日本,韓国などの地金生産はスクラップ産および亜鉛などの精鉱の副産物である。2019年は推計値であることが多い。表3に世界のカドミウム地金消費量を示す。世界全体の推定消費量は約21,000tである。統計誤差などを勘案すると,生産と消費は,ほぼバランスしているとの評価が多い。需要面においても,中国は年間約10,000tから15,000t程度のカドミウム地金を消費し,これは世界消費の50%内外に達している。中国に続いて消費量が多い国は,韓国の年間4,000t,日本の年間1,700t,米国の年間600t,ベルギーの年間600tなどである。なお,ロシアのデータは不明である。参考世界のカドミウム地金バランス30,00025,00020,00015,00010,0005,00002015年2016年2017年2018年2019年‐5,000‐10,000地金生産量地金消費量過(+) 不足(‐)3.国内のカドミウム需給と輸出入日本のカドミウム需給状況は表4のとおりである。日本のカドミウム地金生産は2015年以降,年間2,100tから2,300t内外であったが,2019年には1,881tに低下した。現在のカドミウム地金生産は,すべて亜鉛精鉱を中心とするベースメ表1カドミウム価格指標暦年20152016201720182019価格(USD/kg )1.471.341.752.892.60価格(cent/lb)0.540.640.831.361.18出典USGS・米国地質公社,Statista社free summary-99-鉱山第787号2020年8・9月