ブックタイトル鉱山2020年6月号

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概要

鉱山2020年6月号

れたりしている。また,JOGMECでは,企業などの人材育成を支援する資源開発基礎講座が随時開設され,資源開発に向けた基礎知識の周知が図られている。資源・素材学会は毎年資源・素材分野における教育活動・研究活動を通じて人材育成の体制の再構築を図ると共に,JABEE(日本技術者教育認定機構)「地球・資源およびその関連分野運営委員会」の中心主体として資源部門学校教育の質的向上に貢献している。しかしながら,我が国では,大学や学科の統廃合が進み,資源系を学ぶ機会や学生がさらに減少する懸念がある。当協会は,資源系に進む大学生を増やすには,より若い世代に非鉄業界をPRすることが必要と考え,2016(平成28)年3月,東京北の丸公園の科学技術館に小中学生を対象に非鉄業界をPRする子供向け展示「Metal Factory」を開設した。このような取り組みに加え,人材育成の一環として,是非,資源系の学生に対する無償または無利子の奨学金の制度を創設・拡充して頂きたい。また,次世代を担う大学生等を対象として年間10名程度の学生をJOGMECや企業等の探査活動を経験させるインターン制度を導入するなど,人材確保と育成の強化のための予算を確保し,実効ある制度の運用を図って頂きたい。一方,国内の稼働鉱山はほぼ消滅し,かつて国内で実施された国による広域調査や精密調査なども現在は行われておらず,資源系企業の若手技術者の育成の場が失われている。また鉱山開発の過程で一時的に特定のフェーズに従事する人材の需要が発生するが,該当フェーズが無い期間においてはその人材規模を個別企業が維持し続けることは難しい。以上の状況より,若手技術者教育などへの諸支援を通した海外鉱山を運営するグローバル人材の育成と人材需給ギャップを緩和する仕組み作りをお願いする。(5)海洋鉱物資源開発へ向けた長期的な取り組みの継続我が国の排他的経済水域(EEZ)及び公海には,海底熱水鉱床,コバルトリッチクラスト鉱床,マンガン団塊,レアアース泥など海洋鉱物資源が賦存している。これらの鉱物資源は,非鉄金属のみならず,白金・コバルト・ニッケルなどレアメタルの含有率が高いことを特徴とし,将来これらの金属が重要な供給源となることが期待されている。しかし,これら鉱物資源の賦存状況はまだ十分に把握されておらず,採掘技術,環境影響対策技術についても開発段階にあるため,未だ日本企業による資源開発が開始される段階ではない。現在,海洋基本法に基づいた「海洋エネルギー・鉱物資源開発計画」(2019(平成31)年2月見直し)の下,将来の海洋鉱物資源の開発・商業化に向けた総合的かつ計画的な取り組みが進められている。引き続き,この取り組みを推進して頂くと共に,海洋環境への配慮や法整備も進め,将来日本企業が参入できる環境整備に努めて頂きたい。(6)改正鉱業法の適正かつ合理的な運用海洋資源の適正な維持・管理及び合理的な開発が行われるように法的な環境を整え,管理体制を構築することなどを目的に,2011(平成23)年7月に改正鉱業法案が成立・公布され,2016(平成28)年度には石油・天然ガス等の特定鉱物に係る鉱業法の運用が見直された。鉱業法が,我が国の国益に沿い,国内資源を適正に維持・管理し,適切な主体による合理的な資源開発が行われるように,引き続き運用されるようお願いする。鉱山第785号2020年6月-6-