ブックタイトル鉱山2020年6月号

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概要

鉱山2020年6月号

(7)資源技術開発の推進資源探査をより効率化・高精度化する物理探査やリモートセンシングなどの資源探査技術,採掘レベルの深部化や低品位化に対応した採掘技術,低品位鉱や不純物を含む鉱石に対する選鉱処理技術など,資源開発分野には未だ多くの重要な技術課題がある。これらは内外で本邦企業が新たな権益を獲得し,直接に鉱山経営を行なおうとする場合にも欠かせないテーマであり,今後ともこれらの課題を解決すべく技術開発を続けて行くことが必要である。しかしながら,技術開発には多くの費用と時間が必要であり,実用化に結びつかない場合もあり,民間レベルでの技術開発力には限界があるので,JOGMECを中心として官民が協力し技術開発を進めてきた。これらの技術開発に寄与してきた研究助成制度の拡充と,現場で必要とされるニーズに適した技術開発の継続実施をお願いする。(8)国内資源開発助成策の再開資源の大半を海外に依存している我が国にとって,国内資源の確保は安全保障上,極めて大きな意味がある。世界的な資源需要の増大,鉱物資源の生産レベルの深部化・高度化・奥地化による採掘環境の悪化,資源の枯渇などを背景に,今後,鉱物資源は中長期的には供給不足が生じ,価格が高騰していくことが予想される。しかし,鉱物資源を巡る世界の情勢の大きな変化,探査技術の飛躍的進歩を考慮すれば,金などいくつかの鉱種では国内にも経済性を有する鉱物資源の開発ポテンシャルが残されていると考えられる。今後の資源セキュリティの観点からも,国内資源の探鉱推進策について新たな視点にて検討し,国内における金属鉱床探査が新たな形で再開されることを要望する。これは技術の維持・継承,雇用機会の創出という観点からも大事なことである。例えば,日本で非鉄金属製錬事業を行っている企業の原料確保のための金属鉱床探査に対する支援制度を設けることが出来れば,国内探鉱はより活発化するものと考える。(9)地熱エネルギーの導入拡大2018(平成30)年に閣議決定された「第5次エネルギー基本計画」では,地熱発電は安定的に発電を行うことが可能なベースロード電源と位置付けられ,2030(令和12)年度までに最大で約155万kWを導入することが数値目標として掲げられた。しかし,現状は残り10年という時点で約59万kWの導入に留まっている。一方,2012(平成24)年に始まった再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT制度)は大きな転換期を迎え,発電コストが着実に低減している大規模太陽光発電及び風力発電等については,2022(令和4)年度に現行FIT制度から自立させることとなった。しかし,地熱発電については,一部の規制緩和は進んだものの,逆に保安林における規制が厳しくなるなど,山間奥地での調査開発に支障を来たす状況が見られ,地下資源特有の探査リスクや系統接続が不確実というリスクも相俟って,新規地熱開発が思うように進んでいない。従って,地熱発電を早期に現行FIT制度から自立させることは,2030(令和12)年度の数値目標の達成を困難にするとともに,地熱開発自体を停滞させるおそれがあるため,地熱発電については2030(令和12)年度の数値目標達成までは現行FIT制度の下で開発を促すことを強く提案し,併せて既存地熱発電所の活用策を含む以下の施策を要望する。1)既存の地熱発電所の設備利用率を向上させるための支援制度等の強化-7-鉱山第785号2020年6月