ブックタイトル鉱山2020年6月号

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概要

鉱山2020年6月号

海洋資源の適正な維持・管理及び合理的な開発が行われるように法的な環境を整え,管理体制を構築することなどを目的に,2011(平成23)年7月に改正鉱業法案が成立・公布され,2016(平成28)年度には石油・天然ガス等の特定鉱物に係る鉱業法の運用が見直された。鉱業法が,我が国の国益に沿い,国内資源を適正に維持・管理し,適切な主体による合理的な資源開発が行われるように今後も引き続き運用されるようお願いする。(4)資源分野の人材育成の推進国内鉱山の殆どは既に閉山し,大学及び大学院での資源関連カリキュラムの廃止により,資源開発分野の人材不足が顕在化している。今後の国内産業を支える鉱物資源の確保及び安定供給が懸念される状況に至っている。次世代を担う大学生及び大学院生を対象とした人材確保と育成の強化,資源系の学生に対する無償または無利子の奨学金制度の創設・拡充,我が国資源系企業の技術の維持・向上にも資する新たな探鉱制度の創設など,産学官が連携して資源系人材育成の具体策作りに当たれるよう,国の施策をお願いしたい。(5)鉱業関係税制の一部拡充,恒久化,維持・存続法人税減税に連動するように鉱業税制の見直しが取り沙汰されているが,現行の制度はすべて我が国の鉱物資源確保には欠かせない制度であるため,現行制度の維持・存続を要望する。今年度末に期限の到来する「金属鉱業等鉱害防止準備金制度」は,国内鉱山において閉山後も法的に半永久的に実施することが義務付けられた鉱害防止事業を確実に実施するためにも不可欠な制度であり,その維持・存続を要望する。また,同じく今年度末に期限の到来する「軽油引取税の課税免除」は将来のベースロード電源と位置づけられる地熱発電にとって,かつ国内鉱物資源を安定的に供給する鉱業事業者にとって,事業を継続するためには必要不可欠な措置であるため,その維持・存続を希望する。(6)副産物の用途拡大に係る地方公共団体の支援非鉄製錬スラグは,非鉄金属製錬の副産物として生産される。近年,原料鉱石の品位低下,リサイクル原料や廃棄物尾増処理により発生量が増える傾向にあるため,その活用(販売)は非鉄金属製錬の事業に直接影響する重要な課題である。非鉄企業各社は,品質確保を目的として2016(平成28)年4月から,「非鉄スラグ製造販売ガイドライン」の改訂版に沿った運用を開始している。本ガイドラインを始め,近年非鉄スラグの使用に関するマニュアルやガイドラインも整備されてきた。各自治体に非鉄スラグの利用拡大についての支援を要望する。2.電力対策(1)低廉・安定的な電力供給の確保東日本大震災以降,原子力発電所が相次いで停止し,電力会社の相次ぐ電気料金の値上げや,FIT賦課金の急拡大により,極めて重い電気料金負担が課されており,当業界の電力事情は一向に改善されず,むしろ悪化の一途にある。我が国のものづくりの基盤を支える非鉄金属製錬業の安定経営を図るべく,低廉で安定的な電力供給のために以下の政策を強力に進めるよう要望する。1)低廉で安定的な電力供給のための施策の推進バランスの良い電源構成を構築し,国際的に遜色のない価格水準で安定的に電力を供給できるよう,安全が確認された原子力発電所の早期再稼働に向けたプロセスの最大限加速等,ベースロード電源を安定的に確保できる施策を要望する。2)再生可能エネルギー賦課金減免措置の維持・拡大-27-鉱山第785号2020年6月