ブックタイトル鉱山2020年6月号

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概要

鉱山2020年6月号

(1)鉱害防止工事の早期終了-省エネ補助金の有効活用-鉱害防止工事を推進する(遅れを取り戻す)ための財源として,2018(平成30)年度より省エネ補助金(特別会計)6.6億円が導入された。2019(令和元)年度は,候補となる適当な案件がないということで予算が2.3億円に縮小され,2020(令和2)年度も3.0億円となっている。このままでは,折角確保した財源が活用されない,使われないまま消えてしまう可能性がある。一方,当協会の会員事業者からは十数件の候補案件が挙がっていたが,1自治体の裏負担が確保できないことや,2「省エネ対策工事」と「鉱害防止工事」の解釈・判断の問題で殆ど認められなかったという背景があった。今後に向けて「省エネ補助金」は,遅れている鉱害防止工事を推進するに必要な財源であり,それを維持確保してゆくためには実績作りが必要と考える。そのために「省エネ補助金」が義務者存在鉱山にも使えるものとなるよう,1自治体の裏負担の財源の確保,2「省エネ対策工事」と「鉱害防止工事」判断の混乱の解消(例えば,「省エネ補助金」については,「鉱害防止工事」も義務者存在鉱山への補助対象化する等)についての検討をお願いする。(2)自然災害への備え2019(令和元)年10月に襲来した台風19号の影響で,一部の鉱山において,停電,薬剤等の資材搬入に利用する道路で崩落が発生し,坑廃水処理施設の機能維持が困難となる事態が発生したが,経産省(鉱・火付鉱害防止班)及び所管産業保安監督部の方々の尽力もあり大事に至らずに済んだ。このことを受け2019(令和元)年12月25日に開催された産業構造審議会第3回保安・消費生活用製品分科会で当該発生事例を元とした課題の整理と今後の対応について提起され,これについて2020(令和2)年2月18日に開催された中央鉱山保安協議会で休廃止鉱山インフラのレジリエンス強化について審議され,自主保安を元とした対策実施に取り組むこととなった。当協会は本件指示を踏まえ「休廃止鉱山インフラレジリエンス強化に関する改善方針」を策定し,会員事業者に対し鉱山毎のアクションプランを作成しその実施を図るよう要請した。今後は,会員事業者の作成した改善策の作成と実施を確実なものとするためにその進捗のフォローアップを行って行くことが必要となるが,そのフォローアップに関し,国として適切な助言・支援をいただきたい。(3)坑廃水処理の終了,更なる坑廃水処理コストの削減(第6次基本方針の検討)2018(平成30)年度より「休廃止鉱山における坑廃水処理高度化調査研究事業」,「休廃止鉱山におけるグリーンレメディエーション(元山回帰)調査研究事業」に予算が付き,地下水制御・管理等の発生源対策やパッシブトリートメントに代表される自然力を活用した坑廃水処理技術の確立・実用化,更に坑廃水処理の卒業に向けた取組みが始まった。2020(令和2)年度は第6次基本方針の検討が始まろうとしており,当協会でも2019(令和元)年に,休廃止鉱山専門委員会が中心となり(鉱・火付鉱害防止班他を招き)「基本方針勉強会」及び「利水点管理勉強会」を数回開催した。その中で,重点を絞った対応の重要性,利水点管理を活用した環境負荷の小さい小規模処理場の卒業やIoT(自動化・遠隔管理等)を活用した小規模処理場の省人・省力化が重要なポイントとなるといった意見が出された。鉱山第785号2020年6月-20-