ブックタイトル鉱山2020年7月号

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概要

鉱山2020年7月号

政国策際動情向報2020年国際鉛亜鉛研究会春季Insight日本鉱業協会企画調査部1.はじめにCOVID-19の感染拡大は,2019年12月31日,中国が湖北省武漢での新種の肺炎症例について世界保健機関(WHO)に警告したのを皮切りに,2020年3月11日にWHOが全世界的なパンデミックを宣言,後にヨーロッパが感染拡大の中心地になり,とりわけイタリアとスペインでの影響が大きかった。3月末,米国は世界最多のCOVID-19の感染者を記録。それ以来感染は拡大の一途を辿り,人の移動を制限,場合によっては全国的な封鎖を課す等対応を強いられた。多くの国では国境が閉鎖され,経済活動が最小限に抑えられており,国民の生活に不可欠な企業のみに営業が許可された。このような制限措置は,世界経済,世界の鉛と亜鉛市場にも大きな影響を与えている。2020年1,2月の中国での生産量の大幅な減少が報告された。理由は,中国の再生鉛処理の拠点が,最もCOVID-19の感染影響を受けているいくつかの省にあり,鉛のリサイクルが急激に減少したためである。中国以外では,ボリビア,メキシコ,ペルー,南アフリカなどの主要生産国が,感染拡大防止のため,3,4月に強い活動制限をかけている。これらの国の一部では,鉱業および製錬部門での活動が完全に停止した。この影響で,製錬事業が回復している精鉱の主な輸入国である中国の輸入量が減少した。2.COVID-19感染拡大が鉛・亜鉛産業に及ぼす影響について精錬鉛と亜鉛の需要もマイナスの影響を受けている。鉛電池と亜鉛メッキ鋼の主要ユーザーである自動車業界向けに発表された数字は,過去3か月間で中国,ヨーロッパ,米国などの主要市場で新車の販売が急落したことを示している。欧州自動車製造業者協会によると,この地域の新乗用車販売は3月に前年比55%減少し,新車登録は英国で44%,イタリアで85%,フランスで72%,スペインでは69%,ドイツでは38%。4月のイタリアの新車販売は97%で,圧倒的に減少したと推定されている。S&Pのプラッツ紙は4月6日に,ヨーロッパの100を超える自動車組立工場が閉鎖され,推定で1日あたり61,000台の自動車が生産されなくなったと報告している。米国では,デトロイト地域の「Big3」自動車メーカー(ゼネラルモーターズ,フォード,FCA US)とホンダ,ヒュンダイ,トヨタが,北米工場の生産を一時停止すると発表した。3.鉛・亜鉛価格動向鉛COVID-19感染拡大の影響による世界の鉛減産量国際鉛亜鉛研究会(ILZSG)は5月20日,COVID-19感染拡大の影響により,世界の鉛生産量は鉱石が14万6千tの減産,地金が10万6千tの減産になる試算を発表した。2020年1~3月の世界の鉛需給実績国際鉛亜鉛研究会(ILZSG)の5月20日発表によると,2020年1~3月の世界の鉛鉱石生産は110万t(2019年1~3月比3.4%減),地金生産は271万t(7.1%減),地金消費は270万t(7.4%減)で,地金需給バランスは+1.9万tの余剰だった。-3-鉱山第786号2020年7月