ブックタイトル鉱山2020年6月号

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概要

鉱山2020年6月号

循環型社会への変革には,リサイクル技術・システムの高度化が必要であるが,民間企業による開発には限界があり,大学や研究機関とも連携して,非鉄金属製錬技術をベースとする新たなリサイクル技術開発を進めていくことが重要である。現在,「省エネ型リサイクル原料製錬技術開発」,「希土類金属等回収技術研究開発」等で支援を受け成果を上げているが,引続き以下の技術開発・システム構築に対し支援を要望する。1有価物を低コスト,省エネルギーで回収するための技術開発支援2製造業者による解体及びリサイクルの容易な製品設計の推進(5)国際資源循環システムの推進アジアにおける循環型社会の形成を推進するためには,アジア各国が相互に連携し,域内における資源有効利用を促進することで資源消費量を抑制し,同時に環境汚染の拡散防止を目的としたアジア圏資源循環ネットワークの構築を推進することが必要である。環境省では2010(平成22)年に「環境経済成長ビジョン」をとりまとめ,この中で「世界に通用する静脈産業の育成」を打出し,「日系静脈産業メジャーの海外展開支援」と「海外で処理困難な廃棄物を受入れ適正処理及び循環利用を行う取組みの促進」を行うとしている。当業界が環境技術で世界に貢献するため以下の施策を要望する。1素材産業で発生する副産物のアジア諸国への輸出の円滑化2アジア圏各国の法制度や廃棄物処理・リサイクル産業に関する情報の収集3人材育成や技術協力によるアジア各国の循環型社会構築支援4リサイクルビジネスの海外展開に対する支援5日本へのリサイクル原料輸出承認の簡素化,短縮化のアジア各国管轄省庁に対する働きかけ6 E-scrap等有害廃棄物処理時の環境汚染防止のための監視強化に関するアジア各国管轄省庁への働きかけ4.休廃止鉱山の鉱害対策「金属鉱業等鉱害対策特別措置法」に基づく「特定施設に係る鉱害防止事業の実施に関する基本方針」は,鉱山の閉山措置の終了を目指しており,これを可能とする鉱害防止対策工事費用の財源確保と坑廃水処理の終了を可能とする技術を確立するための研究開発投資が必要であり,同予算の拡充が望まれる。2020(令和2)年度は,一般会計予算(補正予算含む)28.4億円,特別会計予算(エネルギー使用合理化事業費補助金(省エネ補助金)として)3.0億円と合わせて31.4億円の鉱害防止対策予算措置が講じられ,引き続き鉱害防止対策工事が進んでいくことが期待される。また,研究開発費に関しても「休廃止鉱山における坑廃水処理高度化調査研究事業」を2018(平成30)年度より1.8億円/年の予算で開始できたことで,今後発生源対策(地下水制御)やグリーンレメディエーション,元山回帰にむけた調査研究が継続的に進められていくことが期待される。鉱山跡措置(坑廃水処理)の終了に当たっては,利水点管理の考え方の導入・認知が必要となり,自治体・地域住民等のステークホルダーの理解を得るための環境影響評価のやり方等リスクコミュニケーション手法の確立も求められている。以上の鉱山跡措置の終了を目指す取組みが,将来に亘り総合的・継続的に進められてゆくことを切に希望する。-19-鉱山第785号2020年6月