ブックタイトル鉱山2020年6月号

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概要

鉱山2020年6月号

新興国の経済成長による非鉄金属資源需要の増大や,資源ナショナリズムの高まり等,資源獲得競争が激しさを増す中で,JOGMECには様々な形で資源関連情報の発信を行って頂いている。国際的な資源事情に関する情報が以前にも増して必要とされていることから,今後もJOGMECによる海外の鉱物資源関連情報の収集及び提供の事業を継続・拡充し,日本企業の海外探鉱を支援して頂きたい。2)公的金融機関の海外投資補完機能の拡充資源の安定確保を目指した,日本企業による海外資源の自主開発権益の獲得や鉱山開発,長期輸入契約締結などの企業活動を活発にするには,国際協力銀行(JBIC),日本貿易保険(NEXI)など公的な金融機関による補完機能の役割が重要である。これら公的金融機関による支援制度も近年大幅に拡充してきており当業界もその恩恵を受けている。国際的な資源事情に関する情報がこれまでにも増して必要とされていることから,今後もJOGMECによる海外の鉱物資源関連情報の収集及び提供の事業を継続・拡充し,日本企業の海外探鉱を支援して頂きたい。(3)資源外交の強化と在外政府機関による支援の拡充資源メジャーによる資源の寡占化が進み,中国をはじめ新興国などの国を挙げた資源獲得競争が激化する中で,資源産出国における資源ナショナリズムが台頭するなど,国外での資源開発は年々困難さを増している。インドネシアでは海外への輸出において鉱業生産物の高付加価値化を義務付ける法律が施行され,国の関与により鉱石輸出が規制を受けている。このように海外における資源開発の政治的,経済的なリスクはますます増大する傾向にあり,これらのリスクを回避あるいは軽減するには,国内及び在外の政府機関による幅広い支援が重要となる。2008(平成20)年度に資源エネルギー庁によって整備された「海外鉱物資源確保ワンストップ体制」は,海外鉱物資源確保にかかわる政府及び関係機関の体制を整理・強化し,鉱山にかかわる探鉱,開発のみならず,周辺インフラ整備,二国間関係の強化,政府や関係機関が実施する各支援施策を体系的に整理し取りまとめたもので,経済産業省,外務省,JOGMEC,JBIC,NEXI,JICAなど関係機関の連携の下にこれが実践されることで我が国の資源開発の強力な支援につながると考えられる。今後とも海外鉱物資源の安定確保のため,一層の体制整備及び連携の強化を図り,資源外交の推進による支援施策の充実をお願いする。(4)資源分野の人材育成の強化近年の世界的な資源獲得競争が激化する中,海外での資源確保が必要にもかかわらず,我が国では国内鉱山の閉山と大学及び大学院での資源関連カリキュラムの廃止により,グローバルに活躍できる資源開発分野の人材不足が顕在化しており,このままの状況が続けば今後の国内産業を支える鉱物資源の確保及び安定供給が懸念される状況に至っている。そのような中,資源開発分野における人材育成の場が徐々にではあるが拡充されてきている。例えば,2013(平成25)年度に国際資源大学校と国際鉱物資源開発協力協会が統合され(一財)国際資源開発研修センター(JMEC)が発足し,人材育成事業を一体的かつ効果的に実施する体制が整えられ,2014(平成26)年4月には秋田大学に国際資源学部が発足し資源教育の充実が図られ,また2015(平成27)年4月には高知大学に農林海洋科学部が設置され海洋資源を中心に資源教育がなさ-5-鉱山第785号2020年6月