ブックタイトル鉱山2020年6月号

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概要

鉱山2020年6月号

する。併せて国有林野や豪雪地域などの特定の地域が開発対象地域の場合に不利益を被らないようお願いする。3)送変電設備整備等への支援地熱発電は今後さらに山間奥地が開発対象地域となり,送変電設備に要する費用が増大することが想定される。事業化への大きな阻害要因となっている送変電設備に要する費用,つまり連系工事負担金については上限額を設定するなど,事業化への大きな阻害要因となっている送変電設備の費用に対する新たな支援制度の創設を強く要望する。このことは山間奥地における通信設備についても同様であることから,山間奥地を開発対象とする再生可能エネルギー事業者に対する支援制度を創設して頂きたい。4)国による地熱調査の拡充地熱資源量を把握するために行われているJOGMECの地熱発電の資源量調査事業は,限られた地質情報を頼りにリスクが高い地熱開発に臨む民間企業にとって大きな支えとなっている。地熱開発には長いリードタイムを要する特異性を考慮いただき,さらなる効果的かつ柔軟な支援の運用を強く要望する。また,2013(平成25)年度から開始した空中物理探査に加え,2017(平成29)年度よりヒートホールの掘削調査が始まった。地熱開発事業者では実施が難しい国立・国定公園特別地域等も加え,調査案件を増やすと伴に,調査範囲の拡張及び大深度までの掘削調査をお願いする。さらに2020(令和2)年度から新たに加わる先導的掘削調査についても,適地を選択するとともに,大口径調査井の傾斜掘削及び流体性状を調査するための噴気試験を実施して頂きたい。またこの掘削調査は,充分に予算を確保した上で,民間企業が次のフェーズを担えるよう,事業化の適否を判断し得るレベルまで調査を充実して頂きたい。5)地熱井掘削に係る人材及びリグの確保永く国内の地熱開発が停滞したことから事業が縮小し,熟練技術者の減少・高齢化及び若手技術者の人手不足・育成不足が進んだ。また,教育機関が減少したため,地熱開発について体系的に学ぶ機会が極めて少なくなっている。他方,民間企業が地熱調査事業を実施する場合,掘削調査において現地での作業員や掘削機材(リグ),ケーシング材料など,人材や資機材の調達に問題が生じ,調査見送りや,開発工程の遅延が発生するケースが増加している。地熱開発は,調査から開発まで長期間を要する事業であるため,民間掘削事業者が安心して地熱用の機材投資や人材育成ができるような開発支援政策や技術継承支援を行うことも望む。また,国内の掘削業者の地熱掘削機材購入に対する補助制度や,大深度・大偏距ボーリング掘削を経験した外国の作業員を積極的に受け入れ,地元住民の負担低減になる工期短縮策などの取組み作りを要望する。6)保安林内作業許可(森林法)の運用緩和地熱調査および開発における坑井掘削調査では,森林の一部を伐採して坑井掘削基地を造成する場合が多い。この森林が保安林である場合には,基地の造成に際し,森林法第34条第2項の保安林内作業許可を受けなければならず,これには変更行為の期間が原則として2年以内のものであることが明記されている。一般的な地熱開発では,作業許可は最低限2年以上必要であり,「原則として2年以内」では,十分な資源量評価ができず,新規地熱発電所の建設を行う事は極めて困難である。よって,保安林内作業許可の許可期間については,緩和または柔軟な運用を要望する。(3)既存水力発電所の出力増加及び新規中小水力発電の導入拡大-29-鉱山第785号2020年6月