ブックタイトル鉱山2020年6月号

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概要

鉱山2020年6月号

電力多消費産業の当業界においては,国際競争力の維持・強化を図るためにFIT賦課金の減免措置は絶対に必要であるため,再生可能エネルギー賦課金減免措置の維持・拡大を図っていただきたい。また,当業界の各社は,電気料金の安い夜間操業に比重をより多く移し,コスト削減の自助努力を行うと共に,同時に電力会社には電力需要の平準化にも寄与してきた。太陽光発電は昼間しか発電できないにもかかわらず,FIT賦課金は昼夜電力一律に上乗せされている。当業界の経営努力や工夫が活かせるよう,発電時間帯を考慮した賦課金施策の推進も併せて要望する。3)電気料金値上げ対策のための補助施策の推進電気料金値上げによるコスト負担増を緩和する観点から,新規技術や設備導入による省エネ投資は有効な手段である。今後も省エネ補助金支援の継続,更なる予算規模の拡大や電力多消費産業に対する格別の特例措置を要望する。4)電力システム改革による電気料金値下げの推進電力市場の自由競争促進により電気料金上昇を抑制し,電力を広域融通する仕組みを強化し,非常時の電力の安定供給を確保すべく2015年から段階的に進めている「電力システム改革」は,2020年4月発送電分離を迎え,その最終段階となる改革が進んでいる。各種電力市場制度の創設検討も進み,2018年から2019年度において順次,非化石価値取引市場,間接送電権取引市場,ベースロード電源市場などの取引が開始されたものの,当業界においては自由競争の恩恵享受が得られているとは言い難い。今後の新市場創設を含めた電力システム改革の成果が確実に産業界の電気料金の実質的値下げにつながるよう,経済合理的で安定な電力供給体制と自由競争的な電力市場の一刻も早い構築を強く要望する。(2)地熱エネルギーの導入拡大2018(平成30)年に閣議決定された「第5次エネルギー基本計画」では,地熱発電は安定的に発電を行うことが可能なベースロード電源を担うエネルギー源と位置付けられた。しかし,地熱発電については,一部の規制緩和は進んだものの,逆に保安林における規制が厳しくなるなど,山間奥地での調査開発に支障を来たす状況が見られ,地下資源特有の探査リスクや系統接続が不確実というリスクも相俟って,新規開発が思うように進んでいない。今後,地熱発電の導入を促進し,国産の資源としてエネルギーの自給率向上と安定供給に貢献し,延いては地球温暖化防止に寄与するため,以下の施策を要望する。1)既存の地熱発電所の設備利用率を向上させるための支援制度等の強化持続可能な地熱発電のためには,代替井の掘削(発電に必要な蒸気・還元量が減衰した場合にそれを補うための生産井・還元井の掘削)と適切な操業管理技術が必須とされる。多大な費用を要する代替井の掘削はリスクが伴い,かつ民間企業としての投資判断もあり,本来設備利用率を維持すべく行う代替井の掘削が計画的に実施できていない状況を現している。代替井の掘削費用に対する助成や特別控除等の新たな支援制度の創設を強く要望する。さらに,既設地熱発電所においても,事業を継続・維持できる売電・蒸気価格を設定できるような施策を要望する。2)妥当性のある「運転開始期限」の設定2018(平成30)年4月,新たにFIT認定を受けた発電設備に対する「運転開始期限」の設定が始まり,環境アセスメントが必要な場合にそのアセスメントに係る主務省令の手続期間を考慮し,更に4年間の「運転開始期限」の付加期間が認められた。しかし条例アセス等を要する場合には事業者の責に因らない事由による期間が発生する場合がある。従って,発電所ごとにその実情に応じた「運転開始期限」に付加期間を認めるべきであって,妥当性のある「運転開始期限」の設定となることを要望鉱山第785号2020年6月-28-