ブックタイトル鉱山2020年6月号

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概要

鉱山2020年6月号

同勉強会では,次期(第6次)基本方針で目指す,注力すべき点として,1将来大きなコスト削減が見込める地下水制御技術の研究開発・技術確立と,2数多くある小規模事業所への水平展開や,成果の拡大が期待できるパッシブトリートメント(PT)と利水点管理を活用した小規模処理場の卒業と坑廃水処理の自動化・遠隔管理による小規模処理場の省人・省力化を強力に推し進めるべきであるとの結論に至った。これから始まる第6次基本方針の検討の中で,このことをしっかりと議論していただきたい。加えて,小規模事業所の卒業と省人・省力化により確保できた財源の一部をここ数年圧縮されて来た義務者存在鉱山の鉱害防止工事費補助の財源に充てることを検討いただきたい。また,利水点管理は,当面は義務者不存在鉱山が対象であるものの,将来は義務者存在鉱山でも応用,展開が可能となる様な形で検討を進めていただきたい。(4)休廃止鉱山坑廃水処理作業監督者資格適用範囲の拡大(御礼)第5次基本方針の中で,坑廃水処理管理者の不足・高齢化対応として民間資格の活用が検討され,2014(平成26)年6月より(一財)休廃止鉱山資格認定協会の実施する休廃止鉱山坑廃水処理作業監督者資格認定講習修了の資格をもって(産業保安監督部長が認めることにより)作業監督者としての選任が可能となった。この資格認定講習はこれまでに8回開催され,244名が受講,213名に修了証書を発行,その内8名が作業監督者として選任されている。これまで,休廃止鉱山坑廃水処理作業監督者資格は,1排出水量1万m3/日以上の処理場(鉱山),及び2総量規制が掛かる(瀬戸内海,伊勢湾,東京湾等へ排出水が流入する)地域の処理場(鉱山)は資格対象から外されていた。2018(平成30)年に当該項目を新たに加えた講習テキストの改訂を行い,2019(令和元)年度は新たに改定したテキスト(第3版)で資格認定講習を開催した。この実績を踏まえ,2020(令和2)年2月18日に開催された中央鉱山保安協議会にて前述の2項目の休廃止鉱山坑廃水処理作業監督者資格への追加が確認された。同資格の適応範囲拡大にご理解ご尽力いただいた関係者の皆様に御礼申し上げる。5.環境・保安対策の充実我が国の非鉄金属製錬業界は,環境問題については十分理解し,従来からその環境管理には特段の対策を講じ,地球温暖化対策や廃棄物対策などにおける産業界の環境自主行動計画に参画するなど,その充実と強化に取り組んでいるところである。鉱山の堆積場管理はブラジルの事故を契機に世界の投資家が目を向けている。日本の場合は東日本大震災の教訓も含めて,鉱山の全体管理の一部として体系的な法令の下に運用管理されている。引き続き,我が国の優れた制度と運用を必要の都度,世界にアピールして行くよう関係当局との連携,協力をお願いしたい。(1)水銀条約について2013(平成25)年10月に水俣および熊本における国際会議にて,水銀に関する水俣条約が採択・署名され,日本は2016(平成28)年2月に水俣条約に批准した。その後2017(平成29)年6月18日で合計50カ国が批准し,90日後の8月16日に条約が発効された。非鉄金属製錬において,精鉱等に含まれて製錬所へインプットされる水銀は年間約50~60t程度あるが,これは各製錬所で適切に管理されており,大部分は硫酸工場の入口の排ガス洗浄系設備で濃縮されスラッジとして回収されている。このスラッジには,新たに制定された「水銀汚染防止法」-21-鉱山第785号2020年6月