ブックタイトル鉱山2020年6月号

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概要

鉱山2020年6月号

不充分である。これら非鉄スラグ製品の利用拡大,用途拡大促進には公的認知が不可欠であるが,公共工事資材としての実績不足などを理由に利用されていない。国のグリーン調達品目などの公的認定を受けている用途もあるが,利用されていないのが実状である。また,非鉄スラグ製品の販売は,かなりの割合を輸出に頼っている面もあり,新たな用途開発を図る必要がある。従って,以下の点について,より一層の支援を要望する。1経済産業省の事業として,日本工業標準調査会標準部会の土木技術専門委員会及び建築技術専門委員会が2003(平成15)年3月に策定した「建設分野の規格への環境側面の導入に関する指針」の附属書としてのJIS策定指針をご検討いただき,「コンクリート用骨材又は道路用などのスラグ類に化学物質評価方法を導入する指針に関する検討会総合報告書」を公表していただいた。これを受け,2016(平成28)年度は,コンクリート用スラグ骨材JISが改正され,環境安全品質が導入された。さらに,2019(令和元)年度からは,現状JIS規格の無い道路用非鉄スラグについて,フェロニッケルスラグのJIS原案作成およびJIS制定を目指している。非鉄スラグ製品が幅広く利用されるように,特に公共事業における使用者,発注者でもある国土交通省関連部門への働きかけについて,引き続きご支援をお願いする。2 2015(平成27)年12月に国土交通省港湾局による「港湾・空港等整備におけるリサイクル技術指針」の見直しが行われ,2015(平成27)年度に取りまとめた「港湾・空港工事における非鉄スラグ利用マニュアル」を用いて,非鉄スラグ用途の見直しを前述の指針に反映させた。当協会では,マニュアルを用いて国土交通省地方整備局,地方の経済産業局に対し広報活動を実施しており,2019(平成31)年度は,国土交通省の3地方整備局との情報交換会および1地方整備局と港湾関係コンサルタント会社との技術説明会を実施した。非鉄スラグ利用の拡大に向けて,引き続き本省からの支援をお願いする。3非鉄スラグ製品の利用促進において,スラグの更なる品質改善(銅スラグ中の重金属品位低減等)も重要な課題と考える。その推進のためには新規技術開発や多額の設備投資が必要であるが,現状の非鉄金属製錬の事業環境下で実行するのは困難である。そこで非鉄スラグの品質改善に関する新規技術開発を行うための補助,また品質改善のための設備導入に関する補助を引き続きお願いする。4 2015(平成27)年度に新たに環境安全品質を織り込んだ「非鉄スラグ製品の製造・販売管理ガイドライン」(以下,ガイドライン)を改定した。その後も運用を通じて得られた経験,事例の蓄積と,第三者機関によるガイドライン遵守状況の審査,並びに「非鉄スラグ製品の製造・販売管理委員会」のご指摘・ご指導を経て,更なる管理強化と運用改善のために,2017(平成29)年9月30日付で,また2019(平成31)年3月29日付でガイドラインを改正した。このガイドラインを用いて,非鉄スラグ製品が省資源に優れ環境に適応した材料であることを証明する体制を整えつつある。引き続き,本省からのご支援をお願いする。5 2015(平成27)年度に,土木学会が発行している「フェロニッケルスラグ骨材を利用した設計施工指針」及び「銅スラグ細骨材を使用したコンクリートの設計施工指針」の改訂作業を実施し,2016年(平成28)年度に改訂版が発刊された。2018(平成30)年度には,建築学会による「フェロニッケルスラグ骨材または銅スラグ細骨材を使用するコンクリートの調合設計・製造・施工指針・同解説」の改訂版が発刊された。これらの指針と2及び4に記したマニュアル及びガイドラインを用いて,非鉄スラグ製品が環境安全品質を遵守し,天然資源の代替による省資源・CO2-13-鉱山第785号2020年6月